オススメ復刻盤「松田聖子／プレミアム・ボックス」

　昨年大きな話題を呼び、10億円以上のセールスを記録したと言われる聖子の10万円BOX。

　あのスケールでアンコールプレスされるなど、前代未聞の賛否両論、さまざまな物議を醸したのは記憶に新しいところです。
　第21回日本ゴールドディスク大賞では、企画・アルバム・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞したほどだし。ワタシとしても迷った挙げ句、リマスタリングの誘惑に勝てず、つい買ってしまったのですが、ホントはオリジナルアルバムだけで満足だったし、ホンネを言えば“街角キャッチセールスにつかまって気づいたらハンコ押しちゃった”状態という感があったのは事実です。

　確かにLPサイズのでかジャケは懐かしいスイート・メモリーズを連れてきてくれましたし、単価はめちゃ安だし、疲れてた時期の声もキラキラさせてるマスタリングだしとCD自体には大満足でしたが、ツアーで売ってたタカラのSEIKOちゃん人形のお家みたいなパッケージには正直言葉を失いました。デ
　ィスクの出し入れは困難を極め、おいそれと聴くわけにもいかず。買った時のままの状態で鎮座してたりして。

　アレはセレブな聖子ファンの方々向けで、ビッグなモノがわんさとあってもビクともしない豪邸仕様だと、ひねくれる気持ちが根底にあったのかもしれないけど…。
　ウサギ小屋のわが家では、いまだ輸送用段ボールに入ったまま収納場所を探して放浪する“困ったちゃん”と化しています。

　そんな所に飛び込んできた、このプレミアムなお知らせ！
　老若男女みんなが聖子好きだった80年代、それも80年から88年までのアナログ時代に限っての音源を網羅した通販＆生産限定「松田聖子プレミアム・ボックス」です。

　山口百恵、キャンディーズ、南沙織、天地真理と続いてきた、ソニーが誇るビッグアイドルをリイシューしそれぞれのファンを満足させてきた大ヒット企画“Premium”シリーズとしてのリリースというだけでも心動かされます。しかも今回はシンシア以来、聴いて楽しい、見てうれしい、日本人ならつい愛でてしまうコンパクトな紙ジャケ復刻のBOX。

　この分野では業界ナンバー１と評されるソニーの、あのコワザ満載の仕様というだけでもうれしいのに、その内容たるや！ 小姑より手厳しいとウワサのツワモノ聖子ファンさえ黙らせる構成ではないでしょうか。

　紙ジャケが出ると信じて10万円BOXを見送った人も、ワタシのように持てあましてる人も、そして聖子のモノなら出るモノみんな欲しいというグッズ買いの皆さんも、絶対満足できるであろうBOXだと思います。
　25周年カウントダウン時にリリースされたドーナツ盤復刻と対をなす企画というか、一緒に並べて聖子コレクションを満喫したいという人も多そうですね。

　ジャズの名盤や「シンシア プレミアム」でもおなじみ、マスターサウンドでのリマスターもウレシイ。中には、あくなき聖子商法だとあきれる御仁もいらっしゃるかもしれませんが、今回はすべての面で10万円BOXとは別モノだととらえるべきでしょう。

　内容は、まず記念すべき1stにして早くも聖子の原型が完成してるトロピカルLP「SQUALL」から、松本隆の区切り作品でありD.フォスターサウンドが印象的な「シトロン」まで、オリジナルアルバムが15作。

　それとデビューシングルの「裸足の季節」をはじめ、「青い珊瑚礁」から「旅立ちはフリージア」まで24作連続ナンバー1に輝いた黄金期ドーナツ盤全曲収録のマストアイテム“Singles”が3枚。
　ベスト盤のみに収録されていた楽曲をはじめ、ファンなら取りこぼせないボーカル差し替えとか別バージョンとかが、きちんとボーナストラックとして入っているのも見逃せません。

　さらにボーナスディスクとして、クリスマス企画曲をまとめた“Xmas”、「野菊の墓」「プルメリアの伝説」「夏服のイヴ」「カリブ・愛のシンフォニー」「幸福物語」という主演＆参加映画のサントラから歌入りのナンバーをチョイスした“Cinema”をセット。

　そしてそして、Sony Music Shopのみの予約特典として、未CD化だったものを含む映画のサントラからインスト名曲を集めた“Sound track”が付きます！ お買い得価格の上にコレをやられちゃ買わないコアファンはいないでしょうね。

　なお、オマケの別冊ブックは読みやすさを重視した歌詩集となっていますが、メイン作詩家であった松本隆さんの詩集としても楽しめそう。
　あと、デビュー以来の聖子ちゃんショットもたくさん載せてほしいな。なぜならワタシは悪趣味なので、聖子の顔の変遷を公式フォトでシカと追ってみたいのです。

　ああ、10万円BOXの時にはギリギリまで迷ったワタシですが、コレは迷わず即予約。皆さんもそうじゃありません？
　おそらくファンの間では、これまでの聖子BOXナンバー1だった「SEIKO SUITE」をしのぐ評価が出ることでしょう。

　ワタシは10万円BOXを里子に出すべきか、本気で考えてますが、あのでかジャケと今回のミニチュアを並べて愛でるという純粋なコレクター心を培養した方がいいのだろうか…。

（2007.4.9）

＊残念ながら「松田聖子プレミアム・ボックス」は発売中止となりました。ご注意ください。