“現代の天使”が完全復活、2枚組ニューボーカル・ベスト!
ヤマハのボーカルスクール時代に結成したクッキーを経て、「スター誕生!」で合格。76年8月に「ペッパー警部」でデビューし、日本中に空前絶後の大ブームを巻き起こしたミーとケイのスーパーデュオ、ピンク・レディー。
オリコンでもシングル通算1位獲得週数歴代1位という記録はいまだに破られていないそうですから、いかに超越した人気のモンスターであったか分かりますよね。77年の7月から翌78年2月まで、ジュリーと中島みゆきに1週ずつ奪われた以外、ずーっと1位を独走していたことは記憶から消えることはありません。
81年の解散以降も何度となく再結成し、近年も2003年から2年間限定で復活。全国各地で3バージョンにわたるメモリアルコンサートを開催し、衰えるどころかパワーアップした歌唱力と振り付けで圧倒したのは記憶に新しいところです。
かつてのファンたちを再び熱狂の渦へと誘い込みましたし、旧譜の復刻でも、30周年に突入した2005年からは記念プロジェクトが始動。ボックスやオリジナル・アルバムの紙ジャケ復刻も行われました。
我々世代にとって彼女たちの影響は細胞レベルにまで達しているほどですし、けして忘れることのできないピンク・レディーですが、1980年の解散発表日からピッタリ30年となる9月1日、2人そろってビクタースタジオで記者会見。「解散やめ!」宣言をし、期限なしの完全復活を遂げることになりました。
その第一歩として、ニューボーカル・ベスト・アルバム「 INNOVATION(イノベーション) 」のリリースが発表されました。
アルバムは高品質なSHM-CD仕様による2枚組で、12月発売。現役時代の代表曲や本人たちが選曲した26曲程度を収録の予定だそうですが、この秋からはお楽しみが満載です。
まず、黄金時代にグラビアを数限りなく飾った月刊「平凡」がピンク・レディーのために復活し、新編集による写真集「 平凡 Premium We are ピンク・レディー 」が9月3日に発売。
さらに、アルバム収録される2010ニューボーカル・バージョンの「ペッパー警部」と「S・O・S」を9月29日から先行配信。
そして後楽園球場での解散コンサートからちょうど30年となる来年3月31日には、東京都内でプレミアムライブを行うそうです。
なお、12月発売のアルバムの初回プレス分には、このライブのチケット優先購入予約応募券が封入されるといいますから、完全復活コンサートに参加したい方は、ぜひ入手を。
今回の完全復活に際して「景気がとても低迷している中、私たちが当時の曲を歌って踊ったら、みなさんが元気になって頑張ってくれないかな」と語ったミー(今回、現在の芸名・未唯にちなんでミイとなったようですが、現役時代のファンとしては当時よくあった誤植やバッタもんを想起させるんで、あえて昔のままの表記にします)ですが、それは先のメモリアルコンサートで実証済み。
当時のPLチルドレンがニッポンを牽引する世代となった今、完全復活の意義は大きいのではないでしょうか。
あの頃、みんながこぞって新曲速報をキャッチしようとした姿勢は、情報化社会の礎を築いたといっても過言ではありませんし、ピンク・レディーを見て聴いて、歌って踊って、育ってきたチビッコたちは、彼女たちからいろんなことを学び、計り知れない影響を受けているはずです。
2人が極限まで頑張り抜く姿を目の当たりにして、努力と忍耐の大切さを学んだ人もいるでしょう。振り付けを覚えることで記憶力と集中力を磨いた人もいるでしょう。ピンク・レディーという媒体を使ってコミュニケーション力を培い、連帯感と知己を得た人も多いことでしょう。
そういう意味では、日ごとにどうしようもなくなっているニッポンや人々を慰め、励まし、救うために完全復活を遂げたのかもしれません。
そしてそれは、ピンク・レディーだけに与えられた使命。
思えば阿久悠さんをはじめ、スタ誕プロデューサーの池田文雄さん、T&Cの相馬一比古さん、振り付けの土居甫さんら、PLを世に送り出した人たちの多くが鬼籍に入られていますし、今回の復活は皆さんが今のニッポンにこそ必要な存在としてお遣わしになったのではないかという気もします。
なんたって2人は、失われた日本の美徳を体現した“現代の天使”だったのですから。
ああ、レコ大受賞時の高橋圭三さんのナレーションを思い出すと、今でも胸が熱くなってしまうなあ…。
とはいえ、どんなに若く見えてもミーは52歳、ケイは9月2日で53歳。という現実もありますので、カラダに気をつけつつ頑張っていただきたいなと思っています。
(2010.9.2)
*収録予定曲は「ペッパー警部」「乾杯お嬢さん」「S・O・S」「カルメン’77」「渚のシンドバッド」「ウォンテッド(指名手配)」「UFO」「サウスポー」「モンスター」「透明人間」「星から来た二人」「カメレオン・アーミー」「ジパング」「事件が起きたらベルが鳴る」「ピンク・タイフーン(In The Navy)」「Kiss In The Dark」「マンデー・モナリザ・クラブ」「DO YOUR BEST」「うたかた」「BY MYSELF」「リメンバー(フェーム)」「OH!」「ミラノ・ローズ」「Body & Soul」「希望への旋律」「恋はかけひき」(順不同)。
リリース当時のバックトラックに、ニュー・ボーカルを新たにレコーディング。最新テクノロジーを駆使したリミックス&リマスタリングが施されるということです。