筒美京平が手がけた、アジアンアイドルが復刻!
透きとおったさわやかさ、チェルシア・チャン。
言わずもがな、アグネスの成功にならって香港からやってきて77年に日本デビューしたアジアンアイドルですが、子どもだったワタシは大好きなアグネスが休業で不在のスキに、ちゃっかり入り込もうとするなんてと憤慨したものです。
もちろん、それは決してチェルシアのせいではありませんけど、名前といいその売り方といい最初、相当な拒否感を持っていました。しかし、優雅(ゆうや)の再来とでもいうような歌声と、清楚なムード、そして有馬三恵子、松本隆+筒美京平のゴールデンコンビによる極上のポップスを聴いて、見方を変えたことでした。
明星だったと思うけど、ただのカワイコちゃんじゃなく、音楽をきちんとやってたというのにも好感を持ったものです。
そのチェルシアですが、結局不発に終わり、すぐ帰っちゃうんですが(そのへんも優雅に似てる、もっとも優雅は実績アリですが)、筒美系だったことが幸いし、これまでにも「 筒美京平 ULTLA BEST TRACKS / SOUL & DISCO 」や、昨年の「 Hotwax presents 歌謡ポップス・コレクション 1970’s「ガールズ・イット・エイント・イージー」ユニバーサル編 」でシングル曲などがCDで聴ける状態にありました。
実績を思うとそれだけでもウレシイことでしたが、ここに来て、日本では唯一のアルバムがなんと紙ジャケの「 マインド・ウェーブ(紙ジャケット仕様) 」として復刻されることとなりました。
Hotwax監修、70年代女性シンガーのオリジナル・アルバム復刻専門レーベル“くノ一レコード”の第1弾としてラインアップされております。
筒美作品集としてもおなじみのこのアルバム。やはり特筆すべきは有馬三恵子+筒美京平のシンシアコンビによる「私の港」でしょう。
当時、アルバムと同時発売された「チャイニーズ・ドール」のB面にも収められたこの曲は、そもそもは74年に出た優雅のアルバム曲「新しい街」を改題、改詩したもの。
そして、このチェルシア版から、8ヵ月後、南沙織のラストアルバム「Simplicity」に収録されるのです。歌ったのはシンシアが最後ですが、有馬作品でもありますし、シンシアのために書かれたと言っても不思議ではない雰囲気の素朴な名曲です。
チェルシアはと言いますと、やっぱり優雅に似ています。「アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 優雅 筒美京平を歌う アンド・モア」を買って聴き比べるのも面白いですね。
あとのオリジナルは、当時全盛期を迎えた松本さんらしく、太田裕美みたいなムードもあって、ワタシにとってはなんか因縁めいたアルバムだったりして…。
ともかく筒美フリークのみならず、シンシアや優雅のファン、そして太田さんの初期の歌が好きだという人にもオススメしたい一枚です。
(2007.7.25)