シリーズ集大成！令和に聴き継ぐ名曲精選集！

　令和も幕を開け、ますます昭和は遠くなりにけり…という感じがしますが、改元に伴う平成回顧の特番ではナツメロも平成ソング一色でしたので、一層その思いを強くした人も多いのでは。
　しかしですね、世代を超えてみんなに親しまれ、口ずさまれている歌はやはり少なく、あらためて昭和の名曲の再評価が高まるような気がしたのも確かです。リアルタイム世代のみならず、平成、そして令和の子どもたちにも聴き継いでいってもらいたいですからね。
 
　ということで、令和元年6月リリース、昭和の名曲をCD2枚に厳選した決定版コンピ「 心に響く唄BEST 」をオススメしましょう。
 
　タイトルでピンとくる人もいらっしゃるでしょうが、コレはベストセラーコンピ「心に響く」シリーズの集大成。そう、2013年の「心に響く唄」（ こちらで紹介）を皮切りに、「心に響く旋律」（ こちらで紹介）、「心に響くご当地ソング」（ こちらで紹介）、「心に響くラブソング」（ こちらで紹介）と続いてきたシリーズ4作のエッセンシャル・ベストなのです。
 
　このシリーズは、まだヒット曲がみんなのものだった昭和40年代以降を中心に、歌謡曲、フォーク・ニューミュージック、アイドルポップスなど、さまざまなジャンルから心の琴線に触れる歌を集めたもの。
　当初は全く売れる気配がなかっように記憶しておりますが、タイトルの勝利なのか、生協チャネルでは度々プッシュされているようで地味に売れ続け、「心に響く唄」は発売から5年経ってオリコン最高位となる78位をマーク。昨年出た「心に響くラブソング」は43位にランクインするなど、4作のライナーを担当させていただいた身としては、 名コンピシリーズの仲間入りを果たしたようで、うれしく思った次第でした。
 
　精選集となった今回も当然昭和の名曲集でして、昭和46年の加藤和彦と北山修「あの素晴しい愛をもう一度」から昭和59年の井上陽水「いっそセレナーデ」までの全38曲。
　過去のシリーズ収録曲から誰もが認める名曲中の名曲36曲をセレクトし、シリーズ未収録の2曲（風の「君と歩いた青春」、西城秀樹「ブルースカイ ブルー」）をプラスしたという、まさにどこからどう聴いても満足できる内容となっております。
 
　例えば、ペドロ＆カプリシャス「別れの朝」、ビリー・バンバン「さよならをするために」、ガロ「学生街の喫茶店」、チューリップ「心の旅 」、かぐや姫「神田川」、小坂明子「あなた」、布施明「シクラメンのかほり」、バンバン「『いちご白書』をもう一度」、サーカス「Mr.サマータイム」、久保田早紀「異邦人」、五輪真弓「恋人よ」、松田聖子「赤いスイートピー」、あみん「待つわ」といったオリコン1位のメガヒット。
　あるいは、グレープ「精霊流し」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、イルカ「なごり雪」、丸山圭子「どうぞこのまま」、因幡晃「わかって下さい」、松崎しげる「愛のメモリー」、八神純子「みずいろの雨」、BORO「大阪で生まれた女」、雅夢「愛はかげろう」、村下孝蔵「初恋」、安全地帯「ワインレッドの心」など、各アーティストの鮮烈なブレイクナンバー。
　はたまた岩崎宏美「思秋期」、研ナオコ「かもめはかもめ」、渡辺真知子「かもめが翔んだ日」、西城秀樹「ブルースカイ ブルー」、山口百恵「いい日 旅立ち」と、各人にとって最大のヒットではないけれど名曲として広く知られたナンバー。
 
　こういった大ヒット曲に加え、ハイ・ファイ・セット「卒業写真」、アリス「遠くで汽笛を聞きながら」、杏里「オリビアを聴きながら」、松山千春「旅立ち」など、シングルの発売当初はヒットしなかったものの聴き継がれ、歌い継がれて浸透していった名曲。
　さらには、当時シングル発売のなかったよしだたくろう「落陽 (LIVE'73）」や風「君と歩いた青春」のように、ファンからの人気で有名になったり、多くのアーティストにカバーされて広まっていった曲もセレクトされているんですよね。
 
　時代を彩った名曲ではなく、心に響く名曲というくくりですので、どうしても自作自演のフォーク・ニューミュージックが中心になりますが、職業作家による作品や外国曲カバー、歌謡曲とニューミュージックの融合など、あらゆるうたがしのぎを削りながら同居していたあの頃の歌謡界と、その黄金律の素晴らしさをあらためて実感できそう。
　しかもブルースペックCD２へとグレードアップしているのにお値段は据え置きというメリットもありますし、ノスタルジックな意味合いだけでなく、令和へと聴き継いでいくという意味でも、押さえておきたいタイトルではないでしょうか。