90年代復活時のアルバム2作、初アナログ化へ！

　シンシアこと南沙織さんがデビューして今年ではや51年。一昨年の50年目突入イヤーに、記念企画第1弾として未発表曲1曲を含む全110曲収録のCD-BOX「南沙織 CYNTHIA ALIVE」がオーダーメイドファクトリーで商品化（ こちらで紹介）されたのは記憶に新しいところです。
 
　第1弾という触れ込みでしたので、当然続編にも期待が高まり、個人的にはすわ、百恵ちゃんやキャンディーズの豪華書籍「完全記録『山口百恵』」（ こちらで紹介）や「キャンディーズ『アン・ドゥ・トロワ』」（ こちらで紹介）のシンシア版「完全記録『南沙織』」や、百恵ちゃんのライブBOX「MOMOE LIVE PREMIUM」（ こちらで紹介）のシンシア版「CYNTHIA LIVE PREMIUM」などが実現か！と夢想したものですが、待てど暮らせど続報は届かず…。
　ご本人の意向なのかどうかわかりませんが、第２弾の企画自体が頓挫した模様で心配していましたが、ここに来てやっと新アイテムの企画がアナウンスされました！
 
　期待した50周年企画第２弾ではありませんが、シンシアとして復活した時期のアルバム２作「 MATURITY 」「 Art of Loving 」が、ソニーミュージックの「GREAT TRACKS Order Made Vinyl（グレイト・トラックス オーダーメイド・ヴァイナル）」の商品化候補に挙がったのです！
 
　今回の２作は、1978年に引退して以来、南沙織を封印し、復帰話には耳を貸さず篠山紀信氏の奥さまとして家庭に入ったままだったシンシアが、90年代の一時期だけ復活した時期の２タイトル。南沙織とは一線を引く意味でシンシア名義での活動再開でした。後にシンシア（南沙織）という表記になりましたが…。
　いずれもオリジナルリリースはCDでしたので、今回実現すれば初アナログ化となります。
 
　まさかの復活はEPICレーベルからのアプローチがきっかけで、斬新な構想があったそうですが、実際はやはり育ての親の酒井政利さんがプロデュース。南沙織が引退から美しく歳月（とき）を重ねてシンシアとして戻ってきたという、往年の世界観を踏襲した展開となっています。
 
　まず92年６月リリースの「 MATURITY 」は、91年の暮れに突然のカムバックを発表し、紅白歌合戦への出演を機にアルバム歌手として活動を再開した第１弾。作家陣には有馬三恵子＋筒美京平コンビをはじめ阿久悠、売野雅勇、井上大輔、鈴木キサブロー、小林明子ら多彩な顔ぶれが名を連ね、声も表現力もブランクを一切感じさせないアダルトポップスが展開されていますが、何よりも驚くのはブランクを感じさせない歌声。往年の南沙織に円熟味をプラスしたボーカルに筒美先生も大喜びしたといいます。
　来生えつこ＋都志見隆コンビの復帰第１弾シングルにして、松下電工エステ商品のイメージソング「青空」をはじめ、南佳孝とのデュエット「FINESSE」、有馬＋筒美コンビの名作「Deep River」など、美しく歳月（とき）を重ねたシンシアの魅力が満載です。
 
　続く復帰第2作「 Art of Loving 」は93年10月発売。初のセルフプロデュースで、作家陣には吉田拓郎、伊勢正三といったかつてのフォーク界での南沙織ファンが並んだほか、当時「24時間の神話」がヒットしていたVOICE（別所秀彦・芳彦）をはじめ、伊藤薫、安藤芳彦、羽場仁志、尾関昌也ら80～90年代に活躍した面々との初顔合わせも。
　まさごろ、山崎ハコら、同時期に酒井さんプロデュースしていた裕木奈江の曲づくりと重なるメンツも多いですが、こちらも安心して聴ける大人のポップスに仕上がっています。意外なのが売野さんとの相性。どこまでもデコラティブなイメージの売野さんとあくまでナチュラルなシンシアは、一見水と油のように思いますが、いつもの売野的詞世界はなりをひそめていて、オープニングの「誓い」とラストのタイトル曲はシンシアの30代を見事に表現していると思います。
 
　この後も松本隆さんプロデュースによる第３弾アルバム「Close Your Eyes」が準備され、本来なら95年2月に発売の予定でレコーディングも進んでいたそうですが、体調不良などの理由からストップ。結局は発売が中止されたため、この２枚で打ち止めに。お蔵入りになった曲の中には思わぬ形で世に出たものもあるそうですけど、ホント今もって残念な限りです。
　と話がそれましたが、アナログで聴けばまた新たな発見がありそうに思いますし、ファンとしては新商品が企画されること自体がウレシイもの。特に今回の企画は規定数に達しなければ商品化はされませんので、皆さん、どうぞご協力のほどよろしくお願いいたします！