作曲家としてのハリー・ホソノの集大成BOX!
エイプリルフール、はっぴいえんど、キャラメル・ママ、ティン・パン・アレー、YMOなど今となっては神格化されたバンド活動はもとより、ソロとしても多方面でのご活躍で、数多くのアーティストからもリスペクトされ続けるホソノさん。近年、紙ジャケをはじめとするリイシューものやトリビュート盤など、復刻・再発が相次いでおりますが、今年は伝説のロックバンド・エイプリルフールのメンバーとしてデビューを飾ってから40年なんですと。
それを記念して、ホソノ御大がさまざまなアーティストに提供したナンバーの自選集6枚組BOX「 細野晴臣の歌謡曲〜20世紀BOX -細野晴臣提供楽曲集- 」のリリースが決定したようです。
発売はコロムビアで、ご自身がすべて責任監修。6枚のCDには、優に200曲を越える楽曲から厳選した114曲をリマスタリングして収録予定。パッケージは、愛蔵版らしくトールサイズで、144ページものブックレットには、ロングインタビューや解説、楽曲リストやジャケ写も掲載される超充実ぶり。なんだかこれだけでも貴重な資料になること請け合いです。
職業作曲家としてのホソノさんといえば、ワタシたち世代でもアッコちゃんファンや、YMOチルドレンにとっては昔から大きい存在ですし、ソロで歌った「相合傘」や小坂忠さんで知られる「ほうろう」などなじみのある作品がたくさんありますが、一般的には最初のヒットと呼べるのがシーナ&ザ・ロケッツの「ユー・メイ・ドリーム」あたりでしょうか。
そして、いわゆる歌謡曲のコンポーザーとして大きなスポットライトが当たったのは、テクノポップがピークに達した81年、イモ欽トリオの「ハイスクール ララバイ」からではないかと記憶しています。
その後も、山下久美子の「赤道小町ドキッ」、松田聖子の「天国のキッス」「ガラスの林檎」「ピンクのモーツァルト」、安田成美の「風の谷のナウシカ」など、大ヒットを連発したのはご存じの通り。
ここでピーンと来る人も多いでしょうが、ホソノさんを歌謡曲のフィールドに誘い込み、その才能をYMOなんか知らないという人にまで広めたのは、盟友の松本隆さんなんですよね。
聖子にはアルバム曲も多数ありますし、アイドル系では薬師丸ひろ子、小泉今日子、高橋美枝、西村知美、水谷麻里、そして裕木奈江、歌謡曲系では森進一、森山良子、研ナオコ、クミコまで、松本さんがイニシアチブを取ったり、相当入れ込んで書いたりしたことのある人には必ずといってイイほどホソノさんとのコンビが見られます。あ、太陽系第10惑星から来たスターボーもありましたが、アレはホソノさん主導でしたっけ?
さらに、柏原よしえ「しあわせ音頭」なんかのテクノ歌謡とは一線を画す、チャーミングな小品やクラシカルな美しいナンバーもたくさんありますよね。ワタシ的にそのラインの最高峰と思うのが、聖子の「硝子のプリズム」、松本伊代の「月下美人」、中原薫の「銀河鉄道の夜」あたりでしょうか。
もちろん、松本さん以外にも歌謡曲の名作詞家とのコンビも多く、売野雅勇さんとは中森明菜「禁区」で大ヒットを飛ばし、阿久悠さんとはパンジーの真鍋ちえみの世界を構築。
また、歌謡曲目線では成功しなかったり、異端児としてとらえられた女性アーティストを見初めて寵愛することも多く、その代表が金井夕子、戸川純、コシミハル(越美晴)でしょうか。ワタシはこの3人のことは大好きでしたけど…。
と、話が逸脱してしまいましたが、初回生産限定盤のアナザー・ハリーBOX。コレは手に入れるしかありませんよね。
(2009.2.4)