ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1100
アグネス・チャン SMS時代オリジナルアルバム復刻 2タイトル
小さな質問 +4BRIDGE-345)・Girl FriendsBRIDGE-346
2022.5.25発売、各¥2,750<税込>

太田裕美、森山良子、南沙織、麻丘めぐみも提供!

 昨年スタートしてからちょうど1年を迎えるアグネス・チャンの紙ジャケアルバム復刻。ブリッジからのリリースとなった日本デビュー50周年記念企画ですが、ワーナー・パイオニア時代( こちらなどで紹介)からSMS(サウンズ・マーケッティング・システム)時代( こちらなどで紹介)へと順調に進んできました。
 
 今回はSMS時代のラストを飾る2作「 小さな質問(+4) 」「 Girl Friends 」。
 いずれもアルバムとしては初CD化となりますが、大半が2002年通販の6枚組「アグネス・チャンCD-BOX」に収録されていますので、そこまでレアとはいえませんが、いずれも名企画、名盤といえるだけに、本当に待ちに待ったファンは多いことでしょう。
 
 まず、作家陣が大きな話題を呼んだ「 小さな質問(+4) 」は、83年2月リリース。81年の「Love me little Love me long」の後、自作品ベスト「愛されて Agnes Song Book」や、クリスマスソング入りのハーフベスト「HALF TIME」と、ベスト盤が続いていたアグネスにとって、実に2年ぶりのオリジナルアルバムです。
 
 “愛することをわかりかけてきた貴女へ”という帯コピーが示すように、当時のアグネスは女性にこそ聴いてほしいと言っていましたが、このアルバムが大きな注目を浴びたのは、前述の通り多才な作家陣。
 表題作を書いた山崎ハコをはじめ、日本デビュー時から憧れの存在だった森山良子、文化人同士の神津カンナなども顔をそろえていますが、なんとアイドル時代の仲間であった南沙織、麻丘めぐみ、事務所の後輩である太田裕美が参加しているのです。
 これは前年、同じナベプロのアン・ルイスが、百恵ちゃんとジュリーの共作による提供作「ラ・セゾン」で大きな話題を呼んだことが大きかったと踏んでおりますが、その狙い通り多くのメディアが取り上げたんですよね。
 
 ちなみに、太田さんのカムバック時期とも重なり、相乗効果も少しはあったように思いますが、以前からアグネスに曲提供をしたかったという太田さん。留学前に売り込もうとしていた「恋はお菓子」は実らなかったそうなので、実に7年越しの提供実現となっております。
 というワケで、麻丘めぐみ+太田裕美のオールディーズ風ポップ「しゃれた気分で」、CYNTHIA(南沙織)+森山良子のアーバンメロウなポップス歌謡「ウ・フ・フ」の2曲は必聴です。
 なお、B面はアグネス自身がプロデュース。カンボジア難民救済コンサートから歌っていた「ふるさと」などフォーク、ニューミュージック系シンガー・ソングライターとしてのイメージも大切にした仕上がり。このアルバムを引っさげて初のライブハウス公演も行っております。
 
 ちなみに「小さな質問/時の河」は翌月にシングルカット。大々的な全国キャンペーンを行いましたし、ラジオで流れる機会も多かったので、アグネスのみならずナベプロ自体が苦戦していた時代の割には、意外に知名度が高いナンバーではないかと思っています。
 初CD化となるのは「やさしい関係」「愛しきスウィート・ハート」の2曲。81年のエキゾチック歌謡「愛の呪文/絹の娘」が、オリカラとともにボートラ収録されています。
 
 それから半年後、83年9月リリースとなった「 Girl Friends 」は、全編としては初となるセルフプロデュースアルバム。80年代という女性の時代をさらに意識し女性陣だけの制作にこだわったアグネス。“新しいFEMALE SOUNDは14人の女性達から始まる!”という帯コピーが示すように、14人の女性作家陣ががっちりサポート。
 
 前作に引き続いての太田裕美や森山良子、山崎ハコ、神津カンナに加え、りりィ、久保田早紀らニューミュージックのシンガー・ソングライターのみならず、時代の寵児的存在だったライダー・三好礼子、かの国木田独歩のひ孫・国木田あこといった文化人枠も。
 彼らの書き下ろしの新曲に加え、過去ナンバーからユーミンからの「愛を告げて」(「白いくつ下は似合わない」B面)や、矢野顕子からの「ひとつだけ」も再録音。「MORE」とかの女性誌で人生を語ったり、吹っ切れて饒舌になったニューアグネスの魅力が満載です。
 全曲を山川恵津子がアレンジし、トータルアルバムとしての精度を高めているもの見逃せません。
 
 オススメはやっぱり太田裕美作曲の「シャツとパンツ」。作詞は山元みき子ではなく、よこすか未美ですが、当時の太田さんのテクノ・ニューウェーブ路線真っ只中の世界観で、名盤「I do,you do」のスピンオフと言ってもいい仕上がり。
 なお、プロモーションシングルとしてリカットされた久保田早紀作品「Lady of The Wind/人はなぜ」が、3カ月後に正規シングルとしてリリースされています。
 アルバムとしてはもちろん初CD化ですが、音源としての初CD化は「ママ」「Jessy & Lola」「朱色の夢」「愛を告げて」の4曲。残念ながらこちらにはボートラ収録はありません。
 
 というSMS時代のフィナーレを飾る2タイトル。78年の留学復帰後は思うような結果が出ず、長い迷宮に入り込んだようなアグネスでしたが、ここいらへんから80年代という女性と国際化の時代を味方にし、文化人という立ち位置も手に入れ、独自の居場所を築いたのはご存じの通り。
 
 翌84年には徳間ジャパンに移籍し、加藤和彦「シンガプーラ」の改題改詞カバー「愛のハーモニー」が久々のスマッシュヒットを記録。安井かずみ+加藤和彦コンビの「愛が見つかりそう」などのシングルのみならず、アルバム「CITY ROMANCE」もリリースしますが、廉価盤で復刻されていましたし、ここまで行くでしょうか。
 

(2022.4.15)

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