オススメ復刻盤「松田聖子 SACD(ハイブリッド盤)6タイトル」


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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#703

松田聖子 SACD(ハイブリッド盤)6タイトル <ステレオサウンド独占販売>

第1弾:SQUALL(SSMS-001)・風立ちぬ(SSMS-002)、2014.9.25発売
第2弾:Pineapple(SSMS-003)・Candy(SSMS-004)、2014.10.31発売
第3弾:ユートピア(SSMS-005)・SUPREME(SSMS-006)、2014.11.28発売  *各¥3,500+税、SACD/CD ハイブリッド盤

ステレオサウンド発、聖子の名盤6作が初SACD化!

 1970年代まではミーハーな女子どもの音楽と揶揄されたり、自称音楽マニアやオーディオにうるさいクラシックや洋楽のファンたちからバカにされたり、見下されたりする光景も目立ち、時には音楽にあらずという扱いを受けることも多かったアイドルポップス。

 それが今や、あのレコード・コレクターズ誌でさえ特集(「 レコード・コレクターズ2014年09月号 」「 レコード・コレクターズ 2014年 11月号 」)を組んでしまうほどなのですからね。
 まさに天と地がひっくり返るほどの出来事といいますか、時代と常識の豹変は世の習いといえども、ただただ驚くばかりです。

 物心ついた時からアイドルポップスとともに歩んできた者としては、最近の状況は正直ウレシイというより空恐ろしい感覚もありますが、アイドルポップスの地位が向上し、れっきとした1つの音楽ジャンルとしてオーディオマニアからも広く認知されるようになったのは、やはり80年代、CBS・ソニーの松田聖子からと言っても過言ではないでしょう。

 むろん60年代末期の創業時から国内制作部門の中心として同世代のヤングポップスを追求してきたCBS・ソニーならでは、最初はフォーク志向だったゆえにアルバムが売れに売れた天地真理や、ニューミュージックの作家陣の起用と支持が全世代に広がったことでアルバムセールスが伸びた山口百恵、最初からシングルよりもアルバムの存在感が大きくニューミュージックの流れに乗った太田裕美、バイリンガルなポップス感覚で洋楽ファンにも認められた南沙織ら先人の礎があったからこそ。

 そうやって熟したアイドル市場のもと、そのDNAを受け継いだ松田聖子が、ハイセンスな音楽性との両立をしっかりと確立し、アイドルを超えたアルバムアーティストになったのは、必然的なことだったと思います。

 さて、80年のファーストアルバムからして桁違いのセールスを記録し、アルバムアーティストとして認められた松田聖子ですが、このたび高級オーディオ専門誌としておなじみのステレオサウンドと、聖子の音源を有するソニー・ミュージックダイレクトによる独自企画として、80年代6タイトルの初SACD(スーパーオーディオCD)ハイブリッド盤化が決定しました!

 松田聖子は世界のオーディオファンに支持されるメーカー・ソニーが誇ったお抱えアーティストでもありましたし、レコードはマスターサウンド盤、テープはメタルマスター版がリリースされるなど、当時から音質の評価も高いものがありましたから、ソニーが開発したソフトであるSACDが出ていないこと自体が不思議なぐらいでした。なんたってソニーによる世界初のCDソフト第1回発売(82年10月)や、MDソフト初発売月(92年11月)にもラインアップされていた聖子ですからね。

 もっともSACDソフトが初発売された99年は聖子がソニーミュージックに所属していなかった時期、ということも関係したのかもしれませんが、デジタルでありながら原音であるアナログ波形に極めて近いというSACDでは、マスターテープそのままのみずみずしい声の魅力が堪能できるといいますからとっても楽しみ。

 巷ではハイレゾ配信が大きな話題を呼んでいますので周回遅れの感は否めませんが、聖子の場合、SACDが登場した15年ほど前から望む声が聞かれていましたから、やっぱりパッケージが先という感じですよね。

 で、今回の企画は2タイトルずつ3カ月連続のリリースになるそうで、まず第1弾がファーストの「SQUALL」と、ナイアガラフリークに圧倒的支持を受ける81年の「風立ちぬ」。第2弾が世界初のCDソフト第1回発売にラインアップされた82年の「Pineapple」と、続く「Candy」。そして第3弾が絶頂期83年の「ユートピア」と、沙也加ちゃんがお腹にいる時にレコーディングされた86年の「SUPREME」。

 いずれも高い評価を受け続ける人気盤、名盤がチョイスされた形で、ジャケットはデジパック仕様。それぞれにスーパーバイザーとして音質の監修を務めた嶋護さんによる解説も収録されているそうです。

 ところで、聖子のオリアル再発をひもとけば、近年では2009年のDVD付きブルスペ復刻(こちらで紹介)を皮切りに、2012年にはLPサイズのでかジャケ復刻(こちらこちらこちらで紹介)、2013年にはブルスペ2の名盤復刻(こちらで紹介)とかなり盛んなイメージを持つ人も多いようですが、実際は聖子級のアーティストとしてはめちゃくちゃ少ない回数なのです。

 80年代の聖子CDは、1枚3,500円時代のCD盤草創期や3,800円のデジタルレコーディング黎明期を経て、3,200円の廉価再発があったものの、いわゆる復刻という意味では、90年からリリースされたCD選書が超ロングセラーを記録したこともあって、2006年の10万円BOXまで実に16年もの永きにわたりリマスタリングどころか再発すらされないという驚きの状況でした。

 これには第一線で活躍する現役アーティストだったことも要因だったようですが、リマスタリング復刻が当たり前になっていった時代、聖子のアルバムだけが音質が伴わないという状況に地団駄を踏むファンは多かったと聞きます。

 SACDハイブリッド盤にしても、女王クラスでは百恵ちゃんだって2004年に初回紙ジャケ&通常プラケースで単品発売され(現在はBOX「 山口百恵 22 Original Albums Collection icon 」で入手可能)、明菜だって2012年に紙ジャケ単品&BOX「 AKINA BOX - SACD/CD Hybrid Edition icon 」で発売されベスト盤などもガンガン出たのに、聖子だけは全然だったのですね。

 ですから今回の初SACD化は、コアファン待望の企画なのですね。
 リマスタリングは、ソニー・ミュージックスタジオ 東京に所属の鈴木浩二さんが担当。オリジナルがデジタルマスターの「SUPREME」以外はアナログのオリジナルマスターテープから直接DSD化したとのこと。詳しくはステレオサウンドの最新号「 季刊ステレオサウンド No.192 秋号 」に特集記事が掲載されているそうなので、併せて読みたいものです。

 いずれにしてもソニーの完全純正品でないのが残念ではありますが、リスク分散は時代の流れでしょうし、何より今回は伝統ある専門誌発の企画ですので、オーディオマニアにとっては文句なしというところでしょう。この6タイトルが売れに売れて、次もすんなり続くよう祈っております。
 ナイアガラフリークを中心に支持層の厚い「風立ちぬ」が最も売れるように思いますが、通常のCDプレーヤーでも再生できるハイブリッド盤なので、ハードがなくて躊躇している人もまずはソフトのみを入手という選択もありですぞ。

 なお、当然のように完全限定生産なのですが、ステレオサウンド独占販売につき取り扱い店も制限され、販売はステレオサウンドストアのホームページをはじめとする通販や一部オーディオショップのみになっておりますので、くれぐれもご注意を。
 第1弾の2タイトルについては9月25日以降出荷予定とのことですが、「2014東京インターナショナルオーディオショウ」(9月23日から東京国際フォーラムで開催)のステレオサウンドブースで先行販売されるそうなので、一刻も早く入手したい方は会場へどうぞ。

 個人的なことを言えば、SACDが再生できる環境にはありますが(南沙織の「 THE BEST~Cynthia-ly 」や太田裕美の「 太田裕美 Singles1974~1978 」「 太田裕美 Singles1978~2001 」といったハイブリッド盤が出た時に購入しました)、ただ再生できるというだけの激安プレーヤーなので、いつの日か違いがわかる高級オーディオセットで既発品と聴き比べてみたいと思っております。

(2014.9.2)


*ソニーミュージック時代のアルバム全32作品のハイレゾ配信が決定! 詳細はスペシャルサイトでご確認ください。

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