品格に満ちた村井邦彦の世界、初BOX!
ソフトロックブーム以降、再評価は高まる一方でしたが、1枚ものの作品集は出てたものの全集ものは一向に出る気配がなかった村井邦彦さん。
BOXガイドのページでもボヤいたことでしたが、やっと発売となります!「 The Melody Maker -村井邦彦の世界- 」。
5枚組、永久仕様のBOXですが、ワタシが感涙したのは、ルネ・シマールの収録!
衝撃の日本デビュー曲にして東京音楽祭世界大会グランプリ受賞の「ミドリ色の屋根」はもちろん、第2弾にして美しい調べの「小さな生命」、だんだん野太くなってしまう「去年の夏/君にあげる子守唄」というシングル曲に加え、村井さんの名曲中の名曲「美しい星」のフレンチ・バージョン「LAISSEZ-NOUS AU MOINS LE SOLEIL」の5曲が入っているのです。
かねてよりルネのベストを切望していたワタシとしては、まだまだ物足りない感じではありますが、コレをきっかけにルネの再評価が広がればいいなと思います。
山下達郎、ター坊、吉田美奈子のシュガー・ベイブがコーラス参加してるライブなども復刻してほしい…。
と何だか目玉がルネという感じの紹介になりましたが、そうではなくって、BOXはもちろん村井さんの集大成という内容。
DISC1ではスパイダース、モップス、テンプターズ、タイガースらGSから始まり、ズー・ニー・ヴー、トワ・エ・モワといったニューフォーク路線、ピーター、辺見マリ、北原ミレイなどの歌謡曲、赤い鳥、ガロなどのソフトロックまで、ヒット曲集という構成。
この中では「翼をください」が最も有名で、森山良子さんの「恋人」が最も売れたという感じでしょうか。
個人的には子どもの頃からトワ・エ・モワの「虹と雪のバラード」が大好きで、この歌を聴いてそのロマンに涙することが今もあります。しかし、タイガースの「廃墟の鳩」って名曲中の名曲ですよね。
そしてDISC2は、森山良子、山本潤子、白鳥英美子というV3のお三方つながりか、森山さんとハイ・ファイ・セット、トワ・エ・モワの名曲セレクション。
全部が素晴らしいですが、ここではユーミンとのコラボでスタイリスティックスみたいなソウル「土曜の夜は羽田に来るの」がイチバンです。
DISC3と4は、ひばり、チエミ、いづみの三人娘から、石原裕次郎、ピーナッツ、伊東ゆかり、和田アキ子、カルメン・マキ、天地真理など錚々たる顔ぶれで、ご本人の歌を含む、ちょっとカルトな名曲集。
と言っても今となってはCD化されているモノも多く、レア度は少ないかもしれないですが。ただ、こういう集大成的な聴き方ができるボックスの発売が切望されていた村井さんの世界ですから、ホントに秀逸。ミコの「恋はフィーリング」と、これまたユーミンとのレアコラボ音源「あの子の心はボクのもの」がオススメです。
DISC5にはKuni Murai and his orchestraによる未発表の最新作が収録されるそうです。
アルファレコードを設立してからはビジネスの方が…という感じだったのか、村井さんの代表作はどうしても70年代前半までに偏ってしまいますが、いつ聴いても品格あふれる普遍的なメロディーに驚き。容姿と同じくスマートな名曲がそろっていますよね。
コンピ盤やアーティストのBOXで、多くの音源をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、このBOXはやはり必携。ワタシもその才能に敬意を表して、早速予約しよっと。
(2007.4.4)