シティポップ名作選第2期、山本潤子のユニットも！

　空前のシティポップブームを背景に、入手困難だったアルバムや音源がゾクゾク復刻されておりますが、今年6月にスタートしたのがビクターの「＜マスターピース・コレクション＞シティポップ名作選」シリーズ。
 
　最新リマスタリングで最新ライナーノーツ封入、タイトルによってはボートラも入っているのに、なんと税込1,980円。やっぱりこのお値段が最大の魅力ですが、オリジナルリリースは1970年代から2000年代にかけてと幅広く、シティポップと一括りにできないほどジャンルも多岐にわたっており、一気にコレクションするというより、好きなアルバムやアーティストをそろえていくという買い方がオススメではないかと思っております。
 
　第1期17タイトルに続き、10月には第2期17タイトル（杉真理「 スインギー 」、ブレッド&バター「 SHONAN BOY」、りりィ「 fairy tale +3」、石黒ケイ「 Purple Road」、nanan「 nanan style」、惣領泰則とジム・ロックス「 LOVING CARE」、高木麻早「 Good-bye あの頃 」、丸山圭子「 MORE 愛 +1」、JIVE「 COOK'IN」、木戸やすひろ「 KID +1」、黒住憲五「 Boxing Day +1」、OPCELL「 OPCELL」、渕上祥人「 AGUA」、paris match「 typeIII」、ボサノバ カサノバ「 SECOND KISS +3」、南佳孝「 ロマンティコ +3」、南佳孝 with Rio Novo「 ボッサ・アレグレ」）の発売が決定。
　今回も初CD化となる高木麻早、丸山圭子、りりィといった、70年代の女性シンガー・ソングライターの80年代作品が目立ちますが、ここでは前回同様、山本潤子さんが参加したユニットをプッシュさせていただきましょう。
 
　前回は潤子さんが最もやりたかったというコーラスグループ・Aprilのファースト「10cc of Tears」（ こちらで紹介）をイチオシしましたが、今回はもう１つのnananをば。
　フランス語で甘いお菓子という意味のnananは、“大人が作る大人の為の音楽”をコンセプトに、2000年4月にスタートしたレーベル・aosisレコードを象徴するユニット。
　レーベルの主宰者の1人でもあった新川博さん（キーボード）が呼び掛け役となり、旧友である日本を代表するトップミュージシャンたちと結成。メンバーは高水健司（ベース）、浜口茂外也（パーカッション）、吉川忠英（ギター）というスゴイ面々で、潤子さんは紅一点のボーカリストとして参加しました。
 
　収録曲はオリジナルもありますが、ボサノバやジャズ、ポップスのスタンダードが中心。ハワイでレコーディングしたというだけあって、南国の空気感あふれるリゾートサウンドの趣。潤子さんのボーカルもあくまでさりげなく、インストに交じってという感じなので、お洒落なヒーリングミュージックとしてもぴったりです。
 
　潤子さんのボーカルは赤い鳥やハイ・ファイ・セット時代とも、ソロとも違うリラックスした雰囲気で、ファースト「 c'est du nanan!」では「蘇州夜曲」といった日本語も披露していますが、セカンド「 nanan style」では英語のみ。フィフス・ディメンションの「Up Up and Away（ビートでジャンプ）」や、セルジオ・メンデス&ブラジル66の「MAS QUE NADA（マシュ・ケ・ナダ）」、バート・バカラック作の「This Guy's in Love with You（ディス・ガイ）」をクールに決めております。
 
　ちなみに、nananのCDは、2000年のオリジナルに加え、2004年に2枚をセットにした再発盤も出ていましたので、今回は3度目のCD化。とはいえ、すぐ廃盤になって潤子さんのファンでも知らなかったという人も多いようなので、この機会にぜひどうぞ。当然ですが生産限定盤につきお早めに。
 
 　なお、いつも申しておりますが、やっぱり気になるのは山本潤子さんの近況。3月に出たアルファミュージックのライブ映像集「ALFA MUSIC LIVE」（ こちらで紹介）でも、あらためて潤子さんの偉大な功績と不在の寂しさを実感したことですが、回復していつの日か復帰されることを心からお祈りしています。
　それまでは、ファンのリクエストをもとに全キャリアをまとめたBOX「Junko Yamamoto ALL TIME SONGS」（ こちらで紹介、解説などを担当させていただいております）を聴きながら待ち続けたいと思います。