ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1063
大貫妙子 SACDハイブリッド盤3タイトル
MIGNONNE(MHCL-10148)・ROMANTIQUEMHCL-10149)・AVENTUREMHCL-10150
2021.11.10発売、各¥3,000<税込>

RCAレーベルの3タイトルがSACD化!

 まずは海外で高まり、日本へと凱旋してからも衰え知らずで盛り上がっている、1970~80年代のシティポップブーム。その中でも、中核をなしているのがブームの火付け役となった大貫妙子さん。
 テレビ東京「 YOU は何しに日本へ?」をきっかけにした再評価は高まる一方で、クラウン時代からRVC・RCAレーベル、ミディと、アナログ復刻( こちらとと こちらこちらこちらなどで紹介)が進みましたが、ここに来てRCA時代の3タイトル「 MIGNONNE(SACDハイブリッド) 」「 ROMANTIQUE(SACDハイブリッド)」「 AVENTURE(SACDハイブリッド)こちらがSACDハイブリッド盤として再発されることになりました!
 
 SACDのお膝元のソニーですが、近年はステレオサウンドの企画盤が中心で、松田聖子( こちらなどで紹介)、太田裕美( こちらなどで紹介)、南沙織( こちらで紹介)、五輪真弓らが販路限定で出ておりましたが、今回はなんと自社発売で市販流通。しかも、プライスもお手頃なのです。
 
 レーベルは異なりますが、今月は大滝詠一さんのロンバケがSuper Audio CD専用ディスク「 A LONG VACATION 40th Anniversary Edition<初回限定仕様>」として自社発売しておりますので、個人的にはまたSACDが盛り上がるといいなと思っています。
 
 さて、今回の3タイトルを以前のコピペで簡単に紹介しますと、まず「 MIGNONNE(SACDハイブリッド) 」は、クラウンからRVC・RCAレーベルへの移籍第1作として、78年9月にリリースされたもの。
 クラウンでの2枚がまったく売れなかったので、売れるアルバム作りが必須条件での移籍だったといいます。そのため、音楽評論家の小倉エージさんをプロデューサーに迎えて制作されたのですが、分かりやすい売れ線狙いでかなりダメ出しをされ、迎合して作ったということで、ご本人は気に入ってないことを公言しておられます。アッコちゃん(「 峠のわが家 」)やマッキー(「 Listen To The Music 」)にもカバーされた「海と少年」なんて、セットリストに入れるのも嫌がるほどなんですよね。
 
 しかしコレが名曲ぞろい、ター坊の志向とは違っても、客観的にも名盤と呼ばれる仕上がりなのですね。
 中でも最も知られているのが代表曲「突然の贈りもの」。レーベルメイトとなる竹内まりやがデビューアルバム「 BEGINNING 」でカバーしたのをはじめ、数多くのアーティストに歌い継がれている名曲です。
 ほかにもター坊が大好きなフィフス・アヴェニュー・バンドをイメージしたという小品にして徳丸純子もカバーした「横顔」(矢野アッコちゃんは「 SUPER FOLK SONG 」でカバー)など、どれも粒より。
 ボーカルもぐんとしっかり安定し、まさに“心から心へ新しい歌の贈りもの”という感じ。ジェームス・ディーンのあの写真を意識したようなジャケットもナチュラルで素敵です。
 
 続く「 ROMANTIQUE(SACDハイブリッド)」は80年7月リリースで、いわゆるヨーロッパ3部作の第1作目にあたるアルバム。
 ヨーロピアン・サウンドがコンセプトということで、坂本キョージュに加え、トノバンこと加藤和彦さんもアレンジ。敬愛するズズこと安井かずみさんに詩を褒めてもらったという「雨の夜明け」(アレンジはキョージュですが…)を筆頭にアンニュイなムードが漂っています。
 昔から「アルトハイデルベルヒ」を思い浮かべて(しかも「はばたけ!真理ちゃん」だったりします)うっとりしてしまう「若き日の望楼」や、ター坊らしい凛とした世界観に聴こえるけれど詩はとても内気でシリアスな「新しいシャツ」など、現在もピュアアコースティックライブを中心に好んで歌われるナンバーのほか、シュガー・ベイブ時代のレパートリー「蜃気楼の街」のセルフカバーも収録。当時YMOおよび彼らのワールドツアーにも参加していた大村憲司さんや松武秀樹さんもバッキングに参加しています。
 なお、今回は、2006年のCD再発盤と同じくボーナストラックとしてアルバム未収録のシングルB面曲「愛にすくわれたい」が追加収録されるとのこと。
 
 最後は81年5月リリース、5枚のアルバムにしてヨーロッパ3部作の2作目となる「 AVENTURE(SACDハイブリッド)」。
 オープニングは白石まるみやピンク・レディーのケイらもカバーした「恋人達の明日」ですが、そのポップさと、ジャケットのアンニュイさのギャップに驚いてしまいますが、1曲目が突き抜けてポップなだけで全編ではジャケ寄りのシックといいますか、ター坊らしい空気感が漂う世界です。
 「アヴァンチュリエール」とか「グランプリ」とか、渋めのフレンチポップやフランス映画のサントラというか、そういう印象を持っておりますが、イチオシはパリではなくNYを舞台にした「ブリーカー・ストリートの青春」。この曲は「グリニッチ・ビレッジの青春」からインスパイアされたとのことですが、ター坊の作品ってまるで自分がそこにいたようなノスタルジーを感じさせるものが多く、美しき幻想に酔いしれてしまうのですね。
  それにしてもシングルカットされた「恋人達の明日」は盟友・山下達郎がコーラスアレンジを担当し、同じくレーベルメイトのEPOや竹内まりやがコーラスで参加した極上ポップな売れ線ナンバーなんですが、ご本人としてはこういう路線は不服だったようです。
 
 という3タイトル、マスタリングはアナログ盤と同じく、バーニー・グランドマンとのことです。これまでは何度もCD再発されておりますが、SACDハイブリッドとなると、やっぱり買い増し、買い替え必至。この先も、CD再発が途絶えていたミディまで続くことを祈ります。
 
 

(2021.8.30)

 
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