80'sロカビリーのポスト吉川、30周年で初ベスト!
1985年から86年にかけて、ポスト吉川晃司として渡辺プロが猛プッシュで送り出した男性アーティストがいました。
正統派ハンサムでタッパもあり言う事ことなしのモデル的ルックスに、絶妙な感じで漂う不良っぽさ。古着屋でバイトしていたこともあり着こなしセンスも抜群で、ファッション誌からも注目され、センスにうるさかったオリーブも一目を置く存在。
それが、アイドル的にも超有望株だった湯江健幸クンでした。
まずドラマで顔を売り、CMに出演してレコードを出すというナベプロの伝統的なプロモーションに乗って、86年2月、コロムビアよりシングル「HURRY UP」でレコードデビューを飾ったのです。
まさに和製ジェームス・ディーン、赤木圭一郎の再来という感じの印象で、早々にメガロポリス歌謡祭優秀新人エメラルド賞に輝くなど、誰もがブレイクを確信したように思うのですが、今ひとつ抜けきれず、翌年には俳優一本となってしまった湯江クン。
今では脇を固めるベテラン俳優の一人として、2時間ドラマを中心に活躍を続けておりますが、つい先日歌手デビュー30周年を記念したライブを開催。まだ歌への情熱は冷めていないのかとうれしく思っておりましたら、なんと、このタイミングで待望のベスト盤「
湯江健幸 ゴールデン☆ベスト
」がリリースされることとなりました!
ファッションとともに、50年代のロカビリーやロックンロールが大好きと公言してはばからなかった湯江クンですが、エディ・コクランやバディ・ホリー、エルヴィス・プレスリーなどを自分のラジオ番組でもガンガンかけてたようにその志向は本物で、オリジナル曲もまさにその路線。
日本のアイドルポップスというものが基本的に60年代のアメリカンポップスやビートルズの影響直下にあったせいで、50年代のロカビリーのエッセンスはリスナーの耳にあまりなじまなかったのは確かですが、当時はファッションとともにその潮流は確実に存在していて、世界的にはストレイ・キャッツが席巻しましたし、日本でもSALLYやチェッカーズなんかがそういうエッセンスを醸していたのも事実です。
湯江クンの志向やレパートリーはエッセンスどころか、どんどん本格化していったように思いますけど、今回のベストでは、彼が世に出したナンバーのほとんどが網羅されます。
まずシングルは、デビュー盤にしてオリコン16位のスマッシュヒットを記録した「HURRY UP/夢も見えないうちに」から、堀ちえみ主演の大映ドラマ「花嫁衣裳は誰が着る」でも歌って最高15位を更新した「涙のLove Somebody/Come Together」、ナベプロの大先輩・ジュリーのカバーのかまやつひろし作品「想い出のアニー・ローリー/夏は2度目で止まってる」、シングルカット曲にして本格的なロカビリーにシフトした「トラブル-TROUBLE JENNY-/闇を塗りつぶせ」を完全収録。
アルバム曲は、デビューからわずか1カ月後に出たファースト「アフター・ザ・ガレージ・アレイ」から、「Garage Alley」「素足でWalk Way」「星の見えるジューク・ボックス」「Boy Meets Girl」「Rollin Stone」「Remember September」「君の瞳のNowhere」「横顔のピカレスク」と、シングル曲以外を網羅。
そして、レコードは45回転LPとしてリリースされたミニアルバム「Thanks to EDDIE~想い出のアニー・ローリー~」(CD版にはアルバム未収録だった「Come Together」&「夢も見えないうちに」を追加収録)から、新曲&新バージョンとして収録された「PINUP GIRL GAME」「DON'T STOP TO LOVE ME BABY」「HURRY UP(POP-BILLY VERSION)」を収録。
当時、ほぼCD化済みでしたし、「夢も見えないうちに」のアルバムバージョンが抜けていますけど(時間が許すのであれば追加収録を期待したいところ)、湯江クンにとっては初のベストですからね。
コクランズ・クラブ会員だったコアなファンはもとより、ロカビリー歌謡やロックンロール歌謡が好きなマニアや、50年代のアメリカン・グラフィティといえる青い世界がお好みの人にもオススメしたいと思います。
なお、女性アイドルフリークに朗報! 83年組で今はモデルとして活躍する徳丸純子の「
徳丸純子 ゴールデン☆ベスト
」も同時発売されるそうです!
(2016.4.19)