72年の筒美作品集がアナログ復刻！

　4月に行われた「～筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト～ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」では、トップバッターとして「ブルー・ライト・ヨコハマ」と「誰も知らない」の2曲をクールに熱唱。元祖筒美ディーバの1人としての存在感と、圧倒的な歌の巧さを改めて示した伊東ゆかりさん。
 
　なんと今年のアナログレコードの祭典・レコードの日には、筒美先生との共演盤として知られる1972年のアルバム「ふたたび愛を～伊東ゆかり・筒美京平 LOVE SOUNDS」が、アナログ盤「 ふたたび愛を～伊東ゆかり・筒美京平 LOVE SOUNDS＜レコードの日対象商品/完全生産限定盤＞ 」として復刻されることが決定しました！
 
　71年の「誰も知らない」でゆかりさんに久々のヒットをもたらした筒美先生ですが、続く「陽はまた昇る」も第1回東京音楽祭で歌唱賞に輝いたことから、ゆかりさんのアプローチで実現したのがこのアルバム。すべてが色濃かった時代には不感症歌手と言われていたというゆかりさんですが、ご結婚したばかりのレコーディングだったそうで、そこはかとない色香にも注目です。
 
　A面がシングル曲を含む書き下ろし、B面が筒美ヒットのカバーという構成ですが、書き下ろしには代表曲「小指の想い出」なんかにつながるドメスティックな歌謡曲メロディーもあるものの、サラリとしたゆかりさんのボーカルなら逆にお洒落に聴こえます。
　そこいらへんは、「いつもなら」（朝丘雪路）や「愛こそいちずに」（小川知子）といったカバーの方がもっと顕著かもしれません。むろん筒美先生がゆかりさんのために手がけたアレンジの洒脱さが突出していることも大きいと思いますね。
 
　なお、カバー曲としては南沙織、麻丘めぐみ、浅田美代子ら筒美系70年代アイドルにこぞってカバーされた「夢でいいから」（いしだあゆみ）を筆頭に、シンシアも歌った「幸福ですか」（青山一也）や「恋のゆくえ」（新藤恵美）、カコちゃんもカバーした「ふたたび愛を」（平山三紀）なども入っていますので、それぞれのファンも聴き比べが楽しめそう。といっても軍配はいつもゆかりさんに上がりますがね。
 
　という筒美作品集のアルバム。ジャケットでは筒美先生のはにかんだような素敵な表情が見られますし、ライナーには先生とゆかりさんのメッセージ交換もありますし、筒美フリークならやっぱりLPで持っておきたい名盤といえるでしょう。今回はCDとは異なり、コロムビア純正盤ですしね。
 
　LPが敷居が高いという人は、紙ジャケCDとして「ふたたび愛を～伊東ゆかり・筒美京平 LOVE SOUNDS」（ こちらで紹介）が出ていますので、そちらをぜひ。
　ちなみにCDの方にはボートラとして、71年の筒美先生との出会いのシングル「明日をめざして」、続く大ヒット「誰も知らない／よせばいいのに」、そして大学生のアイドルとして脚光を浴びた77年のシングル「ロマンチスト／プレイボーイ・マガジン」、73年のアルバム「あのひと」に収録されていた「あなたの存在」「不思議な男」という7曲が追加収録されています。
 
　なお、ゆかりさんの筒美作品としては、夫君だった佐川満男さんとCMでデュエットし非売品としてレコード化された「Oh !! Gentle Life」もありますので、コンプリートしたい方は入手困難ではありますが2006年の筒美BOX「THE HIT MAKER-筒美京平の世界-」をぜひ探してみてください。
 
 

＊コロムビア時代の作品を厳選した4枚組CD-BOX「伊東ゆかりコロムビア・レコーディングス」が通販限定で発売となりました！　ご本人の意向を交え、「ふたたび愛を～筒美京平 LOVE SOUNDS」からも多数選曲されているとのことです。