黄金のシングルベスト復活!必携のジュリースペシャル!
昨年還暦を迎え「還暦だぞ!ROCK'N ROLL MARCH」と題した全国ツアーも大盛況、暮れにはその集大成といえる東京ドーム6時間超え80曲ライブ「人間60年 ジュリー祭り」も大成功を収めたスーパースター、ジュリー。見事に健在ぶりを見せつけ、過去のシングルを集めたBOX(こちらで紹介)も大好評だったのは記憶に新しいところですが、ここに来てあの充実ベスト盤も復活する模様です。
それが71年のソロデビュー曲「君をのせて」から84年の「AMAPOLA」までポリドール時代の全シングルA面43曲に、85年に独立してEMI移籍後の第1弾シングル「灰とダイヤモンド」をプラスした全44曲の「 沢田研二 A面コレクション 」。そう、86年に発売され長らく廃盤となっていた同名3枚組ベストをリニューアルした内容なのです。しかも、今回は最新デジタルリマスターによる高音質なSHM-CDでのリリースとなっております。
ジュリーの場合、単発ベストは復刻されたものの、ちゃんとしたシングルコレクションがずっと入手できない状態が続いていましたし、シングルBOXはコレクターズアイテムという感じで気軽に聴けるものではありませんでしたから、今回のリリースは本当に待望と言えるのではないでしょうか。
岩谷先生+宮川先生の美しすぎる名曲「君をのせて」から、ファッショナブルなズズの手によってオシャレさを増したナンバー1ヒット「危険なふたり」やニーナの「追憶」も素敵ですが、やはり阿久さんが自らの願望を投影したような男の美学・ハードボイルド作品が群を抜いているような気がしますね。
ボギーへのオマージュ「時の過ぎゆくままに」から始まって、ある意味そのバリエーションだった「カサブランカ・ダンディ」にしても、レコ大受賞曲「勝手にしやがれ」にしても、つい志村けんを重ねてしまう「憎みきれないろくでなし」「サムライ」も、指なめの「ダーリング」も包帯の「LOVE(抱きしめたい)」も。
ひろみやヒデキ、百恵ちゃんやピンク・レディーなんかと熾烈なデッドヒートを繰り広げてきた“1等賞ジュリー”の頃の楽曲はビジュアル面も含めてビックリするほど圧倒的です。
また、そのせいで、合間のユーミンが詩を書いた「ウィンクでさよなら」や久世さんの「コバルトの季節の中で」のシンプルな良さも引き立っていますよね。結局は阿久さんの断筆宣言で一時中断してしまい、80年の復活作「酒場でDABADA」では、何だか違和感を感じてしまったのですけど…。
ほかにも80年に糸井重里を起用したパラシュート「TOKIO」やカラコンの「恋のバッド・チューニング」も強烈でしたし、81年の「ス・ト・リ・ッ・パー」では、何かの制御装置が解除されてしまったような衝撃が走ったものでした。
後半に進むに連れ試行錯誤の感もありますが、とにかく名曲が多くて、同じナベプロ所属で大沢誉志幸をいち早く起用した「おまえにチェックイン」や井上陽水作品「背中まで45分」など枚挙にいとまがありません。ちなみに個人的には、いつも地味な部類に入れられてしまう「ロンリー・ウルフ」がイチバン好きだったりします。
などと、ちょっと列挙しただけでも、もうすべてがヒット曲といえる黄金期のジュリーコレクション。1曲ごとに度肝を抜き、時代を牽引したセンセーショナルな名曲ばかりですから、常にラックに入れておきたいタイトルですね。
やっぱり20年以上も前の「A面コレクション」ではさすがに音がショボ過ぎますから、今回のSHM-CD化は実に喜ばしい限りです。
なお、念のためSHM-CDについて補足しておきますと、Super High Material CDというものでして、通常CDとは異なる液晶パネル用の素材を使用して製造されたもの。マスター・クオリティに限りなく近づいた高音質が実現した上、普通のCDプレーヤーで再生できるというスグレモノで、このところ各社から発売が相次いでいる注目の新ソフトです。
という仕様にもかかわらず、とてもリーズナブルなプライスにオドロキ。ジュリーファンのみならず、歌謡曲ファンにとってもラックに常備しておきたい定番品になること間違いなしですね。
(2009.1.15)