発売45周年で松本隆の初プロデュース作が再発！

　今年デビュー45周年を迎える南佳孝さん。ライブを中心にますます積極的な活動を続け、かの「モンロー・ウォーク」の来生えつこさんとのコンビによる記念シングル「ニュアンス」をリリースしたほか、先日は「徹子の部屋」にも出演。ライブでのジョイントを機にアルバム「Nostalgia」も作った杉山清貴さんと一緒に、ツインギターでの弾き語りも披露していましたが、今年は佳孝さんがデビュー時に在籍したトリオレコードのショーボート・レーベルにとっても 45 周年。
 
　ということで、記念企画と銘打って、ショーボート・レーベルの第1回新譜となったあのデビューアルバムがデラックスな「 摩天楼のヒロイン+5 デラックス・エディション 」として再発されることになりました。
 
　オリジナルは全然売れなかったといいますが、松本さん、佳孝さんがビッグネームになるに連れ再評価が進み、アナログ時代から何度も再発。CD時代になってからも88年に徳間ジャパンからCD化、94年にTDKレコードからQ盤として再発。復刻時代に入ってからは、2002年にW紙ジャケット盤が出て、2014年にボーナストラックの入った高音質SHM-CD仕様にグレードアップ。
　2012年にはTSUTAYAの廉価盤 「ベスト・バリュー 999」 シリーズの1枚として、内容はそのままに「スーパー・ベスト」というタイトルで出たこともありました。
 
　なので、音楽ファンの間には潤沢に行きわたっているように思いますが、今年の「レコード・コレクターズ」のシティ・ポップ特集では名盤選のトップを飾っていましたので、これまで未聴だった人にとっては絶好のタイミングなのかもしれません。
 
　さて、1973年9月21日、同じ事務所のはっぴいえんど解散コンサートがあった日に発売され、日本のシティポップの原点といわれるこのアルバム。かの松本隆プロデュース第１弾アルバムとして世に出たものなんですよね。　
 
　“摩天楼・ワイングラス・マシンガン……忘れられていたロマンとドラマを唄い上げる凄い奴!!”というコピーの通り、まずは松本さんの緻密なコンセプトと、古き良きハリウッドのミュージカル映画を彷彿とさせる世界観がスゴイ。
　それに加えて、佳孝さんのメロディーメーカーとしての才能やセクシーで変幻自在のボーカル、そして錚々たるバックメンバーなど、聴きどころが満載です。
 
　歴史的名盤の名にふさわしく、2011年にはアレンジの矢野誠さんプロデュースのコンサート「1974」でオリジナルメンバーとともに当時のセッションを再現したライブが行われたほか、2015年には「42年目の摩天楼のヒロイン」と題し、アルバムと同じ曲順のライブも開催されております。
 
　松本さんがプロの作詞家として生きていくことを決心する前のアルバムにつき、はっぴいえんど色が濃いレトロレトリックな感じですが、ひらがな表記や漢字の使い方、設定やフレーズなども含め、まさに風街少年的ダンディズムの原点とでもいうべき世界。風街詩民でまだ未聴の方がいらっしゃいましたら、ぜひこの機会にどうぞ。
　今回はブックレットに佳孝さん、松本さん、矢野誠さんのンタビューも掲載されるほか、ボーナストラックとしてアルバムと同時発売になったシングルの「おいらぎゃんぐだぞ」と、初音盤化となる当時のライブ音源が追加されるそうですのでね。
 
　なお、佳孝さんをちゃんと聴いたことがないという方は、先に2013年の40周年時に出た初の4枚組オールタイムベスト「南佳孝／オールタイムベスト～CUARENTA～」（ こちらで紹介）をオススメします。解説を担当させていただいているからというワケではないのですが、ヒット曲から初CD化のレア音源までついて、1枚当たり1,100円チョイと超お買い得ですので！