コロムビアの新展開、完全受注生産のオンデマンドCD!
廃盤になってしまったCDをCD-Rに焼いてくれるシステムで人気を博した「あ〜る盤」を筆頭に、オンデマンド商品に積極的に取り組んでいた感のあるコロムビア。
2007年には一部CDショップの店頭に端末を設置、欲しい楽曲だけを選びCD-Rに焼ける「カスタマイズCD」を展開。端末設置店が少なくジャケットなどが付かないのが残念でしたが、CD化されていなかったタイトルを含む榊原郁恵のオリジナルアルバムが全部揃うなど、旧譜ファンにも大いに歓迎されたのは記憶に新しいところです。
そんな中「あ〜る盤」が終了し、システム確立という意味では廃盤復刻計画を経て活性化したソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーに追い抜かれてしまったようでしたが、あ〜る盤と入れ替わるように新サービスの「オンデマンドCD」が昨年12月にスタート。今年に入って本格的に展開されていく模様です。
この新しいシステム「オンデマンドCD」とは、廃盤や在庫切れとなったCDはもちろん、過去にCD化されなかったアイテムなど、リストアップされたタイトルを1枚単位で受注生産するサービス。全国のCDショップ店頭はもちろん、大手ネットショップ(コロムビアでの直接受注も間もなくスタート予定だとか)でも注文可能となっています。
なお、リストはリクエストにも積極的に応えてくれるという姿勢で、「あ〜る盤」と「カスタマイズCD」をミックスし、進化させたような印象もありますね。「あ〜る盤」は以前CD化されたタイトルに限られていましたが、今回の「オンデマンドCD」では未CD化商品にも対応してくれるとか。
スタート時にリストアップされたのは68作品でしたが、リクエストをもとに毎月100タイトルが追加される予定とのことで、CD化なんて夢のまた夢だったマニアックなタイトルにも希望が持てるというものです。
気になる販売価格は1枚2,500円、銀盤CD-R仕様で、ジャケットはオリジナル解説書を尊重した新しいデザインとのこと。受注生産のため、CDはオーダー後、約1週間で入手できるようになっているそうですが、amazonなど在庫として確保しているショップもあるようです。
こういう新サービスって、やれCD-Rだからイヤだとか、ジャケットがショボいからダメだとか、買いもしないのに必ず異論を唱える方を目にしますけど、デジタル音源を切望している人からすれば、手に入れる事ができるだけでも感謝という感じですよね。
と、システムの説明が長くなりましたが、肝心のオススメタイトル。初期ラインアップには河合奈保子をはじめ、「あ〜る盤」時代から人気のタイトルがそろっていますが、ココはやっぱり初めて流通となるものが多い郁恵ちゃんでしょう。これまで「カスタマイズCD」でだけ入手できていたタイトルを含む全オリジナルアルバムが勢ぞろいしております。
ワタシの場合は幸いにも親切な友人のおかげで「カスタマイズCD」のおこぼれにあずかったのですが、入手できずにいた方は意外と多かったようなのです。なので、今回誰もが容易に買えるようになったのはとても喜ばしい限りですし、熱心なリクエストもいただきましたので、ご紹介させていただくことにしますね。
郁恵ちゃんのオリジナルアルバムは77年の「 私の先生 」から84年の「 Wandering Paradise 」まで、全17タイトルもあるのですが、Q盤のCD文庫で復刻されていたのはカバー曲いっぱいのファーストと、出世作となったセカンド「 ラブリー・ポップ 」、そして、等身大の「 郁恵自身 」シリーズ3枚の5タイトル。よって、今回は12タイトルが正式に初復刻となり、ジャケ付きCD-Rとしてよみがえるワケです。
大好きなのはやはりはちきれんばかりの若さがいっぱい、かわゆい笑顔の歌声が楽しめる「 ラブリー・ポップ 」「 郁恵の季節 」「 ブランニュー・スマイル’79 」といった、ちょっぴりチープだけどそれがとってもファンンシーでいとおしい初期ものですが、きちんとしたアルバム作品としてスイセンしたいのが80年の「 輝いて 輝いて 」。
百恵ちゃんの引退が決まり、ホリプロのみならず芸能界のトップアイドルとして、最も輝きを増していた頃。いつも元気なスマイルソングだけじゃなく、おセンチな曲もレパートリーに加え始め、歌唱力もぐんとアップしていた時期に放ったさわやかな名作です。
尾崎亜美ちゃん書き下ろしの名作「風をみつめて」と、伊集院静&ユーミンコンビによる「 イエ!イエ!お嬢さん」 というシングル曲を筆頭に、上質なニューミュージック、シティポップスがいっぱい。個人的にはポップな「愛の旅立ち」が当時からイチバン好きですが、やっぱり「三月のメロディー」「レイニー・ガール」といった亜美ちゃん作品が群を抜いていますね。
この前後作である「 C’est drole 〜不思議ね〜 」や「 LOVE TIME TRIP 」も、トップアイドルならではの余裕がのぞく素敵な実験作でオススメ。ニューミュージックのあおりを受けてか、絶大な人気のワリにセールスが今一つの印象がありますが、この時期のアルバムは特にレベルが高いんですよ。
なお、郁恵ちゃんに限らずコロムビアには老舗ならではの名盤が数限りなくありますので、埋もれた名盤をお望みの方はぜひリクエストを。郁恵ちゃんファンは、ライブ盤3タイトルをということでしょうか。
(2009.1.16)