5社共同の廉価ベスト、新シリーズ
手っ取り早く制作できる定番ベストは、ショップサイドも発注をかけやすくある程度は確実にはけるようだし、さらにシリーズ化しちゃえば売り場も占めやすくなるし、メーカーサイドにとっては安定商品なのでしょうね。
またまた登場したレコードメーカー5社共同企画による、この新・廉価ベストシリーズも例外ではありません。期間限定生産、全15曲収録で1500円を切ったワゴンCD並みのスペシャルプライスは、持ってないアーティストの作品をそろえるチャンスと言えましょうし。
だから、お決まりの代表曲になってしまうのは仕方ないことでしょう。いずれもちゃんとしたベストやBOXが既に出ているビッグネームばかりですから、個人的には食指は伸びませんが、こういうのをきっかけにして旧譜の素晴らしさに触れ、トリコになってしまうことはよくあるらしいですし、
その後のマニアックな復刻のバロメーター的役割も担っているようですから、ちょっとご紹介。まずはコロムビア、ユニバーサル、EMIミュージックの3社です。
コロムビアは、珍しいところでは藤谷美和子「 エッセンシャル・ベスト藤谷美和子 」なのでしょうが、ワタシは内藤やす子「 エッセンシャル・ベスト内藤やす子 」をオススメ。
コロムビア音源のベストはかなり久々なのでは? 衝撃のデビュー曲「弟」やレコ大最優秀新人賞に輝いた「想い出ぼろぼろ」など、パンチパーマに細眉、ダークなメイクの面影がよみがえります。移籍後のベストは数多出ておりますが、新録音でガッカリするので、やっぱりこのオリジナルが一番。
余談ですが、ワタシ、百恵ちゃんの「イミテイション・ゴールド」が出た時、この「想い出ぼろぼろ」の部屋と同じ匂いがするように感じました。同じ作家陣の曲だからなんでしょうが、同じ部屋でなくとも、安アパートのお隣さん同士というか…。
あとは布施明の「 エッセンシャル・ベスト布施明 」も。キング時代のヒット曲も歌い直したコロムビアバージョンで入っていますし、CD文庫より曲は多くてお得ですし、いい音ですしね。
ユニバーサルではゴローの「 野口五郎エッセンシャル・ベスト 」あたりかな。
新御三家ではスルーされがちですが、名曲、名唱が多いので、この機会に手に入れてみてはいかがでしょう。
ただ、こうして見ると、ラインナップがいつも同じメンツですねえ。1枚か2枚、エッと思うようなアーティストをこっそりと入れといてほしいなあ。
そういう意味ではEMI(もう東芝と言えないのが悲しい…)もそうですが、サッコの「 エッセンシャル・ベスト 伊藤咲子 」はヒット曲を追った1枚ものベストとしては久々ですね。
「 伊藤咲子 ゴールデン☆ベスト 」は未CD化曲にポイントが置かれていましたし。このところずいぶんと精力的に活動し、頑張っているサッコ。雰囲気もさほど変わることなく、ファンの方にはウレシイ存在ですよね。ワタシもかなり前から予約してデビュー曲「ひまわり娘」を買ってもらったぐらい好きでしたから、復活は喜ばしい限りです。
ホントはシングルA面よりB面やアルバムに好きな曲が多いんですけど、A面では「夢みる頃」が一番。「ひまわり娘」のインパクトが強すぎたせいか、全然売れなかったのが淋しい想い出です。
もちろん「乙女のワルツ」「いい娘に逢ったらドキッ」なんかも、このベストで改めて聴いていただきたいですね。
あとのラインアップでは、珍しくはありませんが、名曲ぞろいの「 エッセンシャル・ベスト トワ・エ・モワ 」「 エッセンシャル・ベスト 薬師丸ひろ子 」をどうぞ。
という感じの精選集、エッセンシャル・ベスト、まずは3社分でした。
(この項つづく)
(2007.6.27)