テイチクのコンプシングルシリーズ、廉価で再発!
GSからアイドルまで、世紀末からパラパラとリリースされてきた、テイチクのコンプリート・シングルズシリーズ。まだ店頭で見かけるモノもあるとは思いますが、このたびザ・スパイダース、ザ・テンプターズ、森山良子、長谷川きよし、高田みづえ、芳本美代子、北原佐和子の各タイトルが廉価版で再発されることになった模様です。ラインアップの中でのオススメは、やはりみづえさんの3枚組「 高田みづえ:コンプリート・シングルズ 」なのですが、オリジナル発売時にスイセンしたことがありますし、サワコさんの「 北原佐和子:コンプリート・シングルズ 」もオリジナルアルバム復刻の際に取り上げたことがありますんで、今回はミッチョンにしましょうか。デビュー曲の「白いバスケット・シューズ」から「BAD BOY」まで、80年代に残した17枚のシングルAB面+12インチも含め網羅した2枚組「 芳本美代子:コンプリート・80’sシングルズ 」。2枚組で、オリジナルも3200円とお得でしたが、今回の再発ではなんと700円も安い2500円となっております。
花の85年組(というカテゴリーはあるのか?)、テイチクには珍しい正統派アイドルとして世に出たミッチョン。素顔は活発なキャラで今に近かったようですが、当初はいかにも芸映っぽい、お嬢さんみたいな感じでした。バスケ部に入っていたとかで決まったオールデイズ&スペクターサウンド風のデビュー曲「白いバスケット・シューズ」ではかなりブリッコでしたしね。今ならばきっと抜歯され矯正されるであろう八重歯な歯並びも大きな魅力でしたし、明星に広告をのっけたり、同期の中では鳴り物入りの雰囲気だったような気がします。2曲目の「プライベート・レッスン」ではその弾けっぷりにビックリしましたが、9月に発売され賞レース参加曲となった第3弾「雨のハイスクール」の名曲、名唱には心底ヤラれました。クラスのみんなも「あの歌はイイよね」なんて言ってましたっけ。
ついでに思い出話をしますと、この年の新人では本田美奈子も好きでしたが、ワタシのイチオシは松本典子だったんです。で、その時点で暮れの新人賞レースは本田美奈子、ミッチョン、松本典子の3人が有力とされ(注・斉藤由貴は参加せず、レコ大では中山美穂、小林明子が参加)、熾烈なライバル争いを繰り広げていたんですね。松本のりりんの「さよならと言われて」は銀色夏生+ユーミンによる打ち震えるほどの超名曲だけど、かなり地味で詩が難解。それに引きかえ、実力ナンバー1の本田美奈子は松本+筒美コンビの勝負曲「Temptation(誘惑)」で一気に引き離しを図る。そしてミッチョンの「雨のハイスクール」は松本+財津和夫という聖子コンビの偉大な力で、いとも簡単に情景が浮かび、単刀直入な胸キュン度120%に。どれも好きな歌なのですが、ああ、この3曲ではミッチョンかなあ、という諦めみたいな気持ちになったことを覚えています。
と、話がそれましたが、それほどに「雨のハイスクール」は名作でしたが、コレってやっぱ松本隆さんの功績でしょう。急転直下、聖子が結婚休業に入った年、彼女に向けるはずだった情熱を注いだ相手がミッチョンだったような気がします。けして斉藤由貴ではなく。それは、続く「アプリコット・キッス」「心の扉」と、おニャン子で正統派アイドル大苦戦時代にもかかわらずトップ10入りを果たした筒美京平作曲の「青い靴」「Auroraの少女」という松本作品を続けて聴けば分かるでしょう。ライブ盤では松本隆メドレーも披露したりしてますよ。
ワタシの場合、ここまでのミッチョンがオススメです。その後、ちょっと蓮っ葉な感じになったキャラや楽曲にはあまり惹かれませんが、それもこのベストを聴けば納得いただけるでしょうか。なお、コンプリートとはいえ、80年代ですから、90年代の「愛しのバカヤロー」とか、サザンのカバー「海」は入っていませんのでご注意を。なお、ミッチョン盤の他も、かなりお安くなっていますので(みづえさんも5000円→3800円)、前回買い逃した方はぜひこの機会にどうそ。タイトルによっては旧盤が生きていますので、お求めの際は型番、価格のチェックをお忘れなく。
(2008.7.1)