筒美京平先生が愛した伊代ちゃんの40th企画！

　筒美京平先生の1周忌を迎えたこの10月。WOWOWでの「～筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト～ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」のオンエアをはじめ、「筒美京平 マイ・コレクション」4タイトル（ こちらで紹介）や、ヒロリンによる追悼盤「筒美京平シングルズ＆フェイバリッツ」（ こちらで紹介）もリリースされるなど、追悼企画も一段落かと思っていましたら、またまたビクター＆濱口英樹さんがやってくれました！
 
　筒美先生に愛された我らが伊代ちゃんのデビュー40周年の記念企画、なんと新録による筒美作品集「トレジャー・ヴォイス [40th Anniversary Song Book] ～Dedicated to Kyohei Tsutsumi」！ 
　しかも、CD＋DVDの生産限定盤「 トレジャー・ヴォイス [40th Anniversary Song Book] -Dedicated to Kyohei Tsutsumi ［CD+DVD］＜生産限定盤＞」と、CDのみの通常盤「 トレジャー・ヴォイス [40th Anniversary Song Book] -Dedicated to Kyohei Tsutsumi＜通常盤＞ 」の2形態でのリリースだそうで、デビュー40周年記念日の本日、予約スタートです！
 
　伊代ちゃんは、平山三紀、郷ひろみと並ぶ筒美先生三大フェイバリットボイスの持ち主。今回のアルバムタイトル通り、先生はあの声に惚れ込んで伊代ちゃんのデビュー曲を担当することになったそうですが、伊代ちゃんは“花の82年組”の先陣を切ってのデビューシングル「センチメンタル・ジャーニー」を筆頭に、声質を最大限に生かした名曲をたくさん書き下ろしてもらっていますよね。
 
　今回はシングル曲のセルフリメイクバージョン5曲に加え、筒美名曲カバー4曲、そして筒美先生の未発表曲に湯川れい子さんが詞をつけた新曲をプラスした全10曲を収録するというもの。
　ちなみにセルフリメイクは「センチメンタル・ジャーニー」「ラブ・ミー・テンダー／虹色のファンタジー」「ビリーブ」「ポニーテイルは結ばない」。いずれもオリジナル音源をバックに歌い直しているそうです。
　カバーの方は、西田佐知子「くれないホテル」、平山三紀「真夏の出来事」、郷ひろみ「あなたがいたから僕がいた」、岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」と、さすがわかってらっしゃるという選曲ですが、注目したいのはやっぱり筒美先生の未発表曲による新曲。
 
　しかもそのタイトルが「イエスタデイ・ワンス・モア」なのです。
　1940年代から50年代のオールディーズを引用していた初期路線を彷彿とさせる印象ですが、これはもちろんカーペンターズの73年の名曲がネタ元。であるからして、かつての伊代ちゃんのタイトル引用元よりはぐっと新しいと思いきや、あの曲も彼らのアルバム「ナウ・アンド・ゼン」もオールディーズへの慕情ですからね。さすが湯川さん、いろんなミーニングを感じてそのセンスに思わずニヤリとしてしまいます。
 
　ちなみに筒美先生の未発表曲は75年頃に、ビクターのディレクターに渡されたものだとか。当時のビクターの筒美作品といえば、桜田淳子の「ひとり歩き」や岩崎宏美のデビューからの作品群、そしてディスコ歌謡に沸いた頃ですが、その時代にデビューしていない伊代ちゃんが歌うという企画性も二重マル。
　未だに16才の歌を歌っても違和感がありませんし、追悼コンサートでは森高バージョンの「17才」も歌った伊代ちゃんですから、聴ける日を楽しみに待ちたいと思います。
 
　そしてファンにとって、とっても気になるのが生産限定盤のDVD。
　伊代ちゃんの場合、これまでにもBOXのオマケのような形でDVDがリリースされており、2004年のBOXはビデオソフトとして商品化されたもの、2009年の紙ジャケBOXではTBSで放映された武道館ライブと番組での歌唱映像、2012年の30周年記念ベストではフジテレビ、2016年の35周年企画盤ではスポニチ芸能ニュースやライブ映像と、いろんな映像集が出てきましたが、今回は日本テレビの番組での歌唱映像集とのこと。当然すべて初商品化ですので、これまた大いに期待したいですね。
 
　最後に余談ではありますが、今回収録されたナンバー以外にも多くの筒美作品を持つ伊代ちゃん。その中でオススメしたいのが、デビューシングルのB面「マイ・ブラザー」。キャッチフレーズだった“瞳そらすな僕の妹”の世界観をオールディーズに料理していて、完成度的にはＡ面を上回っていると思っておりますが、湯川さんによると、実はこの曲の兄妹のイメージはカーペンターズだったとのこと。そう思うと、今回の新曲にもバッチシつながるではありませんか。ぜひこの機会に併せて聴いていただければと思います。
　個人的な思い出としては、40年前、伊代ちゃんがデビューしたばかりの頃、地元の公園の完成イベントにゲストで来て、まだ持ち歌がないことからデビュー曲ともども2回ずつ歌ったのですが、それを聴いてズキンときて以来、大好きな1曲となっております。
　伊代ちゃんの場合、筒美先生からは「PATA PATA」「淋しさに負けないで」など、B面にも本当にいい曲を提供してもらっていると思いますので、今回の収録曲以外も掘る人が増えますように。
 
　筒美フリークの方でまだ伊代ちゃん作品をスルーしている方がいらっしゃいましたら、ぜひ今回の追悼盤をきっかけに、収録曲のオリジナルボーカルバージョンや、その他の提供曲も聴いていただければと思います。