筒美京平が描く、ちあきのAOR歌謡!
思えば2000年のBOXを契機としたブーム再燃から続いてきた、ちあきのアルバム復刻。
コロムビア、ソニー(「象物語」ですけど)、ビクターときて、テイチクからも再発が決まったようです。
今回はテイチクに残したアルバム9枚のうち、2ヵ月連続で6枚を復刻だそうですが、やはりウチ的には90年の「 かげろふ~色は匂へど~ 」でしょう。
なぜなら筒美京平先生の曲が6曲も収録。詩では伊集院静に加え、松本隆の名前も見られる、大人のシティポップス、AOR歌謡といった趣だからです。
テイチク時代のちあきさんと言えば、「紅とんぼ」のような濃いめの演歌から、「伝わりますか」「役者」といったソフトタッチ、「黄昏のビギン」など懐かしの流行歌を小粋に歌ったAOR歌謡、「紅い花」や「祭りの花を買いに行く」といったフォークっぽいエッセンスを盛り込んだものまで、円熟した余裕路線という印象がありますが、このアルバムは最も軽やかでアダルトポップな一枚。
ともすると奥深くまで無意識に入り込んで歌ってしまうちあきさんも、ここでは微笑むように肩の力を抜いて歌っています。と言っても、やはりそこはちあき節なのですけどね。
ワタシは「色は匂へど」をラジオで初めて聴いた時、その詩の表現やサウンドに、「四つのお願い」や「X+Y=LOVE」で見せたちあきが平成によみがえった、という印象を受けて思わず笑ってしまったことを今でも覚えています。
あとは「合鍵」という曲がお気に入り。それは、何だかちあきの素顔に似ているような気がして、ほかにはないリアルさを感じてしまうから。
名曲、名唱ぞろいのこの名盤、ワタシは幸いにもリリース時から聴くことができておりますけれど、今改めて聴くと、やっぱりこの時代に流行したスカスカな音がツライ。
ですので、近年、旧盤を初めて聴いた人には、もっとツラく聞こえているのではないかと思っております。そういう意味では、今回の再発ではリマスタリングにとても期待しています。
ほかは前述した「祭りの花を買いに行く」にシビレる「 百花繚乱 」がオススメ。これが今のところの最新オリジナルアルバムなんですよね。
いつも言っていますが、ちあきさんって自らの意志なんかにかかわらず、歌わなければならない人、神様にお役目を与えられた人なのだとワタシは確信しています。
だから、やっぱり願いたい。いつかまた、新曲が聴けることを。
(2007.9.11)