お姫様のビクター時代シングル、フルコンプベスト!
今年は「時代劇体操」で相変わらずのお姫様ぶりを発揮し、大きな注目を集めためぐみタン。2003年に出たBOX「 麻丘めぐみBOX 72-77 」も、伊代ちゃんの「 松本伊代 BOX 」などとともにめでたくアンコールプレスされるなど、過去のカコ音源もまた入手できるようになっています。
めぐみタンの場合、BOX以外、ベスト盤は1枚モノしかないという状態が永く続いておりましたが、ここに来てG☆Bシリーズに登場。2枚組となる「 GOLDEN☆BEST 」がついにリリースされることになった模様です。
内容は、ビクター・ガムシリーズからのリリースだった72年のデビュー曲「芽ばえ/素晴らしき16才」から77年の一旦引退時のラストシングル「ねえ/原宿グラフィティ」まで、19枚のシングルを網羅しています。
お姫様カットと涙袋がキュートな美少女ぶりとモデル出身ならではのスタイルの良さは、同時代のアイドルでも群を抜いていましたが、歌の方も筒美先生渾身の名曲ぞろいですね。
デビューシングルを踏襲した「悲しみよこんにちは/もしかしたら」、殿方の生理を満たすおねだりソング「女の子なんだもん/見果てぬ夢」、最高にカックイイ「森を駆ける恋人たち/そよ風のテラス」、ナンバー1ヒットを記録した「わたしの彼は左きき/ひとりの私」、コスプレ歌謡、イメクラポップスの最高峰「アルプスの少女/ヘイ・ミスター」、明るい淫靡さにドキドキした「ときめき/グッド・バイ」などなど、しっかりした個性がのぞきます。
あの日劇転落事故によってあまり日の目を見なかった悲運の名曲「白い部屋/ウェディング・ドレス」を端境期にして、復帰作「悲しみのシーズン/ひまわりの花」から一気にアダルトになってしまうのですが、彼女の場合、声が哀愁を帯びていますし、鼻にかけるのもお得意ですし、以降の歌謡曲路線も見事にハマっています。
余談ですが、ワタシは、めぐみタンって後に山口百恵が継承する千家風・青い性路線の元祖だと思っているのですが、百恵ちゃんブレイク後の75年、こまめなキャンペーンの甲斐あって久々のベストテン入りを果たした「水色のページ/風邪をひいた彼」を初めて聴いた時、すわ百恵ちゃんの歌声かと勘違いしてしまったことがありました。
かなり低いんですよね、めぐみタンの声って。その時まではおしゃべりも含め高いイメージがあったので、とても驚いたことを覚えています。二人の声質のイメージの類似点は、百恵ちゃんの歌う「わたしの彼は左きき」を聴いても分かるかも。
なお「水色のページ」は千家さんではないし、テーマも違いますので、青い性云々という点は「芽ばえ」「女の子なんだもん」「ときめき」あたりの歌詩をチェックしてみてください。
というめぐみタン初の2枚組ベスト。コンプリート・シングルコレクションとしてカタログの定番として生きながらえることを祈ってます。と言いつつ、現段階ではコレってBOXの2枚まんまじゃんという声も聞こえてきそうだし、よほどのファン以外はBOXもコレも買うという人が少なそう。
そういう意味からすれば、メーカーや路線は全く違いますが、復帰後のシングル「あいたいよ/夢のつづき」「京都哀愁/ヨコハマ慕情」「離婚美人/芦屋の雨」「やさしくしないで/返して…」が入ってたりすると、数字もかなり違ってくるのではないかなと思いますけれど…。2枚組では物理的に困難ですかねえ。
ともあれ、カコちゃんファンの皆さん、こういうベストが今後の試金石になることでしょうから、オリジナルアルバム復刻を望んでいらっしゃる人は必ずお買い求めいただければと思います。
心配ついでに言っちゃうと、期待の高まるめぐみタンのオリジナルLP復刻ですが、同様の淳子の例以上にVIVID系でほぼ出ちゃった感があることだし、ここが正念場だと思いますので、ホント頑張りましょうよ。ワタシもベスト盤に入ってたカバー曲が聴きたい一心で予約することにします。
そしてメーカーさんには、めぐみタンって記念すべきビクター80周年の歴史の中で、ソニーに遅れをとっていたヤングポップスというジャンルを切り開いた第一人者であり、いっときとは言えども稼ぎ頭のトップに君臨していたアーティストであることは否めない事実ですから、売り上げ的観点では実現しにくくともビクターアーカイブスという視点からぜひともアルバム復刻願えればと思っています。
なお、ビクターのG☆Bとしては、ナベプロ系の2作、パチンコ台にも登場して人気再燃のアグネス・ラム「 GOLDEN☆BEST 」や、名曲の多い実力派アーティスト桑江知子の「 GOLDEN☆BEST 」も同時発売されるそうです。
(2008.12.1)