聖子の風街クリスマス、純正再発！

　コロナ禍で延期になっていたデビュー40周年記念コンサートツアーも無事開催され、追加公演が決まるほど大盛況の松田聖子さん。
 
　今月には、日本武道館での千秋楽を控え、続・40周年記念アルバム「SEIKO MATSUDA 2021」（初回限定盤「 Snow Garden 続・40周年記念アルバム 「SEIKO MATSUDA 2021」 ［SHM-CD+DVD］＜初回限定盤＞ 」、通常盤「 続・40周年記念アルバム 「SEIKO MATSUDA 2021」＜通常盤＞」）もリリース。さらには昨年の40周年記念アルバム（ こちらで紹介）に新録セルフカバーを追加収録したデラックス・エディション「 SEIKO MATSUDA 2020(デラックス・エディション)＜数量限定生産盤＞ 」も同時発売と、新譜も精力的ですが、旧譜も負けてはいられません。
　古巣のソニーから、昨年の「金色のリボン」（ こちらで紹介）に続き、クリスマス企画アルバムの再発が決定しました！
　大江千里さん提供の「Pearl-White Eve」が大ヒットしていた87年11月、松本隆プロデュースのウインターアルバムとしてリリースされた「 Snow Garden」です。
 
　ソニー純正の市販流通の単品としてはオリジナルリリース以来となりますが、再発自体は何度かされておりまして、初回は2006年に10万円ボックスの中の1枚として、でかジャケ復刻。単品としては2016年にステレオサウンド＆ソニー・ミュージックダイレクトによる独自企画のSACDハイブリッド盤（ こちらで紹介）がリリース。
　今回は5年ぶりの再発となりますが、3度目ということで、薄いファンや、当時聴いてきた人、はたまた出るモノ全部欲しい聖子コレクター向けのアイテムといえましょう。
 
　内容は、全曲松本隆作詞、新曲と過去曲のリミックスで構成されたハーフベスト的なウインターアルバム。
　アナログ盤ではＡ面が“Today's Avenue Side”という新録集。南佳孝作曲のサウンドドラマ「Please Don't Go」、元オフコースの鈴木康博作曲の「妖精たちのTea Party」（フジテレビ系列「なるほど!ザ・ワールド」エンディングテーマ）、ピカソの辻畑鉄也作曲の「恋したら…」の新曲3曲に加え、当時の最新シングル「Pearl-White Eve」も豪華なコーラスの入った別バージョンで収録されています。
 
　B面だった“Yesterday's Street Side”は 、既発曲6曲で構成されていますが、大滝詠一の「一千一秒物語」、ユーミンの「瞳はダイアモンド」、財津和夫の「愛されたいの」、佐野元春の「ハートのイアリング」、林哲司の「Let's Boyhunt」と、作家陣が偏らないようにセレクト。
　SEが加えられたり、バージョン違いも収録されていて、ラストを飾る大村雅朗作品「雪のファンタジー」は、「金色のリボン」収録の「星のファンタジー」の別歌詞バージョン。同年の松本さんの映画「微熱少年」のサントラ用に制作された音源に、英語のクリスマスメッセージを加えたものとなっています。
 
　松本さんがイニシアチブを取り、ニューミュージック系の旬なシンガー･ソングライターから楽曲提供を受けることで構築してきた松田聖子の世界観ですが、国内制作盤としてはこのアルバムが一つの区切りというか、松本さんの方法論のオーラスともいえそうな仕上がり。
　対して、聖子のボーカルの方も、デビュー2年目に喉の調子を悪くして以来、ザラメからグラニュー糖、そしてパウダーシュガーへと精製された奇跡のキャンディボイスが最高到達点を迎えた頃ですので、ハーフベストと言えどもやっぱりコンセプチュアルな名盤と呼ぶにふさわしいアルバムとなっています。
 
　なお、初回盤にはオリジナルステッカーを封入、SonyMusicShopで購入すると、先着でオリジナル・ポストカードがもらえるそうです。
 
　11月にはいよいよ「風街オデッセイ」も開催されますが、残念なのはこれまで同様聖子の参加がアナウンスされていないこと。いつもサプライズを期待しつつガッカリしていますが、オデッセイの後はこのアドベントアルバムで風街クリスマスを堪能することにしましょうか。