美麗なる品格、初のフィメール提供曲集！

　上田知華さんといえば、音大出身の才媛で、クラシカルな弦楽カルテットを従えたポップユニット・上田知華＋KARYOBINとして1978年にデビュー。80年の出世作「パープル・モンスーン」は自身も弾き語り出演した扇風機のCMソングとなり、翌年のポーラ化粧品のCMソング「秋色化粧」とともに代表作として知られていますが、彼女が広く頭角を現したのはやはりソングライターとして。
 
　その最大のヒットが、今井美樹に提供したミリオンセラー「PIECE OF MY WISH」ですが、このたび初の提供曲集「 PIECE OF MY WISH～上田知華のおと～/上田知華 提供曲集」が発売されることになりました。 
 
　今回は、知華さんの350を超える提供曲の中から厳選した30曲をCD2枚に収録。
　まずは、前述のオリコンナンバー1ヒットのドラマ主題歌「PIECE OF M Y WISH」を筆頭に、同じ今井美樹の「瞳がほほえむから」、小川範子「無実の罪」 、南野陽子「瞳のなかの未来」、牧瀬里穂「ささげたい、あなたに… 」といったトップ10ヒット。
　加えて、渡辺満里奈「新しい気持ち」、薬師丸ひろ子「風に乗って」、渡辺典子「リタルダンド」、観月ありさ「風も空もきっと…」、酒井法子「軽い気持ちのジュリア」、森口博子「愛は夢のとなりに ～Dear Formula 1 Pilot～」、荻野目洋子「幸福への時間」、篠原涼子「a place in the sun」、ともさかりえ「泣いちゃいそうよ」、奥菜恵「この悲しみを乗り越えて」、知念里奈「Love you close」などのスマッシュヒット・シングル。
 
　さらに、中森明菜「Angel Eyes」、松田聖子「メディテーション」「Matins ～朝の祈り～」、南野陽子「氷のダイヤモンド」、中山美穂「SHINING FOR YOU」、松たか子「Kisses」といったアルバムやB面の隠れた名曲も選曲。
　ビッグネームのみならず、大塚純子「So Sorry」、内海みゆき「Morning Smile 」、野田幹子「ソ・ワ・レ」、佐伯伽耶「パヒュームを残せない」、柴田由紀子「ジェット機の見える沖」など、丹念に拾われている印象がありますが、ベスト盤「 ゴールデン☆ベスト 上田知華」「 ゴールデン☆ベスト 上田知華+KARYOBIN」やBOX「 オール・アバウト KARYOBIN」同様、長井英治さんの企画・監修だと聞いて納得。知華さんの場合、提供曲自体がほとんど女性アーティストのため当然と言えば当然ではありますが、フィメールボーカル特選集となっています。
 
　なお、収録曲とは関係なく、個人的に知華さんの提供曲として最初に印象に残っているのは、まず倉田まり子が歌った名曲「さよならレイニー・ステーション」。
　KARYOBINのバージョンが先に出ていたようで今回は対象外になっているようですが、ちょうど「パープル・モンスーン」がヒットの兆しを見せていた頃で、NHKレッツゴーヤングで共演。知華さんが美貌と才能を兼ね備えたソングライターであるというイメージを初めて持ったように記憶しています。
 
　本格的に作家として意識するようになったのは83年、松田聖子のアルバム「ユートピア」のラストを飾った「メディテーション」。CBS・ソニーの若松チームでは、85年の松本典子のデビューアルバム「Straw Hat」の「グリーンの夏」印象的です。ヒットシングルという意味では、今井美樹への初シングル「彼女とTIP ON DUO」が最初だったように思いますが、最も感動したのはやはり「PIECE OF M Y WISH」。本当に辛かった当時、大きな支えになってもらったナンバーです。
 
　あとビックリしたのは杉本彩の「うさぎ」。衣装のインパクトやパフォーマンスがとにかくスゴかった作品ですが、過激なビジュアルとは裏腹にキュートなナンバーで、さすが知華さんと膝を打ったことでした。
 
　やはり品格ある美麗なメロディーと、前向きで心地好い優しさが上田知華作品の特徴だと思っていますが、今回の収録曲では、渡辺満里奈「新しい気持ち」と薬師丸ひろ子「風に乗って」が双璧でしょうか。
　いずれにしてもたった2枚では物足りないでしょうから、続編が編まれることに期待しております。