みんな必携!完璧な明菜のシングルAB面コレクション!
開口一番、ホントにあのライノが?と驚いてしまったリイシュー。それが中森明菜、待望の4枚組コンプリートシングルコレクションBOX「 コンプリート・シングル・コレクションズ~ファースト・テン・イヤーズ(ライノ・プレミアム・エディション) 」。
タイトル通り、82年のデビューシングル「スローモーション/条件反射」から、91年の映画主題歌「二人静〜天河伝説殺人事件より/忘れて…」まで、ワーナー・パイオニア時代の全シングルAB面を完全網羅したコンプリート・シングル・コレクションとなっております。
内容は全26枚というレギュラーシングルのほか、2時間ドラマのテーマとして84年末に臨発リカットされた「リ・フ・レ・イ・ン」や、85年のレコ大受賞曲「ミ・アモーレ」の別歌詩別バージョンにして12インチの「赤い鳥逃げた/BABYLON-Remix-」、さらにはシングルカセットとして発売された「ノンフィクション エクスタシー」なども収録という、ナットクの選曲。
手を変え品を変え、数多の明菜ベストを出してきたワーナーですが、コレはまさに真打ちと言えますね。昔出た全音源収録のBOXや、A面B面それぞれのコレクションはありましたけど、シングルAB面だけを完全収録したのは初めてではないでしょうか。
また、最新デジタルリマスター、デジパック仕様もウレシイですが、日本のライノと呼べるウルトラ・ヴァイブの高護さんや、堤昌司さんの解説やデータ、ジャケ写も満載のブックレット付きというのがスゴイじゃありませんか。
コレこそ、コアなファンやアラフォーの皆さんだけじゃなく誰もが待ち望んでいたコレクション。すべての音楽ファンの必携盤、一家に1セット常備しておきたいCDであることに疑いの余地はないでしょう。
明菜のシングルってホントにいい曲が多いし、全部と言っていいほど好きなものばかりなのですが、なんてたって80年代の聖子と並び、青春の思い出がギッシリ詰まっております。周りにもデビュー時から熱狂的なファンがたくさんいたこともあって、LPも含めよく聴きましたし、コンサートにも何度も足を運びました。映画「愛・旅立ち」も公開初日に見た覚えがあります。
明菜のA面はみんな知ってる大ヒットばかりなのでスルーするとして(1曲選ぶなら「Fin」)、あなどれないのがB面。ホント名曲が多いのです。もちろん「ラ・ボエーム」みたいな歌もカラオケでノリノリになりますが、個人的に好きなのは「温もり」「雨のレクイエム」「ムーンライト・レター」「AGAIN」といったバラード。ウイスパー唱法を引き立たせるヨーロピアンぽいナンバーは、ゾクッとするほど素晴らしい出来です。
ただ、ワタシはスタ誕の時の「夢先案内人」に心を奪われ、ああいうメロウな明菜がいつ出るかいつ出るかとずーっと期待していたのです。であるからして、そういう意味でのマイベストは、当初「北ウイング」のB面だった「涙の形のイヤリング」。林哲司さんお得意の明るく軽い洗練シティポップスで、明菜の素直で純粋な正の部分が見え隠れするよう。歌が好きで好きで歌手になった女の子らしく、もっと弾んで歌ったらもっとイイ曲になるんじゃないかな、なんて25年も思っている曲です。
そう思うと、二面性の魅力を大切にした明菜ですが、ホントに進むべきだったのは百恵ちゃんが演じた影のバリエーション路線ではなく、本質は陰と陽、正と負の両立ということだったのかもしれません。
やっぱり聖子の存在を意識した上での百恵ちゃんの踏襲だったのでしょうけど、たどたどしい赤ちゃんしゃべりもスゴみをきかせた怒声も難なくこなす明菜なら、ひとり“百恵淳子”も十二分にできたと思うし、そうであれば聖子と肩を並べるどころか…。
なんて思わぬ方向に話が行ってしまいましたが、明菜ならではの底知れぬ埋蔵量と、いろんな可能性を感じる初期コレクション。ぜひこの機会にお求めください。
(2009.3.16)