84年のLP2作がカラーレコードでアナログ復刻！

　1981年のゲルニカ結成から今年で歌手活動40周年を迎える戸川純ちゃん。
 
　アルファ時代の音源がソニーから復刻されるようになって以来、2006年の紙ジャケCD復刻（2008年には2作がアンコールプレス）を皮切りに、11年の紙ジャケBlu-spec CD（ こちらで紹介）、16年の新規リマスター＆Blu-spec CD2（ こちらで紹介）と、周年ごとにアップグレードしてCD再発を繰り返して参りましたが、今回はアナログ復刻！
　これに先駆け、Pヴァインからヤプーズのアルバム2作のアナログ化（「 ダイヤルYを廻せ!＜初回生産限定盤＞」「 ダダダ イズム＜初回生産限定盤＞」）が発表されていましたが、ソニーからはソロデビューアルバム「 玉姫様＜完全生産限定盤/クリアレッドヴァイナル＞」と、ライブアルバム「 裏玉姫＜完全生産限定盤/クリアピンクヴァイナル＞」の2枚がアナログ復刻となります！
 
 　いずれもオリジナルは84年のリリースですが、まずはリカットなしのデビューアルバム「 玉姫様＜完全生産限定盤/クリアレッドヴァイナル＞」。
　細野晴臣さんのプロデュースによって￥ENレーベルからデビューしたゲルニカですが、ソロになるとホソノさんのご寵愛は頂点に達し、タイトル曲はホソノさんが作曲。TOTOの“おしりだって、洗ってほしい”のCMも評判を呼び、脚光を浴び、時代の寵児と騒がれることになった不朽の名作です。
　テクノ、ニューウェイブ、パンクが渾然一体となって、そこは魑魅魍魎の夢の世界。樹液すする蛹化の女が怒濤の座敷牢で悶絶するうち、一塊の肉塊になるような感動作だと、隣りの印度人や森の人々も絶賛、みたいな仕上がり…などという意味不明な比喩が適当だと思います。
　アンデス民謡「諦念プシガンガ」も打ち震えるほど素晴らしいけれど、やっぱりパッヘルベルのカノンに独特の歌詞をつけた「蛹化の女」でしょうか。
　ハルメンズからヤプーズのメンバーのほか、近田春夫&ビブラトーンズを経て当時はPINKを結成する岡野一（ハジメ）さんや、矢壁カメオ（アツノブ）さんも参加しています。ちなみにこの2人は太田裕美さんのバックも務めていて、さよならコンサートでは岡野さんは太田さんをおんぶしております。
 
　もう1枚の「 裏玉姫＜完全生産限定盤/クリアピンクヴァイナル＞」は、ヤプーズをバックに繰り広げた「玉姫様」コンサートの模様を収めたライブアルバム。
　オリジナルはカセットテープのみの発売でしたが、後にCD化され、紙ジャケ復刻でもラインアップ。ゆえにアナログ盤は初のリリースとなります。
　楽曲のグルーブ感やハイテンションな純ちゃんのボーカルはもちろんですが、「ありがとうございます、ありがとうございます、私は…嬉しいです」というMCや、「電車でGO！」のカワユイこと。ラストの「パンク蛹化の女」も、パンク版というだけあって純ちゃんの暴れん坊度合いが素敵です。
　個人的には故郷で行われたこのツアーの初日に出かけ、その夜は眠れなくなるほどえらくコーフンしましたけど、音源を聴くだけでも、ランドセル背負って横断旗を持った小学生女児をはじめ、一心不乱な巫女さん、蜻蛉の羽根を付けた蛹化の女などが次々と憑依した光景がまざまざと目に浮かびます。とはいえ音だけでは純ちゃんのパフォーマンスの全てを理解することは不可能だと思いますので、ぜひDVD化されたビデオソフト「 玉姫伝～ライヴ含有」も併せてご覧ください。
 
　という2枚ですが、アナログ復刻にあたって2021年ニューカッティング。しかも玉姫様がクリアレッド、「裏玉姫」がクリアピンクというカラーレコードで、特製ステッカーの封入特典付きという豪華版。もちろん完全生産限定盤ですので、お早めにどうぞ。
 
　なお、昨年末に全曲解説集の増補版「 新装増補版 戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ 」が出ていますので、レコードのお供にするのもオススメ。さらに、NHKみんなのうたではこの8月に「ラジャ マハラジャー」の再放送が決定したそうですし、まあ！まあ！と驚くようなニュースが目白押し。なんとなく純ちゃんの夏になりそうな予感がします。
 
　あと、しつこく申しておりますが、個人的にはつくば博のダイエー館パビリオン・テーマ曲だったシングル「ポエジー」（アルファの創始者・村井邦彦さん作曲です）がいつの日か再びCDで聴けることを願っております。ついでに、太田裕美さんと共演した森田芳光監督による映画のないサウンド・トラック「だって」のCD化も。