ター坊のLP復刻、ミディ時代第2弾！

　依然として衰える気配のないアナログレコード人気。アメリカではが33年ぶりにCDを上回る売り上げを記録しようとしているそうで、日本でも時間の問題のような気がしますが、メジャーレーベルで気炎を吐いているのがソニーミュージックのアナログレコード専門レーベル、GREAT TRACKS。
 
　今夏からはオーダーメイドファクトリーのアナログ版ともいえる「GREAT TRACKS Order Made Vinyl（グレイト・トラックス オーダーメイド・ヴァイナル）」がスタート。 
　レアなタイトルがラインアップされていますが、錚々たるアーティストに交じって、90年代アイドル・宍戸留美の「 ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・シ・シ・ド・ル・ミ【完全生産限定盤】 」も初アナログ化。アイドルフリークからの注目も高まっておりますが、GREAT TRACKSでは人気アーティストの定番タイトルや普通にリリースされているんですよね。
 
　ター坊こと大貫妙子さんもその1人で、RCA時代（ホントはRVC時代と言うべきでしょうが）のアナログ盤復刻は「MIGNONNE」（ こちらで紹介）から「ROMANTIQUE」「AVENTURE」（ こちらで紹介）、「CLICHE」「SIGNIFIE」「カイエ」 （ こちらで紹介）までをコンプリート。
　その後のミディ時代も「copine.」「Comin' Soon」（ こちらで紹介）が既にリリースされまておりますが、続く「 A Slice of Life 【完全生産限定盤】 」と「 PURISSIMA【完全生産限定盤】 」もリリース日が決定しました！ 
 
　既発のシリーズと同様、かのバーニー・グランドマンがリマスタリングとカッティングし、ソニーの国内自社工場でプレスしたメイド・イン・ジャパンのアナログLP。もちろん完全生産限定盤となっております。   
 
　まずは87年10月リリースの「 A Slice of Life 【完全生産限定盤】 」。
　この年は、同名映像作品のサウンドトラックLP（通販限定）をCDとカセットで市販化した「アフリカ動物パズル」、サントリーホールでのライブをきっかけに生まれ通販とライブ会場のみで販売された「ピュア・アコースティック」も出ておりますが、オリジナルアルバムとしては「カイエ」や「アフリカ動物パズル」をカウントして12枚目となる作品です。
 
　角川映画の主題歌として書き下ろした先行シングル「恋人たちの時刻」をフィーチャー。かの大村憲司さんがアレンジャーとしても活躍、高橋幸宏さんや細野晴臣さんらも参加し、バブリーな時代のアーバンシティポップといいますか、タイトなバンドサウンドが中心となっておりますが、そこはター坊のこと。ジャン・ミュージー御大によるフレンチテイストも混在。原田知世のために日本語詩を書いた「彼と彼女のソネット」のセルフカバーなどもフランスで録音されていますし、前作の流れに連なるフランス映画をモチーフにした「ぼくの叔父さん」も収録。過渡期ならではのバラエティーに富んだアルバムとなっています。
 
　88年9月リリースの「 PURISSIMA【完全生産限定盤】 」は、イタリア語のタイトルからも分かるように「ピュア・アコースティック」の世界観をオリアルに映したような、クラシカルな楽器編成が特徴。ジャズ、ボサノバ、タンゴなどさまざまな音楽のエッセンスが散りばめられ、ター坊ならではの幅の広さが感じられるアルバムです。
 
　マーティ・ペイチがタクトを振っている「Tema Purissima」は、いろんなTV番組でBGMに使われたりしているので知らない人にも耳なじみがあると思いますが、そのほかにもミディの秘蔵っ子・小野リサさんがデビュー前にギターを弾いている「Voce e Bossanova」、矢野顕子さんがピアノ伴奏を務めた「或る晴れた日」など、聴きどころ満載。
　大貫サウンドに欠かせなくなるフェビアン・レザ・パネさんも参加。さらにはジェフ・ポーカロ、ネーザン・イースト、デヴィッド・ペイチといったLAの大物ミュージシャンと現地でレコーディングした作品を含む豪華盤となっています。
 
　マーブル模様のジャケットを見ると、ついオン・サンデーズのステイショナリーを思い出してしまいますが、そういう意味でもター坊の音楽や世界観とかは、この頃からお洒落でミニマルなブランドと化していったように思いますね。
 
　という2作。今回もご本人によるライナーが付くそうなので、やっぱりコレクションしておくべきでしょう。先着購入特典として、それぞれグリーティングカードがもらえるそうですからね。
 
　なお、ミディではこの後小林武史にプロデュースが委ねられた「NEW MOON」を発表するター坊ですが、オリジナルリリースがアナログ盤だったのはここまで。であるからして、古くからのファンはこの次からのアナログ化を待っているのかもしれませんね。