レア音源も収録！ 心に響く亜星メロディー集

　先日オンエアされたBSテレ東「武田鉄矢の昭和は輝いていた」に、希代のヒットメーカーとしてゲスト出演されていた小林亜星さん。
　個人的にはやっぱり子どもの時に見た寺内貫太郎のイメージが鮮烈ですが、歴史に残るCMソングから、アニメ主題歌、ヒットチャートをにぎわした歌謡曲まで、これまでに8000曲もの作品を手がけた天才作曲家です。
 
　番組でも、亜星さんにとって初めてのCMソングとなったレナウンの「ワンサカ娘」や、アニメ主題歌「狼少年ケン」、レコード大賞を受賞した「北の宿から」など、ジャンルを超えた作品が紹介されましたが、このたび亜星さんのお仕事を総括するCDシリーズ企画「小んなうた 亞んなうた ～小林亜星 楽曲全集～」が登場。
　ジャンル別に厳選され、「 小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ 歌謡曲編 」「 小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ コマーシャル・ソング編 」「 小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ こどものうた編 」「 小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ アニメ・特撮主題歌編 」という4タイトルが同時発売されることになりました。
 
　亜星さんの場合、これまでにも、テイチクからTV音楽作品集3部作として「小林亜星アンソロジー」シリーズが出たり、キングから亜星さんの会社、アストロミュージックのCM音源集「CMの達人」シリーズが出たりしていましたので、そこまでのレア度はないかと思いきや、レア音源もふんだんに収録されている模様です。
 
　やっぱり注目したいのは、デビュー作だという弘田三枝子のレナウン「ワンサカ娘」から、2009年に佐藤健のCMでたむらぱんが「狼少年ケン」をリメイクしたロッテのFit'sまでをぎゅっと凝縮した「コマーシャル・ソング編」。
 
　レコード化されなかったサーカスのカネボウ（「薄化粧」）や、ヤング101やオズモンド・ブラザーズのカルピスには感涙しますし、北原ミレイのタケヤミソ、朱里エイコのヤクルト、梓みちよやいしだあゆみの清酒大関、佐良直美のセイコー、惣領智子とピーカブーのホンダなど好事家の皆さんが小躍りしそうなモノも多数ですが、注目したいのが70年代半ばにオンエアされた丸井の2曲。
　ハイ・ファイ・セットの「和気あいあい。」とトップギャランの「マルイマルイの丸井です」がそれで、ファン待望の初CD化になるのではないでしょうか。いずれも宣伝用の非売品レコードがプレスされているので期待大。トップギャランはフル尺のタイトルが「まんまるの歌／マンマルルの歌」でしたのでフルバージョンは難しいかもしれませんが…。亜星さんの曲を森田公一さん率いるトップギャランが歌う、というのも面白いですよね。
 
　ほかのタイトルにも、「寺内貫太郎一家」の劇中歌でご本人がいけだももこ（ヒデキのガールフレンド）とデュエットした「リンゴがひとつ」をはじめ、まんが日本昔ばなし」のエンディングテーマという枠を超え、どの世代からも愛される名曲「にんげんっていいな」、今日まで続く魔法少女の原点「魔法使いサリー」などなど、名曲がいっぱい。キャッチーなフレーズの中にも、温もりと親しみ、そして日本人ならではの哀愁をブレンドさせた亜星メロディーの数々をあらためて味わってみてはいかがでしょうか。
　個人的には亜星さんのアニメ楽曲では昔から「マイ・ネーム・イズ・プティ・アンジェ」を偏愛しております。
 
　思えば亜星さんが主役を演じて、作曲家からタレントとしてお茶の間の人気者になった「寺内貫太郎一家」（ こちらで紹介）も、原作の向田邦子さんをはじめ、演出の久世光彦さん、妻役の加藤治子さん、幼なじみ役の由利徹さんも、石工の伴淳三郎さんや左とん平さんも、みんな亡くなってしまったんですよね。
　昨年には母親役だった樹木希林さんと、息子役を演じた西城秀樹さんを失って、「もうミヨコ（お手伝い役の浅田美代子さん）しかいなくなっちゃった」と大きな体を小さくし寂しそうにつぶやいてらした亜星さん。
　まるで貫太郎そのままの優しいお人柄をあらためて感じたことでしたが、だからこそ心に残る温かいメロディーが生み出されたのですね。
 
　そういう意味では、亜星さんが手がけた向田ドラマスペシャルの音楽をまとめた「向田邦子TVドラマ サウンドトラック集」（ こちらで紹介）もオススメ。普段お家で流すBGMにもピッタリですので、この機会に併せてどうぞ。