これが日本のウォール・オブ・サウンドだ!
コンピ盤狂乱時代はまだまだ続きますが、その乱発に辟易とするせいで面白いモノに出逢った時には、喜びもひとしおです。
で、今回ご紹介しますのは「 音壁JAPAN 」。文字通り、ウォール・オブ・サウンドによる楽曲を集めたものとなっています。
かのフィル・スペクターが広めたというウォール・オブ・サウンドですが、日本でその影響を受けた第一人者と言えば、言わずもがな大瀧詠一御大。
であるからして、このコンピも、大瀧作品や関連アーティストが中心となっております。
御大の作品で言うと、シリア・ポールの「夢で逢えたら」から、聖子ちゃんの「一千一秒物語」、太田裕美「恋のハーフムーン」、渡辺満里奈「うれしい予感」、そして聖子の「風立ちぬ」の元歌だったという大滝詠一「青空のように」などなどとなっております。
トライアングルの二角、佐野元春「SOMEDAY」、杉真理「夏休みの宿題」も収録。後は芋ヅル式に、須藤薫の小西さんプロデュース曲「つのる想い」、ユーミンの「昔の彼に会うのなら」の原曲となったポニー・テールの「二人は片想い」というワンダフルムーンつながり、シュガー・ベイブの「雨は手のひらにいっぱい」というコーラスつながり…エトセトラ、相関図で俯瞰したい感じのメンツですよね。
この中で、日本のウォール・オブ・サウンドのルーツと言えるのが、DJでもおなじみ、高橋基子さんことモコやシリアのオリーブらがメンバーだったモコ・ビーバー・オリーブのオールデイズ「わすれたいのに」(PLファンにもおなじみの名曲ですね)。こういうコンピでこそ光り輝く名曲だと思います。
ほかにも、岡崎友紀のYUKI名義のヒット曲「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」、シーナ&ロケッツ「YOU MAY DREAM」、多岐川裕美「酸っぱい経験」、中山美穂& WANDS「世界中の誰よりきっと」など、なるほど系から意外系まで、さまざまなチョイスです。
何だか、大滝フリークの友だちがくれたカセット、みたいな雰囲気もありますね。
なお、今回のリリースの裏には、大滝さんの「 ナイアガラ・カレンダー 30th Anniversary Edition 」と、大瀧さんが訳した研究本「 フィル・スペクター 甦る伝説 増補改訂版 」のスペシャル復刻があるそうです。
(2008.2.13)