ビクターのオールスターによる阿久悠カバー集!
ことしの暮れは、阿久さん追悼企画が目白押し。
前に紹介したレコード会社5社合同企画「阿久悠を歌った100人」シリーズ(そもそもは40周年記念企画)のほか、5社に入らなかったキング集や、各アーティストの阿久悠作詞集など、メディアでの特集も含め枚挙にいとまがないほど。
阿久さんの偉大さ、遺した作品の素晴らしさが改めて分かるというものですが、ある意味で言えば亜流、ある意味で言えばワタシたち旧譜ファンが泣いて喜ぶ企画が実現しました。
それがビクターのアーティストによるカバー集「 君の唇に色あせぬ言葉を ~ 阿久 悠 作詞集 1978 」です。密かな期待は抱いていたものの、ホント夢のようです。マジで、ビクターさんに感謝申し上げます。
ご存じの皆さんは多いことと思いますが、コレは78年の阿久さん10周年の際、ビクターからリリースされたLPボックス「阿久悠 君の唇に色あせぬ言葉を」のカバー曲をチョイスしたもの。
現在のようにレコード会社の垣根を超えて音源が貸し借りされることのなかった時代、作家を特集したオムニバス盤を制作しても会社が違えば収録できず、オリジナルとは違うアーティストが歌わざるを得なかったんですよね。
当時としては、なんだかニセモノっぽい扱いを受けていましたが、今となっては超貴重なレア音源として、それぞれのファンからはCD化を切望する声がとても高かった。
そう、近年、ピンク・レディーのBOXや岩崎宏美、桜田淳子の紙ジャケ復刻盤のボーナス・トラックでCD化され話題を呼んだのが、これらの音源なのです。
ヒロリンや淳子ファンにとっては、もう不要なんて言う人も多いかもしれませんが、その収録曲とメンツが歌謡ファンには涙もの。各アーティストの紙ジャケット復刻盤は持っていても、ぜひ入手したいタイトルです。
2枚組にしてこの充実ぶり、しかもビックリするほどリーズナブルなプライスもウレシイ。
例えば、昔も今もビクターの金看板・森進一が歌う、ジュリーの「時の過ぎゆくままに」や杏真理子のいわく付きのヒット曲「さだめのように川は流れる」。
当時、阿久さんの「世迷い言」で返り咲いた日吉ミミは、北原ミレイの「ざんげの値打ちもない」を。さらに青江三奈はキャラクターズの「港町シャンソン」、都はるみの「北の宿から」、三善英史は黛ジュンの「とても不幸な朝が来た」に藤正樹の「忍ぶ雨」。
フランク永井はマチャアキの「街の灯り」、佐良直美に至ってはトップギャランの「青春時代」「下宿屋」に、ちあきの「円舞曲」、アコの「あの鐘を鳴らすのはあなた」。
橋幸夫御大は新沼の謙ちゃんの「おもいで岬」、中尾ミエは木の実ナナの「おまえさん」。聴いてみたいと思うでしょ?
ヤング勢も負けてはいません。
CD化済みの桜田淳子、岩崎宏美、ピンク・レディーを筆頭に、フレッシュな石野真子はモリケンの「さらば涙と言おう」、サッコの「きみ可愛いね」を朗々と(ベスト盤に入ってた「私たち」は次の機会を待ちましょう)。
ベスト盤も絶好調、まだ清純だった畑中葉子はソロでマコの「せんせい」を、平尾先生とのデュエットで「また逢う日まで」を清らかに歌っております。
ベスト盤がもっと売れてほしい太川陽介は新沼謙治の「嫁に来ないか」、今回最もオススメしたいアン・ルイスは夏木マリ「絹の靴下」「お手やわらかに」、とどめの研ナオコ「うわさの男」!
そしてザ・バーズはサッコの「乙女のワルツ」とF5の「個人授業」、チェリッシュのトップギャラン「乳母車」、松崎しげるはヒデキの「若き獅子たち」…とにかく圧巻の45曲の収録が予定されています。
件の「阿久悠を歌った100人」のカバー曲収録にはちょっと難色を示してしまったワタシですが、カバー曲集と銘打ってるなら抵抗感がないどころか、ずっと聴いていたい感じです。
というか、実は追悼企画の中ではオススメ度ナンバー1。豪華なアーティスト陣がオーダーメイドではない詞をどう着こなすか、あの頃の歌手の個性と実力が十二分に堪能できるはずです。
(2007.11.2)