復刻なるか?! 太田裕美「ルナチコ」収録のオムニバス
太田裕美さんの夫君といえば、ご存じ福岡智彦さん。
裕美ファンの皆さんの中には、NYから帰国後の太田さんの名盤をディレクションした方として尊敬したり、あるいは恋してたアイドルをさらった仇のように思ったりしている人も多いのでは。
ワタシはと言いますと、もちろん前者。福岡さんがいらっしゃらなければ世紀の傑作「I do,You do-あなたらしく、わたしらしく-」は生まれなかったでしょうし、太田さんの大陸歌謡的なメロディメーカーとしての才能や全方位的な音楽性もあれほどまで開花しなかったのではないかと思っています。
80年代半ばは多感な頃だったので、作品を通じて真に自立して生きることとか、そういうメッセージを福岡さんに示してもらったような気がしています。昔なぜか勉強机にお二人の結婚披露宴の写真(85年のFC解散時、渡辺プロ友の会で買ったヤツ)を飾ったこともあったりして…。
そして何より、今の太田さんがあんなに素敵な感じで音楽活動を継続できているのは、やはり福岡さんのおかげではないでしょうか。
そんな福岡さんですが、ナベプロ時代から数々のアーティストをプロデュースなさってきたのは周知の事実ですよね。ゴンチチや、ある意味太田さんのそっくりさん・遊佐未森がその代表格ですが、ニューウェイブへの嗅覚が長けている福岡さんならではの作品が、86年にリリースされ92年にCD化されたものの長らく入手困難状態にあったオムニバスアルバム。
そう、あの「別天地」がオーダーメイドファクトリーにエントリーされました。
これは、今や大御所の小西康陽さんを筆頭に、重藤功さん、板倉文さん、和久井光司さん、バナナさんという五氏の競演による若き日のニューウェイヴ・オムニバス。
しかし、このサイト的にそのへんを言及しても復刻実現につながらないよーな気がするので、やっぱり太田さんに関連づけてご紹介しましょう。
一部の太田さんファンには貴重盤扱いされてきたアルバムとしておなじみですが、それは休業中のボーカル音源「ルナチコ」が入っているから。99年のBOX「太田裕美の軌跡」にも収録されたので、音源を持ってるからいいやという人も多そうですが、それは早計というもの。
かつては太田さんと同じナベプロだったチャクラのメンバーだった板倉文さん。川島UG(裕ニ)の名でも知られ、昨年太田さんと久々のレコーディング(こちらで紹介した「みかんの花咲く丘」)を行ったバナナ。二人とも太田さんのテクノ時代は盟友として数々の名曲を生み出しました。
ほかにも、PINKのドラムだった矢壁アツノブさんは太田さんのバックバンドのメンバーでしたし、童謡アルバム「どんじゃらほい」でニューウェイブ的なアレンジを担当したMa*Toさんら、福岡人脈によるゆかりの面々が参加しています。
そういう意味でも、きっと味わいが深まるだろう一枚。マスター・サウンドでのリマスタリングとのことですから、あの美声にさらに輝きが増していることでしょう。
なお、板倉さんがらみでは太田さんがコーラスで参加しているキリングタイム「IRINE」もありますが、こちらは2005年にインディーズで復刻されていますよ。
ということで、太田さんのファンの皆さんも、復刻実現に向けてぜひ一票を。
「ルナチコ」を未聴の方は、この1曲のためだけに買ってもソンはないと思います。
(2009.2.27)