未発表曲入り!キャンディーズ史上最大の紙ジャケBOX!
前にもこちらで書きましたが、今年はキャンディーズのデビュー35周年にして解散30周年のメモリアル・イヤー。4月4日の盛り上がりも覚めやらぬまま、いろんな動きが続いていますが、同窓会で告知されていた大型企画の予約がついにスタートしました。
ファーストの「あなたに夢中〜内気なキャンディーズ」からラストの自作自演集「早春譜」までのオリジナルはもちろん、ライブ盤、さらには4ch全曲集のベスト盤に至るまでキャンディーズのアルバム全15タイトルを紙ジャケ復刻! CD20枚組、全309曲の予定で構成される完全生産限定BOX「 キャンディーズ・タイムカプセル 」です。
キャンディーズの箱は、94年の通販BOX「キャンディーズ バイブル」から始まって、98年の20周年BOX、04年のフィギュア付きプレミアムと、節目節目にいろんなスタイルで登場しましたが、今回は史上最大のスケール!B面を含めアルバム未収録のシングル曲や、過去にCD化された別バージョン「暑中お見舞い申し上げますPARTII」や「やさしい悪魔」の初回木魚バージョン(?)をはじめとするレア・トラック、西慎嗣くんらMMPの関連シングル曲、そしてマニア待望のシングルA面カラオケまで、各アルバムにボーナストラックとして収録されるようです。
目玉は、何と言ってもこのBOXのためにナベプロの倉庫から発掘されたという32年前の未発表音源「霧のわかれ」。何でも「哀愁のシンフォニー」と同時期にレコーディングされた別バージョンのような曲なんだとか。コレは是が非でも聴きたいですよね。この一曲のためだけに買うことを決めるファンも多そうです。
さらに、全シングルのジャケット復刻など写真もふんだんに入れた豪華ブックレット付き。全キャン連の流れでゆかりある方たちも協力なさっているようだし、資料性も含めてこれ以上のものはない仕上がりになる模様です。ワタシは選書から始まって、BOXが出るたびに買い替え、買い替えで来ていますが、キャンディーズのCDはマスターの問題なのか音がイマイチだと感じているので、今回は24bitデジタル・リマスタリングによってどこまで改善されるのか、とても期待しています。
アルバムの中身はと言いますと、何と言ってもウレシイのが74年のベスト盤「キャンディーズヒット全曲集」のハイブリッド復刻。皆さんご存じでしょうが、コレはソニーのSQ方式4chステレオ・クウォドラフォニックシステム仕様の音源。ミックス違いやボーカル差し替えもある上、従来のベストものとは一線を画した構成で、歌手自らが考えセルフタイマーで撮影したというしたジャケット、アーティストからあなたへのメッセージ、ピンナップポスター付きと、レアな豪華版なのですね。今回はハイブリッド盤で出た百恵ちゃんに次ぐ待望のCD化となりますが、ワタシの望みはその先へ。余談ですが、これをきっかけに念願の「南沙織ヒット全曲集」(誤解してる人も多いのですが、シンシアの場合はシリーズ中唯一、あからさまに歌い直した録音入りです)へとつながることを相も変わらず祈っているのです。むろんマスター発掘が先でしょうけど。
他のも駆け足で紹介しておきますと、オリジナル・ポップス&アイドルを歌う73年のファースト「あなたに夢中〜内気なキャンディーズ」はナベプロらしく宮川泰先生のテーマ曲がキュートで、シンシアや真理ちゃん、ひろみらのカバーも炸裂。セカンド「危い土曜日〜キャンディーズの世界」はB面の英語カバーに注目、ただのカワイコちゃんグループでは終わらなかった理由がのぞきます。いっしょに歌おうヒット・オリジナル&フーテナニー曲集「なみだの季節」は当時でも古い歌声喫茶のノリもありますが、よくあるディレクターの趣味によるお仕着せみたいな感じはなく3人にとても合ってますね。「シュガー・ベイビー・ラブ」は秀逸で、3人の中で最もウマくて表現力に富んでいたのはミキだったことをあらためて確認できるでしょう。
そして一気にブレイクしてオリジナルで構成した75年の「年下の男の子」は、何と言っても穂口雄右さんの名作「春一番」の初出が聞き物。ソウルに挑戦した「その気にさせないで」ではコーラスワークもぐんと安定感が出ています。「プロポーズ大作戦」のテーマが抜きんでた「春一番」もいいですが、ワタシが最高傑作だと思っているのが「夏が来た!」。アグネスの引退劇とは関係ないんでしょうが、ムーンライダースの面々が総力を結集した作品集。オシャレなソフトロックファンにもオススメします。レコードでは文字通り3面だった「キャンディーズ11/2」はビートルズにも挑戦したほか、自作自演曲を含みアーティスティック。今回はCD選書と同じく2枚組だそうです。
さらに衝撃の引退宣言直後、CBS・ソニー10周年の冠がついた77年の企画盤「キャンディ・レーベル」は、ナベプロらしくピーナッツに挑戦したりしていますが、珠玉は普通の女の子の素直で牧歌的な心情に和む「気軽な旅」でしょう。そして解散秒読み、5枚組大全集「キャンディーズ1676日」は新録音の2枚分を復刻ということですが、超大作のタイトル曲がオススメ。穂口さん渾身、ヒット曲のフレーズを音としてはさんだ、「微笑がえし」の姉妹曲と言えそうです。そして最後は、自作自演集「早春譜」。ファン以外にはツラいかもしれませんが、3人の個性が浮き出た作品です。通して振り返ると、キャンディーズの実力や、穂口さんを核とする作家陣やスタッフの、並々ならぬ愛情を感じますね。
さて、キャンディーズはステージなどお客さんのいる前で本領を発揮するタイプだったと思いますが、それが如実に感じられるのがライブ盤。蔵前国技館の「10000人カーニバル」と続編「キャンディーズ・ライブ」、最後はおなじみの「ファイナルカーニバル プラス・ワン」。選書盤が出ていたもののプレミアムとかではチョイスのみだったので、今回は全音源一挙に聴ける上、紙ジャケになるのが楽しみという人も多そうです。
以上、アルバムを通して聴けば、マスコットガール的なアイドルから本格的なコーラスグループへ成長した軌跡と、歌はもちろん、ライブもコントも手抜きを一切しなかった3人の美しき精神が手に取るように分かることでしょう。というこの超BOX、とても割安でお得なんだけど高額なので、ここはひとつ早めに予約。9月にタイムカプセルを掘り起こす日を夢みて、積み立てをスタートし準備万端でその日を待つことにしときましょうか。なお、 SonyMusicShop ほかでは先着予約特典としてB2サイズのポスターも付くようですぞ。
(2008.6.4)