聖子、裕美に続くSACDは、ポニキャン時代の亜美！

　高級オーディオ専門誌としておなじみのステレオサウンド発の企画として話題を呼んでいる、SACD（スーパーオーディオCD）ハイブリッド盤による日本のポップスシリーズ。
 
　ソニーの松田聖子15タイトル（ こちらと こちらと こちらで紹介）、太田裕美4タイトル（ こちらと こちらで紹介）に続くのは、なんと尾崎亜美作品。それもポニーキャニオン時代の「HOT BABY」「Air Kiss」「SHOT」「POINTS 2」の4タイトルになるのだとか！
 
　亜美ちゃんのポニキャン時代といえば2013年から14年にかけて、金澤寿和さん監修のLight Mellowシリーズとして、80年代のアルバムがボートラ付きで一挙紙ジャケ復刻（ こちらで紹介）されておりますが、今回はステレオサウンドの独自企画ですから、聖子や太田さんと同様、新たにソニーミュージックスタジオでマスタリング。
　とにかく音質の向上がハンパないシリーズですから、今回も期待が大いに高まるというものです。
 
　今回SACD化されるタイトルのチョイスは、単にご担当者の好みだったそうですが、特に推したいのが81年のロサンゼルス録音盤「 HOT BABY」。
 
　以下、以前の紹介のほぼほぼコピペになりますが…かのデビッド・フォスターがまだ日本人アーティスト御用達ではなかった頃。亜美ちゃんを大々的にバックアップ、アレンジを担当したことでも大きな話題となったアルバムですが、ココではそのアレンジや豪華なバッキングこそがキモ。
　というのも亜美ちゃんって、詩、曲、アレンジと、すべて頭の中でのサウンド構築が最初から立体的に出来上がっている天才イメージがあるのですが、それゆえに、すべて自分自身でやってしまうと完璧すぎてつまんないというか、当たり前すぎて面白くないというか、スリリングな化学変化が起きにくいように思えて仕方がないことがあるのです。
　その点、このアルバムは当時の最先端、本場のAORサウンドをベースに構築されていますので、亜美ちゃんの楽曲自体の魅力はもちろん、ボーカリストとしての魅力が2倍、いえ3倍にも増幅しているのですね。
　とにかくカッコイイの一言ですが、今回のSACDでよりリアルに、そこで演奏されているかのようなグルーブ感までよみがえりそうで楽しみです。
 
　天性のリズム感が生えるリカットナンバー「Love Is Easy」も素敵ですが、「身体に残るワイン」や、日本録音とはアレンジを変えて収録された「蒼夜曲～セレナーデ」といったバラードが出色。とりわけ、大仰なシングル版とは解釈が異なる「蒼夜曲～セレナーデ」の切なさよ。このバージョンを当時毎週聞いていた「尾崎亜美のミュージックランド」というラジオで初めて耳にして以来、ずっと心をつかまれたままの1曲です。日本にいて気づかなかったワビサビを外国の人に教えられたような、狂おしいまでの恋情が凝縮されている気がするんですよね。
 
　と、個人的に大好きなアルバムなので、世間からもとても評価が高いアルバムだと思っていたのですが、ネット時代になってこの頃の作品を良くは思っていないファンが少なからずいることを知ってショックを受けたこともありましたっけ。
　デジパック仕様につき、今回もオリジナルのファンシー文具的なエンベロープ仕様のジャケット（色違いもアリ！）の復刻は無理ですが、亜美ちゃんの最高傑作に推したいアルバムですので、紙ジャケをスルーしてしまった方には、ぜひ手に取っていただきたい1枚です。
 
　同時発売される「POINTS-2」はご存じ提供曲のセルフカバー集第2弾。ポニキャン時代の最高セールスを記録、唯一オリコントップ10（最高10位）を果たしたヒットアルバムです。松田聖子に書いた「ボーイの季節」や「夏の幻影」をはじめ、河合奈保子「微風のメロディー」、松本伊代「時に愛は」「Know-How（恋のKnow-How）」、岡田有希子「Summer Beach」、志村香「曇りのち晴れ」などアイドルが歌ってヒットした亜美作品ばかりなので、アイドルフリークの人も手に取りやすい1枚だと思います。
 
　なお、「Air Kiss」「SHOT」は10月31日発売予定だとか。いずれも ステレオサウンドストアのホームページをはじめとする通販や、一部オーディオショップのみでの限定販売となっておりますのでご注意ください。