天才の軌跡を追うシングルA面44曲+6曲の完璧ベスト!
マユミティ。あの方は見まごうことなく天才なのに、なぜかイマイチ再評価の気運が高まらない感じがする。初期のフォーキーな名作群はソフトロックブームで若干脚光を浴びたものの、正当な評価がなされていないよーな気がするんですよね。
やっぱ「恋人よ」のイメージが強すぎるせいでしょうが、最近出られたテレビの音楽バラエティー番組でも、なんだか昔流行歌を歌ってたオバさん歌手扱いされていたようでとても残念でした…。
アジア諸国では昔から熱烈な支持を受けていると言いますが、日本でもユーミンやアッコちゃんなどと並び、かなりなリスペクトを受けて当然のはずなのに、と口をとがらせるワタシ。しかしこのたびシングル集のベストアルバム「 GOLDEN☆BEST deluxe 五輪真弓 コンプリート・シングルコレクション 」がリリースされることを聞き、その溜飲を下げたのでありました。
CD黎明期に2枚組のシングル集が出ていたような気がしますが、現役の五輪さんですから、今回はボリュームアップした3枚組。
72年のキャロル・キングを従えたデビュー作「少女」から、アジア諸国2005年のスマトラ沖地震チャリティーCDとして出た「KOKORO NO TOMO」まで全シングル44枚のA面と、B面曲や人気曲をプラスした50曲入り。これで4千円といいますから、即買いしたお得盤と言えますね。
名曲「少女」をはじめ「煙草のけむり」といった初期ヒットもいいし、売れ線に転向し大ヒットした「さよならだけは言わないで」や、「残り火」「夜汽車」「合鍵」などの歌謡曲チックなおフランス路線も素敵。「恋人よ」がNo.1を記録してからはどうしても固まった方向へ行ってしまってちょっぴり残念ですが、ホント名曲ばかりです。
五輪さんの歌って、年を重ねて聴くと、ことさら味わいが増してきたように思ういますけど、こうしてコンプリートベストで時代を追いながら再聴すれば、なんだか思うよりもずうっと深く感動しそう。そういう意味では、和製シャンソンの呼び声に嘘偽りはなかったことを実感してしまいます。
ぜひ通して聴いていただきたいのですけど、こちらの皆さんのオススメなのは、やっぱりあの曲でしょうか。そう、聖子のために「街角のカフェテラス」として書き下ろしたものの結局レコード化されず、ご自身のシングルとして発表された「熱いさよなら」。
聖子をイメージしたものだそうですが、五輪さんが歌うとごく当たり前に聴こえたりして。聖子があの声で歌うとまったく違った感じになっていたので、ホントレコードとして出してほしかったなあとこの曲を耳にするたび思っています。
CD選書で出ていたオリジナルアルバムがほとんど廃盤になってしまったので、紙ジャケ復刻も待たれる五輪さんですが、それまでこの完全ベストを聴きながら待ちましょうか。ちゃんと聴いたことがなく、普通のベストには食指が伸びない方も、リーズナブルでコレクション性に優れたこのベストは必携。ぜひこの機会にどうぞ。
(2009.4.15)