エアチェックが日課だった、あの頃へ—。
ステレオ放送の高音質で、新譜やアルバム曲が1曲まるごとたっぷり聴けたり、独自の公録やスタジオライブがあったり、ほかのメディアにはなかなか出ないアーティストがDJをしたり、いろんな魅力が満載だったFMラジオ。
個人的に今ではカーステレオでたまに聴いたりするだけになってしまいましたが、あの頃はみんなこぞってラジカセやコンポのチューニングを合わせていましたよね。
聴きたい音源がクラスでの回し聴きやレンタルレコードだけでは賄いきれない上、お小遣いに限界があった中高生にとっては、FMだけが頼みの綱!エアチェック命!なんていう人も多かったのではないでしょうか。
もちろんワタシもそんな1人。買うほどではないけど押さえておきたいヒット曲はもとより、アルバム半分ぐらいはラクに聴けちゃう特集コーナーをエアチェックして、ベストコレクションテープを作ったり。毎日がベスト盤のようだったNHKーFMの「ひるの歌謡曲」なんかは、よくタイマー録音をしたものです。
レコードを買うための試聴機みたいな感覚で聴いてたこともあったし、聴かず嫌いで興味のなかったジャンルに導いてくれたのも、FMだった気がします。
なんとなく受験勉強はAMラジオ、エアチェックはFM、みたいなノリがありましたが、そういったシーンでフル活用させていただいたのが週刊エフエム情報誌でした。レコパル、fan、週刊、ステーション…今やすべてが廃刊となり、人々の記憶から薄れてはいますが、一世を風靡した時代があったんですよね。
ワタシの場合、自分でFM誌を買うようになったのは70年代の終わり頃から。書店で各誌を毎週チェックするのが習慣となった時期もありましたが、「FM STATION」が創刊されてからはもう一本槍という感じでした。
他を圧倒する大判サイズ、鈴木英人の表紙のイラスト、オシャレなカセットレーベルなど、魅力満載。個人的には記事の写真がカセットサイズで掲載されてた点や、余白に印刷されたアーティスト名背ラベルがとても重宝しました。
特に印象に残っているのが84年の太田裕美さんのカラー記事。極端に露出が減っていた中での掲載はウレシイものでしたし、写真を切り抜いてカセットケースにしまったものです。大量にあったマイカセットも今はほぼ処分してしまいましたから、より遠い昔の気がします。定番はソニーのBHF、大事な音源にはなぜかDUADを使ってたなあ…。
と、またまた思い出話に花が咲きましたが、本題はコレ、懐かしいFM STATIONのコンピ盤です。今年の2月にビクターから洋楽編「 FMステーション(POPS版) 」と邦楽編「 FMステーション(J-POP版) 」が出ていますが、今回はその第2弾。ビクターの「 FMステーション(J-POP版)第2弾 」と、ソニーの「 FM STATION(J-POP版/ソニー・ミュージック編) 」の2タイトルとなっております。
ジャケットにはロゴはもちろん鈴木英人さんのイラストも入って、まさにあの表紙を彷彿とさせますし、FMで人気の高かったアーティストをざくっと俯瞰したような選曲も時代感にあふれています。本誌が存在しなかった70年代が入っているのはご愛敬として、80〜90年代を中心に、ナツメロ大好きな人でも普段あまり聴く機会のない曲がチョイスされているのもイイですね。
ビクター編では、80年代末によく聴いた今井美樹の「空に近い週末 」やラジオといえばEPOの「土曜の夜はパラダイス」が懐かしいし、ソニー編では、確かにエアチェックしたスタレビの「夢伝説」や、FMで聴いてCDを買いに走ったKANの「まゆみ」、最近はpupaで頑張ってる高野寛くんの「夢の中で会えるでしょう」、スズキステーションキッズを思い出す千里くんの「dear」など男性陣の楽曲にドキッとしますね。
村田和人さんとか、世間的にはメジャーでなくとも、FMでプッシュされ、ヘビロテされてた隠れ名曲のラインが挿入されてるのも素敵。ベッドの上でFM STATIONをパラパラとめくり、番組表をチェックしてた頃に、ふと帰れそうなコンピです。
(2008.10.14)