世良さんのツイストも一挙紙ジャケ復刻!
昨年来、活発なリリースが続いているビクターのオリジナル名盤紙ジャケット・コレクション。
正直、乱発ぎみの印象がありますし、トータル性や意図が読みづらいラインナップや、発売のタイミングなど、期待より、今後の流れについていろんな心配が募っておりますが、ヤマハ音源など、そういう状態だからこそ実現した感じがするタイトルもあって、一ファンとして考えると、ウレシイことに違いはありません。
で、八神純子、因幡晃と続いてきましたヤマハ音源の真打ち登場。そう、世良さんのツイストであります。今回は78年のファーストから、81年の解散まで、ライブを含む全作6タイトルが一挙発売となります。
ツイストと言えば、それまでクローズドされていた感のあるロックを、老若男女までに普及させた立役者だと思っていますが、あらためて聞き返すと、むろん骨太なんだけど、器用でスマート、洒脱な一面も多々あって、実にモノホンだったなあと思うワケであります。
ワタシは原田真二派だったのですけど、周りに熱狂的なファンもいたし、そのへんをアルバムを振り返りながらささっと追ってみましょうか。
ツイストが「あんたのバラード」でヤマハのポプコンと世界歌謡祭でダブルグランプリに輝いたのは、77年のこと。デビューするつもりのなかったオリジナルメンバーはやめちゃって、金太さんや、後にハウンドドッグでも活躍する鮫島さんらおなじみの面々は急遽寄せ集めで結成されたことはご存じのことでしょう。
最初はブルース演歌みたいな印象も強くて、ラジオで初めて聴いた時はビックリしましたね。テレビで見たら世良さんのダイナミックなアクションにも驚きました。カリスマ性というかスター性というか、抜群の人気を得て第2弾の「宿無し」も大ヒット。クラスの女子がキャーキャー言ってましたっけ。
そんな折りに出たのがファーストアルバムの「 世良公則&ツイスト(紙ジャケット仕様) 」。改名後は「Twist」と改題されていましたが、今回は原題でまさにオリジナル復刻となっております。
第3弾シングル「銃爪」がメガヒットを記録し、押しも押されぬトップスターになったツイスト。資生堂のCMソング「燃えろいい女」など、世良さんのアイドル的人気も大いに盛り上がりました。掃除の時間にホウキをスタンドマイクに見立てて歌ったものでした。
結局、アイドル的人気をよしとしなかった世良さんは、バンドとしてアピールしていくため翌79年のセカンド「 ツイストII(紙ジャケット仕様) 」からは改称、ロック色を強くしていくんですよね。
「FLY」とか今聞いてもカッコいいし、個人的にはイチバン好きなアルバムです。
そしてメンバーチェンジなどを経て出された80年の「 THE HEART ROCK PARTY(紙ジャケット仕様) 」。これまでのハード路線からイメチェンし、ロックンロールパーティーという雰囲気でしたね。
ワタシはこのLP、ツイストがCMをやってた森永(でしたよね?)のプレゼントか何かで見本盤をもらった覚えがあります。
続く「 TWIST ALIVE(紙ジャケット仕様) 」は2枚組のライブ盤。黄色い声援を受けて盛り上がる会場と、高度なテク満載の演奏がスゴイ。圧倒的に女性ファンが多かったツイストですけど、ロック少年にもいたく支持されてた理由が分かりますね。
81年の「 Hip!!(紙ジャケット仕様) 」は、50年代から60年代のロックンロールで、世良さんのボーカルに驚きます。今の「ヤッターマン」もスゴイけど、初期のお嬢唱法(ワタシが勝手に言ってるんですが、ひばりっぽいと思いません?)と比べると余計に才能を感じますね。
そして終焉は「 BEST&LAST(紙ジャケット仕様) 」。文字通り過去のヒット曲と、最後のオリジナルをセットにした2枚組で、ちょっと感慨深いものがありますね。
こうして振り返ると、ツイストが歌謡界にロック道を開拓したからこそ、サザンやゴダイゴなどがブレイクできたような気がします。そんなことを思いながら、紙ジャケをいとおしんでみましょうか。
今後も、ビクターのヴィンテージシリーズが続くことを願いながら。
(2008.1.31)