筒美先生の1周忌に、ヒロリン監修・選曲の追悼盤！

　早いもので筒美京平先生がお亡くなりになってから、はや1年。
　1周忌の追悼企画としては、まずWOWOWでの「～筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト～ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」のオンエア日が10月3日に決定。
　追悼盤としては、コロムビア、ソニー、ビクター、ユニバーサルというレコード会社４社と、ゆかりの音楽出版社・日音、そして筒美音楽事務所の共同企画第2弾「筒美京平 マイ・コレクション」4タイトル（ こちらで紹介）が10月20日に発売されることがアナウンスされていますが、ここに来てなんと、筒美先生からこよなく愛された岩崎宏美さんによる追悼盤「筒美京平シングルズ＆フェイバリッツ」もリリース決定！
 
　商品は、筒美先生が手がけた全シングルＡ面曲とヒロリン自らがセレクトしたナンバー合計38曲で構成したCD2枚組の通常盤「 筒美京平シングルズ&フェイヴァリッツ＜通常盤＞ 」と、これにDVDが付いた初回限定盤「 筒美京平シングルズ&フェイヴァリッツ ［2CD+DVD］＜生産限定盤＞」の2形態。古巣のビクターからの発売となります！
 
　CDの内容は、まずDisc1が「シングルズ」で、文字通り筒美シングルＡ面曲を全て収録。
　すなわちデビュー曲「二重唱(デュエット)」から「想い出の樹の下で」まで、学生時代に繰り広げた怒濤の連続8作をはじめ、ヒロミ・イン・ディスコ第2章の「シンデレラ・ハネムーン」「さよならの挽歌」、ニューミュージック歌謡「春おぼろ」、「スローな愛がいいわ」「女優」、AORの極致「素敵な気持ち」「真珠のピリオド」、10周年記念でデビュー曲に携わったメンツが再会した「未完の肖像」、独立後の火サス主題歌「夜のてのひら」、筒美ブームの25周年記念シングル「許さない」までの全18曲です。
 
　続くDisc2は「フェイバリッツ」と題し、シングルB面曲やアルバム曲からヒロリン自身が思い出深い筒美作品19曲をセレクト。
　B面曲は「月見草」「私たち」「パピヨン」「わたしの1095日」「南南西の風の中で」。アルバム曲は「涙のペア・ルック」「キャンパス・ガール」（糸井五郎さんのDJ抜きバージョン）、「愛よ、おやすみ」「愛の飛行船」といった初期作品のほか、ヒロミ・イン・ディスコ第2章の傑作「パンドラの小箱」と筒美先生も同行したLA録音盤「WISH」という全曲筒美作品でまとめた2枚からは各4曲をセレクト。先生のピアノ1本で歌った「Wishes」でしめくくられるという構成も感慨深いものがあります。
　ヒロリンがデビューした70年代半ばからはアレンジを編曲家にまかせることが多くなった筒美先生ですが、ヒロリンの場合はシングル、アルバムを問わず筒美先生自身が大半を手がけており、それだけでも歌手・岩崎宏美が別格の扱いだったことが分かるでしょう。
 
　思えば、最初から歌唱力抜群だったがゆえに、スタ誕で歌った「あなた」みたいなバラード歌謡を引っさげ、前年の麻生よう子みたいな実力派歌手のイメージで売り出される可能性もあったヒロリン。それを、おきゃんでナウなフィーリングを持つティーンアイドルとして大成させたのは、筒美先生が手がけたヒロミ・イン・ディスコ路線のおかげといっても過言ではないでしょう。
　それも、やがては大人のバラードを歌うことを予見した上での路線だったといいますから、ヒロリンのデビューが筒美ディスコでなければ歌手・岩崎宏美の現在はまったく違ったものになっていたと言わざるを得ません。
　個人的にはそういう意味も込めて、ヒロリンの軌跡における筒美作品の位置づけを再確認してみたいと思っています。今回は惜しくも選に漏れた名曲群、例えば「そうなのよ」「感傷時代」「スイート・スポット」といったB面の傑作なども併せて聴いてみたいと思います。
 
　なお、音源は全て2021年最新マスタリングということなので、LPもCDもSACDハイブリッド盤も全部持っているという人でも必聴ですね。
 
　一方、初回限定盤のDVDの方は、ライブビデオ「’83岩崎宏美リサイタル」から抜き出した「筒美京平メドレー（センチメンタル～未来～ファンタジー ～私たち）」の歌唱映像に加え、ヒロリン自身が筒美先生の思い出を語った撮り下ろしのインタビュー映像を収録。
　歌唱映像はライブBOXでDVD済みではありますが、音声は最新リマスタリングされるとのこと。ヒロリンのファンも、筒美先生のファンも必見の内容になっているようですので、やっぱり初回限定盤を入手したいもの。
 
　さらに、ブックレットにはヒロリンのアルバムでは恒例のセルフライナーノーツに加え、DVDのインタビュアーもお務めになった濱口英樹さんによる解説も掲載されるとのことですから、これも必読です。しかもジャケ写は、若きヒロリン＆筒美先生のLAでのレコーディング風景！
　非常にお買い得なプライスですし、1周忌のご供養の気持ちもこめて、ぜひともご予約ください。
 
　トリビュートコンサートでも話していたように、2019年に発表した「Dear Friends VIII 筒美京平トリビュート」（ こちらで紹介）を送ったのが最後の交流になったというヒロリン。
　筒美先生はとても喜ばれていたそうですが、なんと先生の愛弟子同士と言える野口五郎さんと11月に夢のデュエットソング「 好きだなんて言えなかった 」もリリースするのだとか！
 
　ジョイントコンサートも行うそうなので、ぜひゴローも交え、オリジナルだけでなくいろんな筒美作品を今後も歌い継いでいただきたいと思っています。