ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤350

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#350

ハイ・ファイ・セット/アルファミュージック編 1975〜1978

(2009.7.15発売、MHCL-1551〜4、¥6,300)

ついに発売!待望のアルファ音源コンプリート4枚組!

 1974年、赤い鳥が解散した翌月の10月に、そのメンバー3人(山本潤子、山本俊彦、大川茂)で結成されたコーラスグループ、ハイ・ファイ・セット。
 今年で結成35周年、潤子さんがメインながら全員ソロをとれるという実力で、抜群のファッショナブルなハーモニーを聴かせた彼らですが、いろんなことがあったりして94年に解散してしまいました。あれからもう15年にもなるのですね。

 アルファ、東芝、ソニーにまたがる歴史を持ち、数々の名作アルバムを放ってきたハイ・ファイ・セットも、各社Q盤での復刻が終わった後は、長らく廃盤の状態が続いておりました。
 特に企業の事情で真っ先に入手不可となっていたアルファミュージック時代のオリジナルアルバム5タイトルを求める声は多かったように思います。あれほどの売り上げを誇り、多くの人々の胸を打ってきた傑作ぞろいですからね。

 ソニーを窓口に、アルファ音源の再発が進み、定期的にベストが出たり(映像付きの「 CD&DVD THE BEST ハイ・ファイ・セット(DVD付) 」がオススメ!)、シングルコンプのBOX「 ハイ・ファイ・セット GIFT BOX 」が出たりしていましたが、全音源復刻が実現した赤い鳥やガロ、サーカスを横目に、淋しい思いをしてた方も多いと思います。

 もうそろそろアルファ時代のアルバム復刻がされてもいい頃ではと思っていましたが、ようやく実現することになります。それがコンパクトな4枚組にまとめられた「 ハイ・ファイ・セット アルファミュージック編 1975~1978 」。
 文字通り、75〜78年の間にアルファから発売された音源を網羅。アルバム全曲はもちろんのこと、シングルや別ヴァージョンも含むというサービスぶり。2005年に出たサーカスの「 サーカス アルファミュージック編 1978~1980 」と同じスタイルとなっておりますが、その充実度ははるかに上回りそうです。

 ここでアルファ時代の5枚のアルバムを簡単に紹介しますね。
 まず75年2月のファーストアルバム「hi-fi set」。後に「卒業写真」と改題されたことでも分かるように、同時発売のユーミン書き下ろしの同名デビューシングルを収録。アルファの村井邦彦さんと、あの川添象郎さんがプロデュース。アレンジは服部克久先生という普遍性の高い名作です。コーラスアレンジはかの岡崎広志さんですから、いかに質の高いコーラスをめざしていたかが分かるでしょう。
 「フィッシュ・アンド・チップス」のノリはいつ聴いてもウキウキしますけど、マイベストは山上路夫さんの詞が泣ける「胸のぬくもり」。

 続いて76年4月、大ブレイクを果たしたユーミンブームを追い風にしたセカンドアルバム「ファッショナブル・ラヴァー」。松任谷マンタさんサポートのもとユーミン作品9曲を収録。「ファッショナブルなものをやろう」という彼らの方針が結実したアルバムで、バッキングはティン・パン・アレーが担当。今聴いてもオシャレです。オリコン5位、55週もチャートインする出世作となりました。
 舶来品みたいに感じた「フェアウェルパーティー」や大貫ター坊も歌った「荒涼」、「朝陽の中で微笑んで」など全部好きですが、イチバンは唯一ユーミン作品ではないタイトル曲だったりします。

 そして77年、ハイ・ファイの名をお茶の間にまで轟かせた大ヒット曲「フィーリング」を含む77年の「ラブ・コレクション」。オリコン1位をマークし、なんと11週にもわたりトップを独走、アルバムセールス年間ナンバー1という輝かしい実績を残しています。ドライブをオシャレに楽しむBGMとして、カーステレオでハイ・ファイを聴くのが大流行。かつてイトコのデートにコブ付きとして参加した時も確かにハイ・ファイがかかっていました。
 ここでは、ユーミンのカバー「雨のステイション」が大好きでした。そのおかげで最初ピンとこなかったオリジナルも聴き直したものです。

 大ブレイクした次はアメリカ録音のアルバム「ザ・ダイアリー」。ご本人たちも出演したヤマハ・パッソルのCMソング「風の街」や、ニール・セダカのリメイク「恋の日記」、ガロのカバー「個人的メッセージ」なんかが入っていますが、全体的にはぐっとムーディーに。
 中でもシンシア・ウェイル+バリー・マンの名コンビによるバラードのカバー「遠くからみちびいて」は秀逸。岩谷時子先生の愛に満ちた訳詩に心が満たされること請け合いです。

 最後は78年の「SWING」ですが、個人的にはコレがフェイバリット。「空港まで」や「レディー・グレイ」といった洗練されたシティポップスも大好きですが、別格なのがミシェル・ルグラン御大のメロディーにのせた谷川俊太郎さんの詩を、ピアノとストリングスをバックに潤子さんが歌う「火の鳥」。手塚治虫先生原作、村井さんが私財をなげうった映画のテーマにして、松崎しげる、サーカスとの競作となりましたが、ハイ・ファイ版は崇高な芸術です。こちらでも書きましたが、今もって大空から行く先を導いてくれるような名曲だと思いますね。

 という5枚のアルバムですが、このリイシューではシングルバージョン、名ベストシリーズ「ハイ・ファイ・ブレンド」の別バージョンなども網羅。桜田淳子も歌った「夕なぎ」ももちろん入っています。そして目玉は、初CD化となるボーナストラック「ディスコ・ベイビー」「グッド・ナイト・ベイビー」。これはカウント・バッファローのアルバム「テイク・ミー・トゥーディスコ」への参加音源とのこと。
 というアルファ時代のハイ・ファイ・セットをぎゅっと詰め込んだ完璧パッケージ。紙ジャケ復刻を望む人も多いとは思いますが、コンパクトに聴けるこのスタイルもいいですよね。何よりリーズナブルですし。これが売れて、東芝、ソニー時代もまた再発されますように。

 なお、赤い鳥、ハイ・ファイ・セット時代を含む潤子さんのヒストリーベスト「 GOLDEN☆BEST 山本潤子(赤い鳥/ハイ・ファイ・セット) 」も同時発売されるとか。今となっては貴重なソニー時代のソロも聴けますし、こちらもあわせてどうぞ。ところで潤子さんは、なんと今年で還暦をお迎えになるそうですが、あの美声をキープなさっていることにオドロキですね。「あの日にかえりたい」の印象的なスキャットや「HONG KONG NIGHT SIGHT」のコーラスでもおなじみの潤子さん、ユーミンファンの皆さんもぜひこの機会に。

(2009.5.1)


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