タワレコ単品再発続編、80年代のライブ盤ほか7作！

　今春から、タワーレコード限定で再発が進んでいるヒロリン。
　70年代のライブ盤5タイトルの単品再発（ こちらで紹介）、70年代のオリアル再発（ こちらで紹介）に続き、 80年代のライブ盤6タイトル「 シンフォニー (+4) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」「 岩崎宏美リサイタル 宏美・22才の愛 (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」「 岩崎宏美リサイタル'81 (+1) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」「 '82岩崎宏美リサイタル (+6) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」「 '83岩崎宏美リサイタル (+4) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」「 ピラミッド (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」と、84年のリミックス・ベストアルバム「 ダル・セーニョ (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」の完全版も、紙ジャケット仕様で単品再発されることになりました！ 
 
　ヒロリンのライブアルバムというと2007年12月、ビクター時代のライブ盤とライブ映像ソフトをまとめた限定紙ジャケBOX「ROYAL BOX ～スーパー・ライヴ・コレクション～」で初CD化。完売となった後、2010年秋にはバラ売りでMEG-CD化されており、音源的にはいつでも入手可能の状態が続いていますが、タワレコはビクター純正の復刻仕様に準拠した正規のCD。BOXを持っていない人にはぜひともオススメしたいアイテムとなっております。
 
　さて、今回のライブ盤6タイトルはというと、まずは80年、全編を服部克久さんがアレンジした「 シンフォニー (+4) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」。毎年10月に行われる恒例のリサイタルとは時期も趣も異なり、タイトル通り、日本フィルハーモニー交響楽団と共演したシンフォニック・コンサートの模様を収めたものです。
　オーケストラの調音から始まる第１部は、オープニングからヒット曲のメロディーをマーチ風にまとめたインストの「序曲」、そしてヒロリン登場の「ロマンス」「二重唱」の流れはポップスオーケストラならではのノリで心躍るよう。
　「万華鏡」の英語版をはじめとするシングル曲はもちろん、五輪真弓の「岐路」や後にシングル化する「思い出さないで」の邦楽カバー、ヨーロッパの映画音楽も含む洋楽カバーなど、クラシカルなバックに負けず美声を響かすヒロリンが素敵です。
　内容はLPより収録曲が多かったカセット版をベースにしているので、LPではカットされていた「月見草」や「私たち」も収録されています。
 
　続く「 岩崎宏美リサイタル 宏美・22才の愛 (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」は、同じく80年のレギュラーの東京芝・郵便貯金ホールでのコンサートを収めたライブ盤。こちらは2枚組で、これぞ往年のヒロリンのコンサートという雰囲気。
　スタンダードな映画主題歌をはじめジャニス・イアン、ELO、バリー・マニロウらのポピュラーミュージックとともに、「想い出の樹の下で」などちょっと懐かしいシングル曲、オーラスの定番「私たち」まで、王道のライブが楽しめます。
　円熟と言いますか、メイクとともに（？）かなり濃くなってきたヒロリンのボーカルが圧巻ですね。
 
　81年、シングルでは「すみれ色の涙」が久々の大ヒットとなったヒロリン。その和風な味わいを生かしたのか、2枚組「 岩崎宏美リサイタル'81 (+1) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」。1枚目はなんとモノ・ミュージカルに挑戦。この年「もしもピアノが弾けたなら」の大ヒットで再注目を浴びた坂田晃一先生が全曲を手がけたオリジナル組曲「雪物語」で構成されています。
　2枚目はいつものノリでカバー曲にヒット曲がてんこ盛り。バーブラ・ストライサンドの「追憶」やダイアナ・ロスの「エンドレス・ラブ」など、黒っぽさを残した大人のシンガーとして不動の地位に立ったヒロリンがしのばれます。ボーナストラックとして収録された「月見草」はビデオソフトからの音源です。
 
　そして、「聖母たちのララバイ」の超特大ヒットにより歌謡界の頂点に立った82年の「 '82岩崎宏美リサイタル (+6) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」。「愛はかげろうのように」「素直になれなくて」といった当時の最新洋楽ヒットも披露。
　30周年記念ライブでも好評だった ナタリー・コールの「ミスター・メロディー」は構成・演出を担当した今は亡き山川啓介さんの日本語詞も秀逸で、いつ聴いても鳥肌が立ちますし、押したり引いたり、自由自在の声のパフォーマンスには初期とは違う意味で圧倒されることでしょう。これぞヒロリン・イン・ショービズ！　ビデオソフトからの音源がボーナストラックとして収録されているのもウレシイですよね。
　デビュー以来ディスコ調のナンバーを展開してきたヒロリンなのに、一般的にはドメスティックな歌謡曲のイメージが強い模様。でも、こういうライブを聴けば、歌手・岩崎宏美は声質そのものが黒っぽい、天性の和製ソウルやR&B系シンガーだったことが確認できるでしょう。
 
　そしてレコード発売という意味でのとどめは、「 '83岩崎宏美リサイタル (+4) (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」。
　オリジナルは最新ヒットの「家路」と「エアポートまで」の2曲だけで、後は洋楽ヒットやスタンダード、シャンソンまで、さまざまなうたで綴る大人のライブという趣。映画から社会現象にまでなって多数のカバーが存在するオープニングの「フラッシュダンス」や、同じく映画主題歌として話題を呼んだスティーヴィー・ワンダーの「ステイ・ゴールド」など、聴きどころ満載です。こちらにもビデオソフトからの音源が追加されています。
　ジャジーな雰囲気のヒロリンも味わえ、脂の乗り切った艶とコクのある歌声は、往年のファンが最も愛してやまない声かも。ワタシは近年の、いい意味で枯れてきた声も大好きなのですが。
 
　この翌年に事務所移籍となり、ライブ盤のリリースも途絶えてしまったのですが、今回は、先のボックスで初音盤化となった86年の「 ピラミッド (RM/PS)＜タワーレコード限定＞」もちゃんとラインアップに加わっています。
　エジプト親善大使のヒロリンならでは、カイロ・ピラミッド前特設ステージでのライブを収録した映像作品の音源をCD化したものです。これはMEG-CD化されていないので、BOXを持っていない人は必携です。ただし、BOXのディスクに入っていたボーナストラックは未収録らしいのでご注意を。
　それにしても日本人初のピラミッド公演というのもスゴイですが、このライブで「聖母たちのララバイ」の戦士は企業戦士という解釈ができることを痛感したというヒロリン。歌心という意味では一つのターニングポイントになったステージは貴重ですね。
 
　そして今回もう１タイトルがラインアップに加わっております。
　それはご存じ、84年に２枚組で発売された、シングルＡ面集のベストアルバム「 ダル・セーニョ (RM/PS)＜タワーレコード限定＞ 」。
　ベストと言えども、ディスク１の「二重唱」から「シンデレラ・ハネムーン」までの17曲にはリミックスが施されているというシロモノで、2007年にはスペシャルCD「ダルセーニョ～リミックス・ベスト」（オリジナル・アルバムの紙ジャケット復刻CDを10枚以上買って応募するともらえた特典盤でした）としてCD化されておりましたが、今回の復刻はオリジナルに準じた２枚組で、ボーナスシングルとして付いていたナンバー「そばに置いて」も収録という完全盤。しかも2018年最新リマスタリングが施されているそうです。
　ですので、オリアル紙ジャケを買って特典盤を手に入れ、BOXも買ったという筋金入りのヒロリンファンでも、コレだけでは補完で購入すべきではないかと思います。
 
　という、ヒロリンのタワレコ限定紙ジャケ復刻。これにて完結という感じですが、果たしていつまで流通するか分からないのでBOXを持っていない方、迷っている方はお早めに。紙ジャケで付属物も縮小封入、セルフライナーノーツも読めるので、MEG-CDよりも価値は大ですからね。