好評の名曲コンピシリーズ、4年ぶりの新作！

　梅雨明けの声が聞かれ始めたら、またぞろ大型音楽特番の始まる時季。
 
　今やテレビ版音楽フェスといいますか、地上波キー局が競い合う夏の風物詩という感じになってしまいましたが、今年はテレビ東京系が6月27日の「テレ東音楽祭2018」、日本テレビ系は7月7日の「THE MUSIC DAY 2018 ～伝えたい歌～」、TBS系は7月14日の「音楽の日」、フジテレビ系は7月25日の「FNSうたの夏まつり」、そしてNHKは8月18日、毛色は違うものの真打ちといえる「思い出のメロディー」で、今年でなんと第50回目の開催となるそうです。
 
　いずれも長時間化しており、悠に10時間を超すものも少なくない状況に驚くことしきり。「思い出のメロディー」以外は現役アーティストの最新曲も披露されることも多いですし、珍しい顔合わせの競演なども含め、各番組ともフェスのノリで趣向を凝らしたコーナーが続々繰り広げられますが、それぞれのファン以外の視聴者に歓迎されているのは、やっぱり70年代から80年代を中心にした往年の名曲ではないでしょうか。
　それも豪華コラボではなく、オリジナル歌手の懐かしのVTRの方だったりするようですが、個人的にもMCもエピソードもいらないから、歌唱映像だけをゆっくり流してくれたらいいのに、などと思うこともしばしばです。
 
　と、そんなタイミングで、70～80年代の名曲だけを集めたうってつけのコンピ盤「 心に響くラブソング 」が登場します。
　タイトルでピンとくる人もいらっしゃるでしょうが、コレは「心に響く」シリーズの第4弾。2013年のリリース以来ロングセラーを続ける「心に響く唄」（ こちらで紹介）をはじめ、「心に響く旋律」（ こちらで紹介）、「心に響くご当地ソング」（ こちらで紹介）に続く、4年ぶりとなる新作コンピです（4作ともライナーの方を担当させていただいております）。
 
　このシリーズは、まだヒット曲がみんなのものだった時代、70～80年代を中心に、歌謡曲、フォーク・ニューミュージック、アイドルポップスなど、さまざまなジャンルから心の琴線に触れる歌を集めたもの。
　タイトルの勝利という気もしますが、生協チャネルでは度々プッシュされているようで地味に売れ続けていますが、「心に響く唄」はなんと今年に入ってオリコン最高位となる78位をマークしていることから、久々の続編リリースということになった模様です。
 
　このシリーズは、既発分とは収録曲がかぶらないことも魅力ですが、今回も、ニューミュージックを中心にしたスタンダードナンバーを38曲を収録。
　松田聖子「SWEET MEMORIES」、山口百恵「さよならの向う側」という両ディケイドを代表する歌姫をオープニングに、最古で71年のペドロ＆カプリシャス「別れの朝」、最新で84年の安全地帯「恋の予感」という構成。
 
　本田路津子は「耳をすましてごらん」、チェリッシュは「白いギター」、ガロは「ロマンス」、南沙織は「春の予感 －I've been mellow－」、五輪真弓は「残り火」、五十嵐浩晃は「ディープ・パープル」、村下孝蔵は「ゆうこ」と、決定的な代表作以外からチョイスされているのもウレシイ限りですし、ヒットはしませんでしたが、ふきのとう「やさしさとして想い出として」や太田裕美「君と歩いた青春」など、ファンからの熱い要望に応えてシングルカットされた名曲も選ばれていて、記録より記憶に残る仕掛けもしっかり施されています。
 
　隠れたヒット曲という点では、鈴木一平「水鏡」でしょうか。個人的な思い出として、この曲が有線やラジオでヒットしていた頃、太田裕美さんと一緒にゲスト出演したNHK-FM「リクエストアワー」の公録で拝見したことがあるのですが、ギターの弾き語りにホントに感動しましたもん。
　当日は大雪で太田さんの到着が遅れ、鈴木さんの持ち時間が長くなったこともあり、ミニライブさながらたっぷり堪能しましたけれど、あの歌のフォークとも演歌ともつかない世界観は、まさに“心に響くラブソング”だと思っています。
 
　というワケで、大型音楽特番で心に響くうたを耳にして、オリジナルの長尺フルコーラスを聴きたいと思った方にこのシリーズをオススメしたいと思います。