湘南の風に吹かれて…兄弟デュオの軌跡
歌声もサウンドもたたずまいも、さりげなくてお洒落でカッコよくて、昔から憧れのご兄弟・岩沢幸矢さんと二弓さん。
それがワタシの思うブレバタですが、昨年、ユーミンや森山良子さん、ムッシュ、杉さんら、豪華な布陣による久々のオリジナルアルバム「 海岸へおいでよ 」をリリース、大きな話題になりましたね。一時引っ込んでいた時にやってたという湘南カフェを再現したかのような素敵さ。本物の大人たちが繰り広げる、真に上質な世界でした。
潮風と緑といいますか、昔から自然体ロハスという感じのお二人が奏でる音楽をあらためて聴いて、ああ、これこそ大人の音楽だなあと実感したワケであります。そんで、こういう確固とした信念をさりげなく持った音楽、耳の肥えた大人の鑑賞にも堪えうる音楽を、もっと大切にしなければなあと痛感したワケであります。
だって、本来ならこういう世界に触れることなど許されないワタシでさえ、CDがあれば仲間入りしたような気になれちゃうんですもん。最近テレビで岸部シローさんを見かけるたびにつけ、余計に唸ってしまったりして…。
で、そのニューアルバムの作家陣がこぞってゲスト出演した豪華ライブも入ったDVD「 茅ヶ崎・東海岸 カフェ・ブレッド&バターの軌跡 」も出るのですが、同時にハイブリッド盤2枚組のベスト「 シルバーブレッド&ゴールドバター〜ブレバタ アーリーベスト 1972-1983〜 」が発売されることになりました。
紙ジャケ復刻も進むブレバタですが、今回のベストは72年から83年まで、ポリドール、コロムビア、アルファ、TDK時代という初期を一通り網羅したものになるようです。
よって、筒美先生作曲のデビュー曲「傷だらけの軽井沢」や、ワタシたち世代ではカラオケでもよく歌われておなじみの「センチメンタル・フレンド」、「タッチ」の主題歌(タイトル失念!)なんかは入っていないようですが、彼らの繊細なのに強い芯が見え隠れする魅力が堪能できる内容だと思います。
ワタシの場合、初期はあんまり知らなくて、まず79年のユーミン作の「あの頃のまま」で衝撃を受けましたね。チョー大人な世界と“サイモン&ガーファンクル”の発音も憧れて練習した(赤面)…。
一連のユーミンつながりの部分や、変名で歌った筒美作品「青い地平線」も名曲でしたが、決定的だったのが82年、三田寛子が「色づく街」のB面でカバーした「ピンク・シャドウ」。とにかくカッコよさに驚きました!ファンの方たちはスルーするでしょうが、ワタシ、オリジナルや達郎のよりも三田さんのバージョンが大好きで、再CD化を切望中です。
そんなことからちゃんと聴くようになって、ユーミンが訳詩したスティーヴィー・ワンダーの「特別な気持ちで」(「心の愛」の日本語版です)とかもよく聴きました。昔からスティーヴィーと交流があって、ブレバタの初期のアルバムに参加してるという話を耳にしてたまげたのもこの時でしたね。
ブレバタの場合、ベストは結構出てたように記憶してますが、再録音やセルフカバーも多くて、時系列で追ったベスト、しかも2枚組っていうのは貴重ではないかと思います。SACDとのハイブリッド仕様だから、とてもいい音で聴けるうえ、とってもお買い得。
流行のロハス系ミュージックが好きなあなたにも、陸サーファーのキミも、もちろんユーミンファンの人にも、本物志向の皆さんに、肩の力を抜いた初夏のBGMとして、ぜひおすすめしたいベストです。
(2008.3.5)