ヒロリン80年代のオリアル7作がタワレコ限定復刻！

　今春から、タワーレコード限定でアルバム再発が進んでいるヒロリン。 
　70年代のライブ盤5タイトル（ こちらで紹介）、70年代のオリアル（ こちらで紹介）、 80年代のライブ盤6タイトル＆リミックス・ベストアルバム（ こちらで紹介）に続いて、80年から83年までの7タイトル「 album II (+8)＜タワーレコード限定＞」「 WISH (+7)＜タワーレコード限定＞」「 緋衣草 (+5)＜タワーレコード限定＞ 」「 すみれ色の涙から… (+5)＜タワーレコード限定＞」「 夕暮れから…ひとり (+5)＜タワーレコード限定＞ 」「 Love Letter (+2)＜タワーレコード限定＞ 」「 私・的・空・間 (+5)＜タワーレコード限定＞ 」の再発も決定しました！
 
　簡単にご紹介しますと、まずは80年2月発売の「 album II (+8)＜タワーレコード限定＞」。ビクターのお家芸ともいえる企画盤にして、ヒロリンの童謡唱歌シリーズ第2弾です。
　パート1に多かった幼い童謡は少なくなって、大人っぽさを感じる子守唄や唱歌がメインで、「夏は来ぬ」「冬景色」といった古き良き日本の原風景の表現はさすが。流行歌手としてはコッテリと脂が乗ってきた時期のヒロリンですが、清々しい唱歌が余分なものをスッキリ洗い流したようで、芳醇でありながら爽やかな歌声が楽しめます。
　ボートラにはNHKの朝ドラ「マー姉ちゃん」の主題歌「手のひらは小さなシャベル」や、シングル曲のオリカラ補完など、時系列がイレギュラーですが、それは紙ジャケ再発の際もイレギュラーだったからです。
 
　80年8月リリースの「 WISH (+7)＜タワーレコード限定＞」は、ロサンゼルス録音による筒美京平作品集。
　バッキングは現地のミュージシャンで、楽器の響きとヒロリンの歌声の響きが国内録音にはない音でなんともゴージャス。当時の最新シングル「女優」も新たにレコーディング、作詞を担当した橋本淳、なかにし礼、山川啓介ら諸先生の艶っぽい世界観がオトナのヒロリンを演出していますが、ヒロリン自身も海外で解放された感じです。ジャケットに映った真っ赤なマニキュアがそれを象徴しているよう。
　ボートラはアルバム未収録の「スローな愛がいいわ／白夜」「女優／レンガ通りの恋人たち」「銀河伝説／愛の生命」というシングル3枚のほか、郵政省ふみの日のイメージ・ソング「寂しくないですか -ふみの日の歌-“」。
 
　なお、同期であり同じ筒美ディーバの太田裕美さんは、この2年前に全曲松本隆＋筒美京平作品によるLA録音盤「海が泣いている」を発表していますが、そちらはかのリー・リトナーも参加していますので、併せて聴いてみるのも一興です。
 
　そして81年7月、久々のトップ10ヒットとなった「すみれ色の涙」がチャートをにぎわせている最中に発売された「 緋衣草 (+5)＜タワーレコード限定＞ 」。
　振り袖姿で歌った和風歌謡曲「恋待草」から始まった草花シリーズの一環として出たものですが、「すみれ色の涙」はヒット中のせいか収録されず。歌謡曲タッチのナンバーで構成されていますが、注目は舟木一夫（上田成幸）作品でしょうか。
　「さ・よ・な・ら」「はしり書き」の2曲がそれで、舟木御大の「END-FIN-FINE（ラストシーン）」という曲を解体し、前者は詞はそのままで異曲、後者は曲はそのままで別詞なのだそうです。また、「ひとつ前の夏」を提供したのは白鳥澄夫・英美子夫妻。当時はレーベルメイトだったによる鴉鷺（あろ）として活動していました。
　ボートラはアルバム未収録のシングルで、松本隆＋浜田金吾の「摩天楼／絵空事」、オフコースの松尾一彦提供の「胸さわぎ／潮風の物語」、「恋待草」のB面曲「つぶやけば愛」をプラス。
 
　ブルーコメッツをカバーした「すみれ色の涙」は大ヒットを記録し、同時期の石川ひとみ「まちぶせ」などとともに歌謡界にリバイバルブームを巻き起こしましたが、それを受けて前作からわずか3カ月で発売となったのがカバーアルバム「 すみれ色の涙から… (+5)＜タワーレコード限定＞」。
　ユーミンの「卒業写真」、大滝詠一「夢で逢えたら」、堺正章「街の灯り」、甲斐バンドの「吟遊詩人の唄 (One Man Band)」など、選曲の妙も楽しめます。
 　なお、ボートラとしては、当初オリアルの予定がベスト盤になってしまったという「EXCEL ONE 岩崎宏美のすべて」からアルバム未収録曲4曲を収録。
 
　続く「 夕暮れから…ひとり (+5)＜タワーレコード限定＞ 」は82年7月発売。松本隆作詞のスマッシュヒット「檸檬」をオープニングに、火曜サスペンス劇場のテーマ曲としてメガヒットを記録した「聖母たちのララバイ」のオリジナルバージョンをフィーチャー。ノリに乗った歌唱が堪能できる1枚です。
　ボートラはアルバム未収録のシングル「れんげ草の恋／悲しみのほとり」「影絵(シルエット)」「聖母たちのララバイ／赤い糸」を収録。 LPの帯2種類をリバーシブルで再現したCD帯にも注目です。
 
　そして全曲本人が作詞し、作曲も3曲を手がけたセルフ・プロデュースの企画盤「 Love Letter (+2)＜タワーレコード限定＞ 」。
　デビュー以来の萩田光雄をはじめ、シングルヒットを手がけてきた大野克夫、濱田金吾、そして竹内まりやまで、多彩な顔ぶれが作曲を担当。等身大の岩崎宏美を表現したコンセプチュアルなアルバムに仕上がっています。必聴はヨシリンを歌った「やさしい妹へ」で決まりですね。
　ボートラはアルバム未収録「思い出さないで／メラニーに」だけとなっていますが、本人の手書きによるタイトル名や歌詞、イラストなどなど随所にこだわった仕様の充実さでは群を抜いています。
 
　最後は83年7月リリースの人気作「 私・的・空・間 (+5)＜タワーレコード限定＞ 」。
　松本＋筒美のゴールデンコンビによる「真珠のピリオド」や、ガールイズマインな「素敵な気持ち」という2大筒美シングルを収録。筒美京平7曲、玉置浩二3曲という構成でサウンド的にもぐっと洗練されたシティポップスという様相になっておりますが、見逃せないのは「二人の午後に」「生きがい」「日暮れのマティーニ」という有馬三恵子＋筒美京平コンビでしょう。ヒロリンも大ファンだったという南沙織のゴールデンコンビによって、ヒロリン風シンシア・ワールドが繰り広げられているのです。
　ボートラも名曲ぞろいで「WAITING」「夜明けの天使たち」といったB面曲に、火サスのテーマとしてヒットした「家路／それぞれの朝」、さらに「家路」のTVバージョンも収録というサービスぶり。
 
　いずれも2007年（「album II」は2010年）に発売されたオリジナル・アルバム紙ジャケット・コレクションの再発ですが、オリジナルに忠実な紙ジャケ仕様はもとより、ボートラやセルフ・ライナーノーツなど非常に充実していますから、未入手だった方やMEG-CDで満足できていない方はこの機会にぜひどうぞ。既発分には入手困難になっているタイトルもあるようなので、お早めに！