薫ちゃんの紙ジャケ復刻、ここに完結!
杉サマ30周年のウレシイ副産物として紙ジャケ復刻が進んだ、薫ちゃんのオリジナルアルバム。
前回は一度目の引退までの分で、既にCD選書化されていたアルバムの再発でしたが、今回はその続編でファン待望となる初復刻です!
まずはソニー編。
87年、引退状態だった薫ちゃんが約3年の沈黙を破って出した復帰作、タイトルもずばり「 Hello Again(紙ジャケット仕様) 」です。杉サマや田口俊らおなじみの作家陣が顔をそろえているのに、何かが違う。すごく期待して聴いたせいもあるかもしれませんが、洗練されたというよりは何となく引き気味になってしまったように感じたのは事実です。今思うと、それは薫ちゃんの歌に対する姿勢の表れだったのではないでしょーか。
とはいえ、素敵なシティポップスがテンコ盛りで、杉サマのタイトル曲と「同い年の恋」をはじめ、わたせせいぞうのマンガが目に浮かぶ「坂道はパール色」、ご本人作曲の「美しい暦」など名曲は多いです。
続く翌88年の「 More Than Yesterday(紙ジャケット仕様) 」は、ジャケからして往年のアメリカンポップス復活かと身を乗り出したものですが、当時の印象で言うとワリと凡庸なシティポップスで、ガッカリした覚えがあります。
杉サマの手を離れ伊藤銀次がバックアップ、作家陣には旬の方も多く多彩だったんですが…。やっぱ打ち込みの音って、薫ちゃんのボーカルには合っていませんよね。
でも今回のリマスタリングではきっとオリジナルよりナチュラルに仕上がってそうですから、期待したいところです。結局、ソニーではコレが最後となってしまうワケです。
なお、ソニーからは本家・杉サマの全6タイトルも同時発売されます。
で、89年にはハミングバード(うわ、懐かしい!)に移籍した薫ちゃん。
まずは、ピチカート・ファイヴの小西さんがサウンドプロデュースした「 TENDER LOVE (紙ジャケット仕様) 」を出します。相変わらずアメリカンなジャケですが、今回は期待を裏切ることなくウォール・オブ・サウンド!
ただですね、ワタシはハマるというとこまで至らなかった。それはやはり初期のアルバムが傑作すぎるせいなんでしょうけど、何年か前の復活の際、あらためて聴き直したらいい感じだったので、ワタシは自分の感性を疑ったのですが、それって時代の主流となってる音楽のレベルが年々落ちてるからかも、なんて自己正当化したりしております…。
次の「 CONTINUE (紙ジャケット仕様) 」はよりアーバンなシティポップスというか、まるでトレンディドラマのような世界。小林明子さんも参加、彼女も好きだし薫ちゃんの世界にも合っていますよね。
タイトル曲は先行シングルだったんですが、なんと秋元康+林哲司というコンビでした。一見、林さんとは相性がよさそうに思えますが、それは80年代の林さんであって、秋元さんの詞とくっつくと…。秋元さんのトレンディな感じは、エバーグリーンな薫ちゃんとは対極に位置する世界のように思えてしょうがなかったです。
そう言いながらも、このコンビによる杏里的な「ミッドナイトにベイブリッジ」(アルバム未収録ですがボートラで入れてほしい)という曲は大好きでした。最近聴き返すとやはり「悲しみが止まらない」90年代バージョンみたいで安っぽく感じてしまいましたけど。
そしてラストの「 WINTER MOON (紙ジャケット仕様) 」。
コレ、ジャケットがどうも違う感じでしたが、内容は復帰後の中では最も良い出来ではと思います。それはブレバタの弟さんとの共同プロデュースのおかげでしょう。
ただ、コクっちゃいますと、復帰後のアルバムは惰性で買っていて、昔みたいにちゃんとは聴いてないんですね。やっぱり、あのキラキラした薫ちゃん独特のポップンワールドが影を潜めちゃったように思えたからなのですが。でも、それは楽曲が悪いんじゃなく、やはり音のせいだと確信してます。あの時代のスカスカ音は、薫ちゃんには似合わない。
であるからして、今回はリマスタリングに超期待です。いい音で聴き直すと、新たな発見がありそうだし、放っておいたアルバムが輝き出すかもしれません。ボーナストラックも楽しみですしね。
って、前回は迷うことなく買い直したワタシですが、今回は思い入れが少ないこともあって、ちょっと躊躇しています。紙ジャケでコンプリートしたい気持ちが勝つかどうか、というところです。ともかく、紙ジャケ復刻もここに完結、次は単独での新作を期待したいものですね。
(2008.1.15)