おフランス的日本女子が綴る、ピュアな物語。
25周年記念アルバム「 music & me 」も好盤で、高橋ユキヒロ、鈴木ケーイチさん、大貫ター坊ら豪華なゲスト陣に祝福されたライブ(コレはぜひとも見たかった…)も盛況だったとか。そんで先月には旧知のユキヒロや高野寛くんたちと新バンド・pupaを結成しアルバムを発表するという大ニュースも飛び込んでくるなど、知世ちゃんの音楽に懸ける意気込みはまたまたアツくなっている模様です。
そんなタイミングを受けて登場するのが、ソニー時代を中心にポニーキャニオン、EMI時代のシングルも一部収録した「 GOLDEN☆BEST/原田知世 」。G☆Bのラインアップに仲間入り、ワタシは知世ちゃんと同い年ですし、ある時期までは大ファンでしたので、ソニー時代の楽曲にもたくさん想い出が詰まっています。
ここで、知世ちゃんの軌跡を簡単におさらいしときますと、初期の知世ちゃんは主演作の主題歌をシングルとしてリリースしていたんですよね。デビューの82年から翌年にかけ、ポニーキャニオンから角川の名作をテレビ版2作、ブレイクのきっかけとなった映画テーマのユーミン作品「時をかける少女」の3枚を発表。角川レーベルができた83年後半からは、自主制作扱いでミュージカル主題歌のテーマ「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ〜」、ナンバー1ヒットの「愛情物語」を東芝EMIから。そして角川レーベルの最終作「天国にいちばん近い島」からはソニーからの発売となったワケですが、今回はそのソニー時代の作品集となるようです。なお、その後、トーレ・ヨハンソンとのコラボをきっかけにオシャレな渋谷系と呼ばれたりするのはフォーライフ移籍後のお話です。
ホントはポニキャンからソニーまでの軌跡をきっちり追うのがオススメなんですが、垣根を越えてシングルを時系列で網羅し、長いことロングセラーを続けていたシングル・コレクションも廃盤になりましたんで、ちょっと残念ではあります。ただ、その代わりと言える「 2000 BEST 」が出ています(時系列順ではありませんが収録曲はほぼ同じ)ので、そちらもどうぞ。
と言いつつ、今回は「ずっとそばに」(できるならオリジナルバージョンを望む)も収録されることだし楽しみです。ソニー時代の知世ちゃんのシングルでは、大好きな森村桂さんの原作とはちょっと違ってたけど、ピュアな少女性が際立ったナンバー1ヒット「天国にいちばん近い島」も大好きですが、隠れたヒット曲としてオススメしたいのはオトナっぽくポップに変身したCMソング「どうしてますか」。ダンサーを従えて軽やかなステップを踏む知世ちゃんの姿を覚えておいでの方も多いことでしょう。今回はB面曲も入るらしいので、きっと聴きごたえがあることでしょう。
それと強烈に覚えているのが、当時のコンサートでナマで見て、その迫力に度肝を抜かれた「雨のプラネタリウム」。この曲、リマスタリングというレベルではなく、リミックスであのダイナミックな感じを再現してほしいなと、20年以上思い続けているワタシです。
ほかにも、早くから凛としたリセエンヌ的魅力を見抜いていたター坊のセンスが光る「彼と彼女のソネット」など、本物の少女だから表現できた少女性が素敵です。
そう、ソニー時代には、完成度の高い楽曲とともに、あのか細いノンビブラートが次第に完成していき、表現テクニックをしっかりと身につけている様がつぶさに記録されているのです。例えるなら、おフランスのオジさまの手ほどきによって、華麗な変身を遂げる少女の物語をめくるよう。
もっとも、昭和の少女・芳山和子を本能的に表現してみせたように、和的な魅力もあふれる知世ちゃん。「時かけ」を鑑賞して大泣きしたという林真理子原作のNHK銀河テレビ小説(テーマ曲の「本日晴天」は残念ながら収録されず)とか、ああいう白いブラウスにプリーツスカート、カーディガン、というような控えめな昔の日本女子もぴったりハマってますよね。
そんな凛とした知世ちゃんを思い出しながら、このベストを聴きましょうか。当時のスカスカした音が、08年のナチュラルなリマスタリングでどう輝くか、そのへんも興味シンシンなワタシであります。
(2008.4.5)