「浪漫鉄道」収録!ニッポン企業の社歌コンピ!
国には国歌があるように、学校に校歌があるように、企業には社歌がある。そして、社歌には日本企業の哲学があると唱え、書籍「 社歌 」をお書きになったのはフリージャーナリストの弓狩匡純さんですが、その弓狩さん監修のもと、編集されたCDがこの「 社歌 」なのだそうです。
本の方ではキヤノン、京セラ、グンゼ、サントリー、資生堂、JASRAC、集英社、大成建設、松下電器、川崎重工業、関西電力など日本を代表する企業や団体約50社の社歌がその制作過とともに紹介されていますが、今回は大鵬薬品工業、マキタ、資生堂、ワコール、TOTO、ユニ・チャーム、キヤノン、大同生命、ロート製薬、東宝、そして発売元のキングレコードなどが収録予定となっています。
豪華な布陣で制作されたり、J−POPから洋楽ロック、クラシック、童謡歌手まで驚くようなアーティストが歌っていたり、とても楽しめる1枚ではないでしょうか。収録曲は正式に決まっておりませんが、このたびご紹介する決め手となったのが、ついにCD化となった、ハイ・ファイ・セットが歌うJR九州の社歌「浪漫鉄道」。 鉄ちゃんの友人からその存在を聞き、カセットテープにダビングしてもらった記憶があります。
これらの社歌の根底にあるのは、各社の企業理念。そして、それとともに浮かび上がってくるのは、創業者の熱い思いであったり、仕事に懸ける情熱であったり、自社の利益だけでなく、この国みんなの満足と社会貢献を願う真っ直ぐでひたむきな姿勢です。
それが、いつの間にか主客転倒してしまったようなニッポン。汗かきべそかき、豊かになりたい一心で頑張りすぎて商業主義を貫いてしまったせいなのか、愛社精神はおろか、真面目さや勤勉ささえもダサイのひとことで片づける心得違いをしてしまったせいなのか、いつの間にか大量生産、大量消費を美徳とするモノ・カネ至上主義という部分だけがメインに受け継がれてしまった感があります。その悔恨からか、今は本質を見誤ったようなお客様第一主義が横行し、みんなが四苦八苦しているような気がする。
そんな中、ワタシたちが今取り戻さなければならないのは、奇跡的と言われた日本の戦後復興や、高度成長期の労働といった経済的側面ではなく、それらをしっかりと支えた美しき精神ではないでしょーか。
と、なんだかまたまたオーバーになりましたが、そういうことを考えながら聴くと、不穏な時代にあっても普遍的なことを信じる大切さがが見えてくるような気がしますし、それこそこのコンピが果たしてくれる役割ではないかなと思っておりますです。
知る人ぞ知るイレギュラー盤についてワタシは全然詳しくないのですが、コレクターの方から聞いたところによれば、社歌のみならず、イベントや周年の記念歌や自治体タイアップなど、有名アーティストが歌う隠れたナンバーはたくさん存在するようですね。通常のコンピ盤などとは違い諸事情や障害も多く、大変骨の折れる作業だと思いますが、今後も発掘が続くことを祈るばかりです。個人的には、サトウハチロー+山下毅雄というすごいコンビが作ったという、浅田美代子の「わが家のある幸せよ」がいつかCDになることを願っています。
(2008.11.26)