王子様の奇跡の名盤、紙ジャケ再発!
デビュー曲「てぃーんずぶるーす」から「キャンディ」「シャドー・ボクサー」とシングルを3ヵ月連続でリリース、歌謡界初のトリプル・シングルデビューを飾り、天才少年と呼ばれた真二くんもデビュー30周年。
これを記念し、あの超名盤のファーストアルバムが、紙ジャケット、ボーナストラック付きの「 Feel Happy 2007~Debut 30th Anniversary~ 」として再発されることになりました。
フォーライフの新人オーディションで見出された、18歳の王子様。
「ポーの一族」というか「はみだしっ子」というか、アンニュイで知的な少女マンガから抜け出てきたようなルックス、繊細かつ壮大で奔放な音楽性…フォーライフ社長にしてプロデューサーだった拓郎を音楽で唸らせ、さらは容貌では「可愛くてヘンな気持ちになった」と言わしめたほどですから、始まったばかりの「ザ・ベストテン」で歌う姿に、あの頃の小中高校生は女子を中心にほとんどKOされたようなもんでした。
同時期にブレイクしたチャー、世良公則とロック御三家なんて言われ、明星の表紙やグラビアを飾り、一躍ティーンのアイドルになってしまったことはご存じの通り。
ワタシはチャーも好きでしたけど、やっぱり真二派でした。松本さんの詩世界が素敵だったし、ピアノの弾き語りというのも好みでしたし。
このファーストアルバム、改めて聴いてもレベルの高さに驚きますし、とても普遍的でオシャレ。
大ヒットしたのは内容が素晴らしいせいでしたが、それに劣らずプロモーションもスゴかった。ニューミュージック系を得意としてたレコ屋さんは当然として、歌謡曲、演歌系のお店でもポスターがたくさん貼られ、予約しただけでポスターがもらえたんですから。この効果はグンバツだったようで、オリコン史上初の、アルバムチャート初登場1位を記録しましたね。
この後の4枚目のシングル「タイム・トラベル」(大好きです)では紅白出場を果たすことになりますが、だんだん毛色が異なってきて、第5弾の「サゥザンド・ナイツ」を出す78年夏ごろから苦悩というか、自己主張が強くなったというか、ちょっと違う方向へ行ってしまったように思います。
もちろん、それが本人の本来の志向だとは思いますが、その姿はみんなが惹かれ夢みたアイドル・原田真二の音楽ではなかった…。
でも、若き天才の、すべてが奇跡的な一瞬、言い換えれば長い人生の中ですべての輝きが調和した旬を、こうして一枚のアルバムに封じ込めることができただけでも素晴らしいことだったのかもしれません。
近年、松田聖子のステージで、懐かしい「てぃーんずぶるーす」や「キャンディ」を歌うお姿を拝見したことがありますが、ルックスはロックくずれの怪しいオジさんみたいになっても、ピュアな名曲は変わることがなく、大衆に支持された歌の色あせない魅力を感じたことでした。
なお、今回はアルバム未収録だった第3弾「シャドー・ボクサー」と、「タイム・トラベル」をプラス、さらには2007年新録バージョンも入るとのこと。
フォーライフを離れクライシス時代の作品も「 原田真二&クライシス ポリドール・イヤーズ完全盤 」として同時発売されるそうです。
(2007.8.28)