50年のオデッセイを祝うメディアミックス！

　作詞活動50周年を迎えた松本隆さんにとって、昨年から今年にかけてはいろんな企画が目白押し。
　コロナ禍で予定が遅延してしまったものの、大きなところでは、公式ホームページ「風待茶房」の閉店以来となる楽曲リストが掲載された 特設サイトが開設されるとともにオフィシャルプロジェクトが立ち上げられ、配信番組「風街ちゃんねる」がスタート。
 
　7月にはトリビュートアルバム（初回限定生産盤：CD＋LP＋豪華特典本「 松本 隆 作詞活動50周年トリビュートアルバム 「風街に連れてって!」 ［CD+LP+特典本「100%松本 隆」］＜初回限定生産盤＞」、通常盤：CD「 松本 隆 作詞活動50周年トリビュートアルバム 「風街に連れてって!」＜通常盤＞」）のリリースされ、各メディアがこぞって特集を重ねています。
 
　さらに11月には記念コンサート「 風街オデッセイ2021 」が開催されるなど、まさにクライマックスに向けて大きな盛り上がりを見せておりますが、このタイミングで音楽評論家の田家秀樹さんによる「 風街とデラシネ〜作詞家・松本隆の50年」の書籍化も決定。
　そして、この本のサウンドトラックとでもいうべき同名の2枚組CD「 風街とデラシネ～作詞家・松本隆の50年 」も同時発売されることがアナウンスされました！
 
　田家さんの「風街とデラシネ～作詞家・松本隆の50年」は、スタジオジブリの月刊小冊子「熱風」（非売品）で2019年1月号から2021年4月号まで連載されていた読み物の書籍化。 
　第1章の「エイプリル・フール」から始まって、「『作詞家・松本隆』の始まり」「原田真二／ズック／ジェームス・ディーン」「吉田拓郎と桑名正博」「竹内まりやと大瀧詠一」「時代を戻しても触れるべき森山良子の『日付のないカレンダー』」「20歳の松田聖子との仕事」「史上最強の作詞家と歌い手の4年間」「薬師丸ひろ子との仕事」「中山美穂と山瀬まみ」「中森明菜とシューベルトと大竹しのぶ」「矢沢永吉と氷室京介」「筒美京平と山下達郎」「『少女性』と『娼婦性』・松田聖子とクミコ 」「あのねのねと裕木奈江」、そして最終章の「自由な愛の歌として聞き継がれることを」まで、松本フリークなら各章のタイトルだけでも興味津々ですよね。
 
　CDの方もこの流れに沿うように、さまざまな作詞作品全33曲をセレクト。
　エイプリル・フール「暗い日曜日」、はっぴいえんど「風をあつめて」といった職業作詞家前夜のミュージシャンだった時代から、作詞家として初のトップ10入りを果たしたチューリップ「夏色のおもいで」をはじめ、桑名正博「セクシャルバイオレットNo.1」、寺尾聰「ルビーの指環」、松田聖子「赤いスイートピー」、KinKi Kids「硝子の少年」などのチャート1位を記録したナンバーなどがギッシリ収録されています。
 
　要所要所でトピック的な大ヒットは押さえられていますが、アグネス・チャンは「想い出の散歩道」、太田裕美は「雨だれ」、近藤真彦は「ヨコハマ・チーク」と、各人の代表的松本作品ではないチョイスもそそられるものがありますよね。
　また、岡田奈々「ふるさとをあげる」、中山美穂「炎の舞」、中原理恵「仮面の告白」といった「風街図鑑」にも入っていない隠れた名作も選曲されていて、マニアックな楽しみ方もできそうです。
　何より2枚組で税抜き3,000円というお買い得なプライスもありがたいですよね。
 
　こういうメディアミックスって、以前、なかにし礼さんTBSの名物プロデューサーだったギョロナベさんこと渡辺正文さんのことを書いた同名新聞小説と連動した「世界は俺が回してる」（ こちらで紹介）の時も思いましたけど、聴いてから読み、読んでから聴きという繰り返しで何倍も楽しめること請け合い。
 
　書籍を手にされる方は、ぜひこのCDをセットでお求めください。ちなみに、 SonyMusicShop では、先着購入特典としてチケットホルダーがもらえるとのこと。「風街オデッセイ」に出かける方はコレに半券をしまってみては。
　また、松本作品をきちんと聴き直したい方は、1999年の30周年記念BOX「風街図鑑 風編・街編」と、 2009年の40周年記念BOX「新・風街図鑑」をセットにした通販限定商品「 風街図鑑 COMPLETE 1969-2009 」が出ていますので、そちらをどうぞ。
 
　なお、出版を記念し、10月30日にはNHKカルチャーで田家さんのオンラインセミナーが開催されるとのことです。