待望の提供曲集&ベスト、初期5枚も紙ジャケで再発!
出る出るとウワサされていたEMI時代の尾崎亜美、めでたく紙ジャケ復刻決定!しかも、アイドルたちへの提供曲を含む2枚組ベストも同時発売!ということですから、コレはぜひとも紹介せねばなりませんよね。
おニューなミュージックとかシティ派のポップスとかいう範疇では括りきれない才女・亜美ちゃん。昨秋ソニーから出る予定だったミニアルバム「AMII IN THE BOX」の発売が流れてしまったようでとっても残念に思いましたが(注・タイトルも内容もリニューアルし、セルフカバーアルバム「 ReBORN 」となって4/29に発売決定しました!)、先般リリースされた「 歌鬼2~阿久悠vs.フォーク~ 」では、なんと山本リンダの「きりきり舞い」をコケティッシュに披露。ウワサも相まってなんだか期待が高まっていたのです。
このサイトをご覧の皆さんには、南沙織から始まって、金井夕子、高橋真梨子、杏里、桜田淳子、榊原郁恵、岩崎良美、松本伊代、松田聖子、岡田有希子らに楽曲を提供した作家としての姿がおなじみかもしれません。名曲や提供ヒットが多いのは知ってても、本人が歌うのは「マイ・ピュア・レディ」と、「オリビアを聴きながら」やアルバム「POINTS」シリーズのセルフカバーぐらいしか…という人もけっこう多そうですし。
でも、彼女はシンガーとしても一級品ですし、アルバムはトータル的な音楽家としての才能が感じられる力作ぞろいですので、ぜひこの機会にお聴きいただければと思っています。
ということで、まずは2枚組、お得な自選企画「 尾崎亜美/Amii In The Box 」を。これは、タイトル通り1枚が亜美ちゃんが歌うご自分のナンバーを集めたAmii's sellectionという15曲のベスト、そしてもう1枚は数々の提供曲がオリジナルアーティスト本人の歌唱で楽しめるMarriage with Amiiと名付けられた提供作品集という構成となっています。
レコード会社の移籍が多い亜美ちゃんですが、ご自身のベストの方はメーカーの枠を超えてひと通り網羅しているようでして、25周年記念アルバムから福山雅治や奥田民生とのコラボもチョイスされている模様です。
目玉の提供作品集の方ですが、ご本人の選曲らしく、大ヒットや王道曲ばかりじゃないのがウレシイ。最も有名な杏里「オリビアを聴きながら」や松田聖子「天使のウィンク」、観月ありさ「伝説の少女」、河合奈保子「微風のメロディー」、松本伊代「時に愛は」といったオリコントップ10入り群はまあ当然として、薬師丸ひろ子「雨は止まない」、中森明菜「easy」、ハイ・ファイ・セット「Rain Walts & Loving You」などアルバムの隠れ名曲や、榊原郁恵はB面曲「ひとりぼっちのクリスマスソング」が入っているなんて。
金井夕子「パステル ラヴ」、岩崎良美「化粧なんて似合わない」といった亜美ちゃんファミリーと呼べる方々の名曲もしっかり収録されるようです。
予定曲の中での個人的イチオシは、石嶺聡子の「私がいる」。鳴り物入りでデビューして、この曲でNHKの新人コンテストに優勝、紅白歌合戦にも特別枠出場した実力派だったのに、今一つ抜けきらなかったんですよね。ワタシはCMがらみで安田生命(当時)の保険のオバちゃんにこのCDシングルをもらって以来、石嶺さんのファンになりましたけど、曲に恵まれていたのに結局、映画主題歌となった「花」が話題に上ったぐらいで、いつしか同郷の夏川りみに取って代われたようで残念でした。今回EMIだからということで取り上げられたのかもしれないけど、コレを機に亜美ちゃん作のこの曲と石嶺さんに関心を持ってくださる方が増えればいいなあと思っております。
と話がそれついでに、CDとは関係なくワタシの好きな亜美ちゃん提供曲を挙げときますと、ナンバー1は岩崎良美「ふれて風のように」。以下、松本伊代「流れ星が好き」、堀ちえみ「素敵な休日」、松田聖子「ボーイの季節」、杏里「涙を海に返したい」、金井夕子「ラストシーン」など。松本伊代に書いたものは全部好きですね。
そして、70年代に放った初期5タイトル復刻。かつて音蔵シリーズや必聴名盤シリーズでCD化されていましたが、今回紙ジャケット仕様での再発。しかもリマスタリングの上、アルバム未収録のシングルなどのボートラを追加収録、ブックレットにはご本人のインタビューも入る予定なのだとか!EMIには珍しく充実のリイシューが期待できるというものです。
その5枚を簡単に追いますと、まずは独身時代の松任谷マンタさんがユーミンよりも力を入れていたのではないかと思わせるデビューアルバム「 SHADY(紙ジャケット仕様) 」。次にマンタプロデュース、シングルのヒットで自信をつけた上ユーミンの留守を預かるようにポップになってタイトルも彼女のインスピレーションが効いたというセカンド「 MIND DROPS(紙ジャケット仕様) 」。名盤と誉れ高いのが、セルフプロデュースでアレンジまでを手がけるようになったサード「 STOP MOTION(紙ジャケット仕様) 」です。
そしてシンセを使った亜美サウンドがくっきり、ハードな部分も出してゆく「 PRISMY(紙ジャケット仕様) 」(個人的にはこのアルバムの「テンダーレイン」が一番好き)、東芝時代最後のELO的エレクトリックポップな「 LITTLE FANTASY(紙ジャケット仕様) 」へと続きます。
前に書いたような気がしますが、1曲1曲を聴いていくと、亜美ちゃんの頭の中で音楽というものが形作られていく様子が感じられるようで、才能とはこういうものなのかと衝撃を受けた覚えがあります。
マンタさんということや当初はユーミンの…みたいな感じで紹介されることが多かった感じですし、確かユーミンのバックもやってたような気がしますから、よくユーミンと比較されてきた亜美ちゃんですが、その資質は全然違いますよね。
それと、ティン・パン・アレーのメンバーを中心としたバッキング(鈴木さん、ホントに残念です…)もスゴイですが、山下達郎、吉田美奈子、ハイ・ファイ・セット、オフコース、南佳孝、寺尾聰ら今や御大ぞろいの豪華なコーラス陣(デュエット含む)も素敵。
個人的には初期の2枚も大好きなのですが、オススメとしては、既に紙ジャケ盤が出ていますけど、やはり「STOP MOTION」ですかね。シンシアに書いた「春の予感 -I've been mellow-/もどかしい夢」のセルフカバーも収録されていますし。
セルフカバーという面では金井夕子に提供した「パーフェクトゲーム」収録の「PRISMY」や、逆に杉本理恵がカバーした「初恋の通り雨」が入っている「MIND DROPS」と、アイドルバージョンをご存じの方は、そっちから入る方がとっつきやすいかもしれませんね。
また、亜美ちゃんって舌足らずでハスキー、ロリータっぽい独特の声質は実に魅力的ですし、太田裕美さんのファンにもオススメです。昔「尾崎亜美のミュージックランド」というラジオを毎週聞いていましたが、しゃべる声も太田さんと同じく素晴らしいんですよね。実際お2人とものファンという人もかなり多いようです。
という亜美ちゃんのリリースラッシュ。ぜひそろえたいものですね。ワタシはポニキャン時代の最初の2枚の頃がイチバン好きなので、この流れが続くことにも期待です。
(2009.2.24)
*ソニーからセルフカバーアルバム「ReBORN」4月29日発売!
発売が延期になっていたソニー・ミュージックダイレクト発のミニアルバムですが、セルフカバーのフルアルバムにパワーアップして発売されることが決定しました!
「冥想」「マイ ピュア レディ」といった自身のヒット曲から、南沙織「春の予感-I've been mellow-」、杏里「オリビアを聴きながら」、高橋真梨子「あなたの空を翔びたい」、松田聖子「天使のウィンク」「ボーイの季節」、志村香「曇りのち晴れ」まで提供曲もたっぷりとセルフカバー。東日本フェリーのCMソングとして流れている新録「ロマンティック・クルーズ」も収録されています。
なんと初回生産盤は話題の
Blus-spec CD
(MHCL-20029、¥3,200)、
通常盤
(MHCL-1499、¥3,000)も同時発売です。
(2009.3.3追記)