ルミちゃん! シンシア! 真理ちゃん! 夢の40周年プレゼント!
女三人寄ればかしましい、などと昔から言われるように、女性三人組は古くからの単位のようで、歌謡界でも数多くの三人娘が存在いたします。
それぞれの時代を象徴する三人娘は数々あれど、ディケイド別によく取り上げられるのは1950年代の元祖三人娘(美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ)、60年代のナベプロ・スパーク三人娘(中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり)、そして70年代の花のトリオ(森昌子、桜田淳子、山口百恵)が最も多い感じ。
しかし、チョイ待ち。他の三人娘みたいに「ジャンケン娘」「ハイハイ3人娘」「初恋時代」という映画が作られたワケではありませんし、歌番組ではよく一緒に出演していたものの、興業として3人だけでジョイントコンサートを開いたのは72年のクリスマスイブだけではありますが、この3人を忘れてもらっちゃ困ります。
1971年のレコードデビューから今年でめでたく40周年。小柳ルミ子、南沙織、天地真理という、史上最強かつ今日まで続くアイドルのルーツとされる新三人娘のことを。
と言いますのも、なんと40周年を祝して、夢のプレゼントといえる企画が登場するのです!
まさかの新三人娘が一堂に会した初のCD、それもG☆Bシリーズにラインアップされる「 GOLDEN☆BEST 新三人娘 ~天地真理・小柳ルミ子・南沙織~ 」!
それもヒット・パレードとフォーク名曲カバー集という2枚組構成で、まるで三すくみ三つどもえ、三人娘それぞれの魅力がしっかり楽しめる内容というのもうれしいじゃありませんか。
コンサートがルミちゃんと真理ちゃん所属のナベプロ仕切りなら、今回は真理ちゃんとシンシアのソニーミュージック仕切りという感じでしょうか。とはいえルミちゃんも、ナベプロ音源のG☆Bがソニーから出ていましたので、今となっては違和感はないですよネ。
さて、「わたしの城下町」のルミちゃん、「17才」のシンシア、「水色の恋」の真理ちゃんという新三人娘に共通するのは、それぞれが斬新な存在で登場し、それぞれ最初から大ヒットを放ったビッグアイドルだということ。
歴代3人娘の中には人気の度合いやセールス面、志向などでなんとなく違和感が感じられたり、必ず水を開けられるメンバーが出てきたりするものですが、この3人は事務所や番組の思惑から生まれたトリオではないのも功を奏してか、三者三様それぞれ突出した魅力を持ち、抜きつ抜かれつ、ホントの好敵手同士だったという感じがします。
最初はデビューの早かったルミちゃんVSシンシアという新人賞対決の構図に、やがて真理ちゃんが入ってきて、真理ちゃんVSルミちゃんのレコードセールス対決、シンシアVS真理ちゃんのブロマイド売り上げ対決などなどが、延々と繰り広げられたのであります。
ルミちゃんとしては真理ちゃんに火花バチバチだったこともあるようですし、真理ちゃんがぶっちぎり独走という期間もありましたが、真理ちゃんが休業する76年あたりまでは、3人がそれぞれいろんな意味でトップの座を交代し、絶妙のバランスを保っていたような感もあります。
また、基本的にヤングファンを中心に人気のあった3人ですが、うるさ型の中高年やお年寄りにも認められたルミちゃん、フォークや洋楽しか聴かないという人もトリコにしたシンシア、そして老若男女最も幅広く、とりわけちびっ子たちに圧倒的な支持を受けた真理ちゃんというように、ファン層にもそれぞれの個性が表れていたという点も、今振り返ってとっても興味深い部分ではないかと思います。
さて、そんな三人がそろったこのCD。
DISC1のヒットパレード18曲は、1人につき6曲がテレコで入っておりますが、選曲はデビューからピークの1974年までに発売されたヒット曲の中でも、シングルの売り上げが高かったものを中心にチョイスされているとのこと。
なので、ルミちゃんの最もアイドルっぽい「恋にゆれて」や、シンシアの佳曲「ひとかけらの純情」、真理ちゃんの名作「想い出のセレナーデ」などが残念ながら漏れていますけど、当時を知る誰が聴いても印象に残っている妥当なナンバーばかりではないかと思います。
それと、シンシアにはオリコン1位はありませんが、ルミちゃんと真理ちゃんは「わたしの城下町」「ちいさな恋」「瀬戸の花嫁」「ひとりじゃないの」「京のにわか雨」「虹をわたって」「恋する夏の日」「若葉のささやき」「冬の駅」と、2人合わせて9曲ものNo.1ヒットがあるというのもスゴイですよね。
今回の収録曲では、その1位獲得曲すべてを網羅。さらに「潮風のメロディ」を除く残りの8曲もトップ5入りを果たしたヒットとなっていますから、名実ともにヒットパレードという中身になってます。
また、DISC2のフォーク集は、あの時代らしい内容ですが、歌い飛ばしているワケではなく、作品としてきちっと堪能できるのが魅力。
アイドルとはいえ、実力を問われていた時代の人たちならではという仕上がりです。
中でもフォーク志向で、森山良子や本田路津子ラインでデビューしてたかもしれない真理ちゃんがやっぱりグンバツ。
フォークがお得意の真理ちゃんはたくさんのカバーを残していますが、今回は「小さな日記」「サルビアの花」「冬物語」などカレッジフォークを中心に、ツウ好みのナンバーが厳選チョイスされたという雰囲気。松の湯のボイラー室で弾き語った「涙から明日へ」は持ち歌と言ってもいいですけど、やっぱり素敵ですネ。
選曲元のLPも最も多く、ファースト「水色の恋/涙から明日へ」をはじめ、カバー企画「虹をわたって」、オリジナル&カバーの「若葉のささやき/さよならだけ残して」、同じ構成で74年に出た「恋と海とTシャツと/恋人たちの港」という4枚のアルバムから選ばれています。
これで真理ちゃんのトリコになった人は、ぜひコンプリートBOX「 天地真理プレミアム・ボックス 」をお求めください。
一方、フォークシンガーたちから愛されたシンシアは、74年のフォークカバー集「ヤングのテーマ 夏の感情」を中心に、72年の筒美名曲集「早春のハーモニー」、筒美系フォークもカバーした「20才」という3枚からの選曲。
「ひまわりの小径」「あの場所から」といった今となってはフォークの本流とは趣を異にする筒美系フォークと、「夏色のおもいで」「あなた」などシンシアらしいニューミュージックのはしりなど、ダイナミックな歌唱をどうぞ。
ルミちゃんも「知床旅情」といった叙情フォークや、はしだのりひこ系「風」「花嫁」というカレッジフォークはホントに上手。
71年のファースト名曲選「私の十二曲/日本抒情歌集」をはじめ、フォークカバー集の73年「春のおとずれ ルミ子とフォークの出逢い」&74年「あたらしい友達」という計3枚から選ばれております。
なお、真理ちゃん、シンシアは全音源がCD化済みですが、ルミちゃんは前のBOXで“ルミ子 昭和の名曲を歌う”盤に入ってなかった「風」「心もよう」あたりが初CD化のレア音源になるんじゃないかと思います。
なので、貴重度は高いですし、7月リリースのBOX(こちらで紹介)では当然補完できませんので、ぜひこちらも押さえておかれたらと思います。
むろんシンシアの場合も、CD選書やBOXは今や入手困難なので、お持ちでない方はぜひこの機会をお見逃しなく。
なお、当時は芸能誌やナベプロの「ヤング」でしか拝めなかった3人そろってのお宝写真も掲載予定だとか。
お三方のファンは40周年のご祝儀ととらえる方も多そうですが、若いアイドルフリークの皆さんも、ルーツを確認する意味でもぜひあらためてお聴きいただければと思います。
(2011.5.27)