オススメ復刻盤「青江三奈/passion mina in N.Y.」

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#221

青江三奈/passion mina in N.Y.

(2007.8.24発売、THCD-053、¥2,520)

THE SHADOW OF LOVE(THCD-054)も同時発売!

青江三奈90年代のジャズアルバム、ふたたび!

 物心ついたかつかないかの頃、テレビで初めて青江さんを見た時の衝撃は忘れることができません。

 あの金髪、あのメイク、あの声。とてもコワかった。後にCDを買うなんて想像してもいませんでした。その時から20年以上が経ってオトナになったワタシが買ったCDとは、むろんブルース演歌のベストではなく、2枚のジャズアルバムだったのです。

 それが今回再発されることになった2枚です。
 何でも、レア・グルーヴ系の復刻を続けるTHINK!レーベルから「昭和ジャズ復刻シリーズ」としてのリリースだそうですが、ワタシはビクターからの復刻じゃないのがとても残念。復刻ってメーカー純正というのがミソだと思いますしね。

 ワタシにとってのビクターって、やはり日本ビクターの最後からビクター音産時代ですが、本当に親しみやすい、素敵なアルバムを届けてくださいましたし、素晴らしい財産を保有しているのだから、いろいろあるとしても自社の宝物は自社でしっかり認識なさって、きちっと守って活用していただきたい、なんて思っています。

 最近は復刻も活発なようですけど、メーカーとしての信念をもうちょっとアピールしてほしい。絶対勝算が見込めるものもまだまだ眠っていると思いましね。何だかんだ言っても、ワタシはCBS・ソニーと同じくらいビクター音産のレコードをたくさん買ってきたワケだし、愛着がありますから、ホントはとても応援しているのです…。

 とつい熱くなってしまいましたが、話を青江さんに戻しましょう。
 チータと並んでもともとジャズを歌っていて、ホントはジャズメインの活動をしたかったという青江さん。ステージではもちろん、LPでもよく歌っていたようですが、アメリカレコーディングによる本格的な取り組みは93年のこのアルバムから。

 「気がつけば別れ」という素敵な邦題が泣かせる「 THE SHADOW OF LOVE 」です。
 スタンダードを中心に、自身のヒット曲なども青江イングリッシュで聴かせるこのアルバム、バックにグローバー・ワシントンJr.やマル・ウォルドロンなど一流ジャズメンを従え、ナット・キング・コールの弟、フレディ・コールとのデュエットもあり、青江さんの並々ならぬ熱意が存分に感じられる仕上がりとなっています。

 ワタシの場合、どうしても英語の発音が気になってしまって、CDは誰かに貸したら借りパクされちゃったままでしたが…。なお、音源はオリジナル廃盤の後もBOX「 ~Blues AOE~全集 」(こちらでも紹介)で全曲聴ける状態にありましたから、再発はさほど切望されてなかったみたいですね。

 で、ジャズ熱が高まった青江さん。95年にはニューヨークで30周年記念ディナーショーを行いますが、その模様を収めたのがスタジオライブ風の「 PASSION MINA IN N.Y. 」です。

 こちらは日米混合一流ジャズメンとのセッションで、小粋にスイングする青江さんのリラックスしたパフォーマンスが楽しめます。青江さんにとって、ステージはお手のものなので当然だとは思いますが、スタジオ録音とは比べものにならないほど、力を抜いてアットホームなムードで歌っているのです。
 それは観客が現地にいる日本人や日系の皆さんが中心らしいせいかもしれないけど、ワタシはこの静かだけど熱いパッションが感じられる雰囲気が大好きでして、今でもよく愛聴しています。

 NY の雑踏から始まるオープニングも、「MOANIN'」に重なるMCと「伊勢佐木町ブルース」の流れとかもとてもいいのですが、中でも、舶来カバーズのコーナーでも紹介しましたビリー・ジョエルのカバー「NEW YORK STATE OF MIND」は秀逸。
 「気がつけば別れ」では気になってしょうがなかった英語が、これも青江節と思えるほど情感的で、うたごごろは言語のセオリーをも超えることを実感します。自らのヒット曲「国際線待合室」や日米うたの架け橋「スキヤキ」など、ジャズそのものでないのも余計気軽な感じがして、青江さんのジャズは…という人にもオススメできます。ジャケットもステキですしね。

 という青江さんの再発2枚。復刻と言ってもいずれも90年代の作品なので、ワタシの場合懐かしさはありませんが、和製ヘレン・メリル、青江さんを偲んで、お酒か片手に耳を傾けることにしましょうか。

(2007.7.22)


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