紙ジャケ復刻、オリアル第3弾は75年末の2枚組！

　香港でのデビュー50周年、日本でのデビュー50周年目に突入するタイミングで始まった、アグネス・チャンのアルバム復刻。
　ブリッジからの紙ジャケ復刻で、5月のライブアルバム3タイトル（ こちらで紹介）を皮切りに、オリジナルアルバム第1弾3タイトル（ こちらで紹介）、第2弾3タイトル（ こちらで紹介）と続いてきましたが、対象はワーナー・パイオニア時代からSMS時代へと拡大。来年の春から夏にかけての完結を予定しているそうで、パッケージのみならず初のハイレゾ配信もスタートしています。
 
　続く第4弾も3タイトルかと思いきや、2枚組「 はじめまして青春 (+20)」のみのリリースとなるそうです！ 懐具合と相談しつつ少しずつ買い揃えるには、実はこういうペースがありがたかったりするんですよね。 
 
　今回復刻される「はじめまして青春」は、1975年12月発売、なんと2枚組のオリジナルアルバム。
　背景を説明しますと、その年の8月20日で20才を迎えたアグネスは、オトナへの階段を上るため、ユーミン書き下ろしによる初の失恋ソング「白いくつ下は似合わない」をリリース。トレードマークだったハイソックスやミニスカートを完全に封印し、マキシ丈のドレスでヤングレディへとイメージチェンジすることに成功したワケですが、コレはそんな流れの中で制作された、いわば20才の記念碑的アルバムなのです。
 
　ということで、DISC1は、山川啓介さんの作詞による「思い出をあける鍵」で始まり「思い出をしまう鍵」で終わる、アグネスの75年を振り返るベスト盤チックなメモリアルストーリー。
　まずは「愛の迷い子」「恋人たちの午後」「はだしの冒険」「白いくつ下は似合わない」「冬の日の帰り道」という、75年にヒットしたシングルＡ面全曲（ただし「白いくつ下は似合わない」はコーラスなしのアルバムバージョン）を網羅。
　これに、洋邦のカントリーやフォークを追加。オリビア・ニュートン＝ジョンの「そよ風の誘惑」、ジョン・デンバーの「サンシャイン・オン・マイ・ショルダー」、リメイクヒットしたカーペンターズの「プリーズ・ミスター・ポストマン」、ジョーン・バエズもレパートリーにしていた「愛の喜び」、後にイルカがヒットさせた風の「海岸通」と、当時の最新ナンバーを中心に構成されています。
 
　DISC2は、喜多條忠さんが作詞を手がけた、全曲フォーキーなオリジナル。作曲は森田公一、馬飼野康二といったおなじみの先生方が脇を固めていますが、シングルで起用したヤマハ畑の小泉まさみさんやジュリー作品で頭角を現した大野克夫さんらが中心となって、ヤングレディ、アグネスの等身大の魅力をシンガー･ソングライター的なムードで表現。
　アレンジは、当時気鋭のアレンジャーだった萩田光雄＆船山基紀が担当し、トータルアルバムとしてに完成度に磨きをかけています。
　特筆すべきはやっぱり「ハロー・グッドバイ」でしょう。77年には同じ事務所の讃岐裕子が「ハロー・グッバイ」としてカバー、81年にはそれを踏襲し柏原よしえがアイドルとしての地位を確立させたナンバーとして知られていますが、何より素晴らしいのはアグネスの原曲の萩田アレンジ。カバーでアレンジャーが変わっても原型のサウンド受け継がれていったゆえ、ヒットしたのではないかと思える出来です。
 
　また、このアルバムはハイ・ファイ・セットや、シュガーベイブ（山下達郎、大貫妙子、村松邦男）がコーラスを務めていることでも知られますので、達郎フリークを自認する皆さんは必携です。
 
　パッケージとしては、94年のQ盤・音泉シリーズでCD化済みなのですが、今回はオリジナルを忠実に再現した紙ジャケット仕様で、最新リマスタリング音源なので、やっぱり買い替え、買い増し必至。
　このシリーズはボートラの充実に目を見張りますが、今回はアルバムのボリュームに合わせて20曲とスゴイ。なんと未発表曲だった風のカバー「22才の別れ」が蔵出し収録されるとのこと。ほかアルバム未収録のシングルＢ面も、ユーミン提供の「愛を告げて」（ピアノは矢野顕子さんです）や、松本隆作詞の名曲「心のとびら」とクオリティ高し。あとは。なぜか漏れてしまっている「白いくつ下は似合わない」のシングルバージョンが、リリースまでに追加されたら言うことナシですね。
 
　というアグネスのオリアル復刻第3弾。第4弾はいよいよ世紀の傑作「Mei Mei いつでも夢を」が入ると思いますので、乞うご期待！